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嘘はなぜダメなのだろうか

わたしは生前考えた事がある
生前
わたしはまだ生きている

嘘をつこうと思わなくても
嘘になってしまう事もある

「昨日何食べた」
わたしは突然聞かれたので、お好み焼きと答えた

2人の会話は続く、お好み焼きから
たこ焼きの話へと

話も少し盛り上がってきた所で

わたしは気づいた
お好み焼きをしょくしたのは一昨日ではないか

今わたしは嘘をついてる状態と言えなくもない
しかも自身で気づいてしまった
だからと言って話題はもうたこ焼きだ
今更この話を割って
昨日食べたのは炒飯だったと言えるだろうか
わたしには無理だ

「あ、俺、昨日食べたのは炒飯だった」

無理だ

わたしには荷が重い
誰か変わってほしい

もうこのさい昨日炒飯食べた事を変わってほしい

嘘を真実に書き換えてほしい


いったい誰が悪いのだろうか
わたしだ

何か罪を背負ってしまった気がする
相手にとってはそんな事どうでもいいだろう
それだけに訂正しにくい
ああもどかしい

言いたいけど言えない

そうか
言わなくていいではないか

相手はそんな事気にしてない
それが答え

それならば言う必用はないはずだ
嘘をついた?
ノンノン
これは嘘ではなくミスだ

と謎の論理が頭を巡る


わたしは悪くない

少し楽になった
肩の力も抜けてきた

うん

まてよ

彼の質問は昨日何食べた?
だった

わたしはお好み焼きと答えた

立派な嘘ではないか

一昨日お好み焼きを食べたわたしが
昨日もお好み焼きを食べるだろうか
それはない

残り物か
いやわたしはペロリと平らげた

なぜそれを昨日だと勘違いしたのだ

炒飯の存在感はそんなに薄いのか
たしかにお好み焼きはインパクトがある

そうか
そのせいだ

そうだ、それでいこう

「あ、俺、ホントは昨日食べたの炒飯でお好み焼きは一昨日だった、お好み焼きインパクトあるから間違えた」

無理だ

こんな長いセリフ、まず棒読みかカタコトになるだろう

役者になりたい

むしろ良い役者はいないのか

わたしには難易度が高い
誰かクリアしてくれ


もはやたこ焼きの話は
わたしの耳に入ってきていない
わたしは話しを聞いていないという
新たな罪を重ねている
これで前科二犯だ

わたしはこのままどれだけ罪を重ねるのだろう
もうお天道様の下を歩けないのではないか

その時わたしにチャンスが訪れた

彼は言った「ごめん俺やっぱりお好み焼きの方が好きだ」

話しの内容を半分しか理解してなかったわたしは
戸惑った
どういう事だ
ごめんと言う事は、さっきはたこ焼きが好きと
発言したと言う事か

ここだ
わたしの頭でわたしがささや

「ごめん、俺もお好み焼き食ったの一昨日だった」

言った

この難問を見事に解き明かしたと安堵あんどしきっている
わたしとは裏腹に

彼は驚いたような、少し心配したかのような
なんとも言い表せない顔でわたしを見ていた

そしてポツリとこう言った

「どういうこと?」

やってしまった

たしかに思い直すと会話にさえなっていない

やっぱり俺はお好み焼きが好きだの後に
俺もお好み焼きを食ったのは一昨日という
会話は成り立つはずがない

お好み焼きというワードに、俺も
という形で無理矢理乗っかった事が裏目に出た

解き明かすどころか複雑に絡みすぎて
もうほどけない

自首しよう

わたしは事の顛末てんまつをイチから説明した

全てを聞いてくれた彼は、どうでもいいよと言う
ひと言で終わらせてくれた

よく最後まで聞いてくれたものだ

わたしは良い友達をもった

申し訳無さと嬉しさで
わたしは何とも言えない表情を彼に向けた

おしまい


これは過去にあった事を思い出しながら
書いた実話である


相手に言った事が嘘だったら傷つけるかも
その事により自分も傷つくかも

これは、自分のあげたもので
食べ物ならお腹を壊さないだろうか
物ならケガをしないだろうか

そういった心配をしてる心境に近い気がします

それは小さい事のようで大事な事
なのかもしれません

そして、結果的に自分に嘘をつかなくて良かった
わたしはその事が気になってたのです
言わなければモヤモヤは
きっと晴れなかったでしょう


良い経験でした


自分でも、いつになくふざけた感があります
この場にてお詫び申し上げます

最後まで読んで頂きありがとうございます



友人と歩いた空を思い出しました
電柱と電線の感じと虹が最高です
まめ様ありがとうございます

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こくぞう
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