彼

まず初めに言っておく。
うちの彼氏は イケメン である。

いや、待ってほしい。
これは「私のタイプのイケメン」という意味ではない。
断じて タイプではない。
だけど、どう頑張っても イケメンなのだ。
彼氏フィルターの影響か？ いや、それを抜きにしても イケメン。もうこれは 事実として認めるしかない。

しかし、彼のすごさは 顔 だけにとどまらない。
むしろ顔面偏差値を凌駕するほど、彼の スペック は高い。

たとえば、 圧倒的な優しさ。
それも「ちょっと気遣いができる」なんてレベルではない。
彼は 超本格派・王子様系彼氏 なのだ。

まず、私のことを お姫様のように扱う。
荷物を持つのは当たり前、疲れたらすぐ座らせる、私の好きな物(酒)を毎日のように買ってきてくれる。
もはやこの人、どこかの王族だったのか？

そして、 仕事に対する姿勢が最高にかっこいい。
黙々と努力を重ね、疲れた顔を見せずに頑張る彼は 尊い。
その姿を見ていると、こっちまで「もっと頑張ろう」と思えてくる。

なのに、一緒にいるときは、そんな凛々しさを微塵も見せない。
むしろ とんでもなく甘やかしてくる。

たとえば、
「歩いてるとき手をつなぎたいな」と思った瞬間、
最近は寒いのですでに 手をつないでポケットに入れてくれている。
もしかしてこの人、 エスパーなのか？

さらに、私が 体調を崩すと即・過保護モード発動。
「大丈夫？」の頻度が、分単位で更新される。
この人は私の 彼氏なのか、それとも親なのか？

そして、私の作ったご飯は 100%美味しいと断言する。
たとえレシピを間違えても、見た目がカオスでも、
「いつも美味しいよ、ありがとう。」と言って食べる。
これはもう 愛の力か、もしくは味覚のバグか。

……と、ここまで聞くと 完璧超人 に思えるかもしれないが、
当然 彼にも弱点はある。

それは、 拗ねること。
いや、 とんでもなく拗ねる。
普通の拗ね方ではない。
「あれ？ 今日幼稚園児連れてたっけ？」 というレベルで拗ねる。
些細なことで悲しい顔をして、手を繋ぐのをやめて、
「……別にいいけど？」と、明らかによくない顔をする。
めんどくさい。 正直、めんどくさい。

だが、それすら 可愛いと思ってしまう私はもう終わりなのかもしれない。
まあ、これは 彼氏の愛嬌オプション機能 ということにしておこう。

そんな彼の 笑顔は最強に素敵だ。
どんなに疲れていても、その笑顔を見るだけで心が満たされる。
しかも 毎日欠かさず「愛してる」と伝えてくれる。
こんなにストレートに愛情表現をしてくる男が、この世に存在するのか？
もしかすると 前世は武者修行でもしていたのでは？
それくらい、真っ直ぐで、強くて、優しくて、 愛に溢れた人だ。

こんな素敵な人に出会えた私は、 間違いなく強運の持ち主。
だからこそ、彼とずっと一緒にいたい。
この先、どんな未来が待っていようと、
隣で笑っていてくれるのが彼なら、それだけでいい。