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設計あれやこれや 1

  1. 配管中を流れる試料の圧力損失の計算

     設計を進める上で、色々計算して、確認したい事も多々出て来るわけですが、問題に当たった時、皆さんだったらどうしますか?
     社内で、よく分かっている人に聞きなさい、となり、紹介されたりするのですが、いざ聞きに行くと、結局、解決できずに困ってしまうという事、ありませんでしたか?
     聞かれた方も、専門的な知識は、持っているけど、問題解決のための道筋を出すような計算式をポンと出せないようでした。
     ポンと簡単に出してくれたのは、バルブメーカーからのCv値の計算方法位ですかね。
     もし、逆の立場だったら、計算方法が出ないって、めちゃくちゃ怒られるんでしょうにねぇ!

     そこで、自分なりに解決した方法について、noteでは、そんな内容を書いてみたいなと思いました。

     細かい所では、色々あると思いますが、思い出す限りでは大きな問題は次の内容でした。
     これらは、色々な方法で解決に至ったのですが、その話を順次したいと思います。

    1. 配管中を流れる試料の圧力損失の計算
    2. 熱交換器の計算
    3. キュービクルの熱計算
    4. スチームボックスの熱問題
    5. 電気ヒーターを使ったボックスで電気ヒーターの大きさの求め方

     今回は配管中を流れる試料の圧力損失の計算について、話したいと思います。
     その頃、大手のエンジニアリング会社から海外プラントの仕事を受注しました。
     そこで使用する分析計システムの機械設計を機械設計課の私が担当する事になりました。
     また、その時のエンジニアリングは、応用設計課の人が担当となり、一緒に仕事をする事になりました。
     席も近かった事も有り、ちょくちょく雑談的に仕事の内容について、進めていきました。
     その時に見せて貰った手書きのフロー図の話です。
     受注したシステムに来るまでの微圧の試料が1/2Bの配管で流れると思うのだが、とフロー図と計算書も見せてもらいました。
     その時、管とガスの摩擦抵抗を使って求めるとか、一生懸命、説明して貰った記憶があります。

     その方法が、どうも自分が思い浮かべる方法と違うので、ガスの基本データ、圧力を聞いて、学校で使っていた教科書を出して、計算し直してみました。
     計算結果として、1/2B の配管では、必要な量を流す事は出来なくて、どうしても1B は必要となってしまいました。
     分析計の場合、応答時間の関係もある為、むやみに、管径を大きく出来ないという点も有ります。ですから、出来るだけ管径を小さくという、事もわかります。

     一生懸命、説明して貰っているのに、次の日には、1/2Bの配管では流れないどころか、2ランク上の配管にして、やっと流れるという話をしてしまったのだから、さぞかし、気を悪くしてしまったのだろうな、と今でも思っています。

     最終的にには、1B で了解してもらい、1B でシステムを完成させる事ができました。

    1/2Bの配管用ステンレス鋼管 外径 21.7mm  内径 約16mm
    3/4Bの配管用ステンレス鋼管 外径 27.2mm  内径 約21mm
    1Bの配管用ステンレス鋼管 外径 34mm     内径 約27mm

     それ依頼、ちょくちょく圧力損失の計算をする事になりました。試料の基本データさえあれば、直ぐ計算できるし、どうと言う事は有りませんでした。
     その内、基本データでさえも、自分で調べる様にして欲しいという事になったんですが、そちらの方が大変でしたね。
     クリティカル何とかという本だったのですが、欲しいデータについて、探し方が悪いせいか、ちっとも出てこない。その内、ネットで調べるようになって、ここから効率的に調べられるようになりました。
     その調べる方法も、いずれnoteに発表しようかと思います。

     意外に思ったのは、分析計を扱う会社の人は、その辺の計算については、疎いという事です。分析計の中だけのシステムであるなら、圧力損失は余り関係ないわけですからね。
     エンジニアリングを行う応用設計だったら、その辺りはどうなのでしょうね?

     その辺の計算は、分析計までの配管という事で、プラント建設等を受注したエンジニアリング会社の方の領分なのかも知れませんね。

     圧力損失については、計算を始めてから、上司が変わる度に実験を求められ、その度に実際に証明してみせました。
     では、今までどうしていたのかを聞いた所、流量制限チューブを作る時はチューブの径、圧力、長さで色々実験をして、そのデータを元にした、とかチューブを叩いて潰して所定の流量になったら、出来上がりとか言ってました。

     では、長い距離の圧力損失は、どうやって求めたんでしょうね。??????

     ヘンミ計算尺を使った事、有りますか?
     電卓も世の中にあまり、普及していなかった頃、技術者は、皆んな計算尺を持って仕事をしていました。中には、胸ポケットに小さいのを忍ばせていたりして、カッコいいなと思ったものです。

     そのヘンミ計算尺も電卓に押されて、今はバルブメーカーとなっています。特殊なバルブの打ち合わせをした時に、昔、計算尺を販売していた頃、圧力損失の計算用の計算尺が有ったという話になり、上司はヘンミ計算尺さんからその圧力損失計算用という物を頂いていました。

     その内、もう君の計算は要らないよ、と計算尺の自慢をしながら、いつ私の所に来るのかなと待っていたんだけど、とうとう来ませんでした。計算尺も見せてもらってません。
     どうなってるんでしょうね?

     ヘンミ計算尺は精密なバルブ等、流体を扱う特殊な物を得意とするようです。流体関係で、こんな物が無いかなというのが、有ったら相談されるのも、いいかも知れません。

     圧力損失の計算について、参考にした本は、流体工学 原田幸夫著です。

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