設計あれやこれや 4
カルマン渦による共振とフーリエ変換の思い出
大手のエンジニアリング会社から大きな仕事を受注すると、試料の取り出し部分から受ける場合があります。そうすると、試料の取り出し部分の製作も請け負う事になります。
試料の取り出しは試料の輸送配管の円の中心に外から注射針を刺した感じに差し込んで、そこから試料を取り出して分析をしようという事になります。
その注射針状のものをプローブといいます。プローブは流れに直角に差し込まれているため、輸送配管中にカルマン渦が発生します。
プローブの長さと輸送配管中の試料の流速によっては、カルマン渦の周波数とプローブ自身の持っている固有振動が共鳴し合って、共振してしまうという事があります。
共振の発生により、プローブが折れ曲がってしまった事があるそうです。
そのため、プローブの納入と一緒に計算書の提出も、求められました。
その計算の方法もnoteに発表しようと思いますが、圧力損失や熱交換器の計算に比べて、かなりマイナーな計算だなぁ、と思っています。
今でさえ、マイナーな事を発表しているのに、さらにマイナーな計算なので、まぁ、ほとんど見る人いないだろうなぁと、思っています。
ところで、カルマン渦の計算で共振点を探す計算となる訳ですが共振という点では、学生時代の実験を思い出します。
それは、水を流している1/2B位の配管の入口側に、振動を与えて出口側でその振動がどの程度、減衰しているか、または増幅しているかを調べる実験です。
入口側、出口側の両方に圧力センサを設けオシロスコープで確認します。
実際の波形を見ると、色々な周波数が混ざっている波形となって、そのままでは、人工的に与えた振動を確認する事が出来ません。
そこで、フーリエ変換が登場する事になります。
その頃は、波形に定規で線を書き込み、波形の長さを計り、計算をして求めていました。
計算結果をグラフに書き込むと、見事に共振点の分かる図ができた思い出があります。
その頃はパソコンの無い時代で、電卓がやっと一般的になりつつある時代なのに、よくやったなぁと思っています。
その時の強烈な記憶があるために、次世代の分析計の計算は、フーリエであると確信してしまったのです。
ABBが出してきた、フーリエ変換の分析計は、一台で、あらゆる成分の分析をしてしまう夢のような分析計です。
その後が続かなかったのは、一つにはコスト的に高いという点があるかもしれません。
でも本当に世の中で必要な分析計というのは、測定したい成分に特化した分析計という事なのかも知れませんね。
なんでもできるという事は、何も出来ない、と同類という事なのかも知れないと思いました。
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