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中空糸膜式ドライヤ2
中空糸膜式ドライヤ (SUNSEP) の使い方については、もう一つ伝えておかなければ、と思いましたので、その件についての話です。
中空糸膜式ドライヤ (SUNSEP) はナフィオンというテフロン系の樹脂で出来ています。
「樹脂配管1」の話にあるように、テフロンチューブに限らず、全ての樹脂は穴が空いています。
逆に、その特長を利用して、デガッサという製品がある位です。
なにが、言いたいかというと、ナフィオンも樹脂で有る以上、樹脂の穴からの漏れが有るということです。
その穴といっても、水分子のように、積極的に排除するものでは無いため、問題になるものでは無いと思います。
もし、問題にするとしたら、全ての樹脂配管は使えないという事になるわけですから。
ただ、ナフィオンは水に対して膨潤する性質がある、肉厚が薄い点を考えるとテフロンチューブより漏れやすいかも知れません。
あるテフロン樹脂のシステムを受注した時の事です。余り、憶えていないのですが、その時のお客様は、テフロンやPFAのチューブには穴が有るので漏れるという話をされていたのを憶えています。
その時、PFAチューブを二重管にして、内管と外管の間に計装空気を流した記憶が有ります。
記憶にあまり残らない位だから、そんなに大した事はしていないと思いますが。
その様な理由で、SUNSEPに計装空気を利用して、除湿した場合、計装空気の出口には、僅かに試料が含まれている可能性があります。
上司が二代目に変わった時で試料が塩素の時に、SUNSEPの計装空気出口から漏れが有るのではないかとそんな事を言った事が有りました。
上司は、その件について深く追求されなかったため、それで終わったのですが私も、もしやと思って次の仕事から SUNSEP の計装空気出口を盤の外に出す様にしました。
もし使う事を検討するとしたら、この辺の配慮も必要かも知れません。
この時、私が気になったのは、塩素は水に溶けるという事です。溶けた塩素分が計装空気出口から、幾らか出ているのではと思いました。確認はしていませんが。
分析計が水分子に干渉しても、しなくてもSUNSEPを使用すれば、露点が下げられる点が有ります。
ガスの分析計の場合、もし水蒸気が含まれていて露点が高い場合、保温ボックス等で温めて、水の発生をしないような対策を必要とします。
しかし、SUNSEP を使えば、それだけで露点を下げられるので、水の発生を抑えられます。
一度はまってしまうと、SUNSEP を一つ間に入れるだけという誘惑には、なかなか逃れられないかも知れません。
ただ、注意点は有ります。
試料から水蒸気の部分を取ってしまうと、無くなった水蒸気の代わりに、他の成分により補填された状態になるため、成分の割合が変わってしまう点が有ります。
その点もお客様と良く相談の上、決定するようでしょう。
使用例として塩素の分析計では、水蒸気は干渉するとして SUNSEP で除湿しました。他の方法で除湿するには、冷やすという事を良く行います。
冷やすと水は塩素水として発生します。塩素水は+5℃位で凍ると言いますから、露点+5℃が限界となると、それ以上の水分量まで落とす事が難しいと考えられます。
それ故、この例では、SUNSEP の使用が一番効果的だと考えられます。
もしSUNSEP を検討されるようであれば、一度、AGC に問い合わせてみる事をお勧めします。除湿性能、寿命による交換時期等、確認されると良いと思います。
これで、保温ボックスを使わないで済むとしたら、かなりのコストダウンになると思います。