妙見と八幡
前回、「アメノミヲヤは北極星の位置にいる」と述べました。
これについて、ホツマの「みはさためつるきなのあや」という章に「元々明けのミヲヤ神 居(ゐ)ます裏には北の星」とあります。意外にも「北の星」という明記があるのは実はここだけなんですけどね(ちなみに、ホツマではキ・ツ・サ・ネとキタ・ニシ・ヒガシ・ミナミという言葉は併用しています)。
一方、「妙見」をご存じでしょうか?北極星及び北斗七星の神です。妙見自体は妙見菩薩という仏教の神として日本に入ってきているのですが、町で見かけるのはお寺より「妙見宮」という神社の方が断然多い。
現在の神道では「アメノミナカヌシ」と習合していることになっています。ホツマ(厳密にはミカサフミという別冊に詳細あり)では、ミナカヌシはアメノミヲヤの息吹がやがて天地になり、土とかいろいろ混ざりあって生まれた初の人間、ということになっています。
ちなみにミナカヌシが現れるのはフトマニ図でいう「アウワ」の位置、後述しますが南は「ト」、北が「ヱ」らしいのでフトマニ図は上が南、下が北で見るようです。
そしてミナカヌシは亡くなった後、天に帰り星になります。これが北極星。→アメノミナカヌシ=北極星ということのようです。
そしてもう1つ、八幡。現在の神道では「ホンタワケノミコト」ということになっています、が。
結論から言うと、八幡神は「トホカミヱヒタメ」を指しているのではないかと思います。ホツマ及びミカサフミ、フトマニに明確に「ヤハタ(八幡)」という言葉は出てこないのですが、「ヤモトカミ(八元神)」という言葉は頻出し、これはトホカミヱヒタメを指します。最も詳しいのはミカサフミ「トシウチ二ナスコトノアヤ」ですが、トが南、ヱが北で、フトマニ図と同順「トヒカメヱホタミ」の順で八方位に位置しているらしいです。なんで音順と実際の位置が違うのかは謎。
一方、ホツマには「ヤトヨハタ」「ヤハタノハナカザリ」「ヤシキノニギテ」(ニギテは今でも神道で使う旗飾り)などという言葉が繰り返し出てきます。全て「八本の旗を立てている」という意味です。トホカミヱヒタメの位置に立てている、という明確な記述もないのですが、ミカサフミ「タカマナルアヤ」では「南が青、西が紅、北が黃、東が白」までは明記があり、旗は八方位に立てていると解釈できます。
また、同章には「ミヲヤのそばに 八元神 守るトホカミヱヒタメの」とあり、また「コクラ(九坐)」、「コホシ(九星)」という言葉も出てくることから「妙見(アメノミヲヤ)と八幡(ヤモトカミ)はワンセット」という概念が透けて見えるのです。
私がこの概念に確信を持ったのは、宇佐八幡を訪れた時でした。宇佐八幡は全国の八幡社の総本社で、本宮は誉田別命、比売神、神功皇后の三社ありました。
直接参拝はできず、囲いの隙間からお宮を覗くような形になっているのですが、1番左のお宮を覗いた時、覗き穴からお宮の前に「妙見宮」という立て札が見えたんですよね。
それだけ?んまあ、それだけですが。
しかしこの概念があればこそ、そこに妙見宮が立っていることは至極納得のいく景色だったのであります。