一寸先は何とやら…
○○:ただいま〜…
1ヶ月半の単身赴任を終え、久しぶりに家に帰ってきた
優:おかえり〜!
ドッと出た疲れと共に荷物を置いているとリビングから彼女が走ってくる
○○:ただいま優
優:おかえり○○!
ビデオ通話越しではない、優との対面の会話に家に帰ってきた喜びを感じる
優:ねぇ○○?お風呂にする?ご飯にする?
優:それとも優にする…///?
新婚みたいなセリフを顔を真っ赤にして言う優
○○:優!って言いたいけど先にお風呂入りたいかな…疲れちゃったから
優:ムゥ…なら優はご飯の準備してくるね
○○:ありがとう
優:ううん、それよりもまた後でちゃんと優のことも構ってね//
○○:分かってるよ
○○:ふぅ…お風呂っていいな…
風呂から上がって髪を拭きながらリビングに向かうと、テーブルに細長い箱が置いてあった
○○:ん?なにこれ?
優:あっ、それは○○へのプレゼントだよ
キッチンからひょこっと顔を出しながら優が答える
○○:プレゼント?
優:うん、開けてみて
優に急かされて開けると、そこにはネクタイが入っていた
○○:…ネクタイ?なんで?
優:本当はね、1週間前に渡したかったんだけど○○がいなかったから
○○:1週間前って何かあったっけ?
優:1週間前は父の日だよ
○○:父の日?…俺の親宛ってこと?
優:違うよ、それは○○へのプレゼント
○○:…俺まだ父じゃないんだけど
優:何言ってるの?
優:○○はもうパパだよ
優:だって優のお腹に"赤ちゃん"がいるから
優はお腹を擦りながら話す
○○:はっ!?
優:1週間前に検査して分かったの
○○:ちょっと待って!検査って…最後にしたのって…
優:○○が単身赴任行く2日前だよ
優:実はあの時○○のゴムに1個だけ穴を開けたの
優:本当はずっと○○と結婚したかった、でも○○は忙しくてなかなかその話を優にしてくれなかった
優:だから先に既成事実だけでも作っとこうかなって
優:言っても何個もあるうちの1つにしか細工はしてなかったから運でしかなかったけどね
優:でも○○ったら暫く会えないからって全部使うんだもん
優:しかも穴の開いたゴムを最後に使ってそのまま○○寝ちゃったから気づかなかったよね
優の衝撃的一言で目の前の視界がぼやけてくる
優:あのね、優すごく嬉しいの!だって○○との子どもだよ
優:デキ婚にはなっちゃうからママ達には怒られるかもしれないけど、○○と結婚出来るならデキ婚でもなんでもいいの
目の前で笑顔で話す優がいつもと違うように感じる
優:箱の底は見てくれた?
○○:…底?
震える手で箱の底を探るとそこには婚姻届が入っていた
優:もう優の枠は書いてあるから、あとは○○が書くだけだよ
○○:…ゆっ、優?
恐怖で思わず後退りをする
優:あっ、○○も忙しいと思うから書ける時でいいからね
優:でも…優はなるべく早く書いて欲しいかな//
○○:…おっ、俺は…
優:優のこと孕ませたんだから逃がさないよ
○○:ヒッ…
今まで見たことのない優の真顔に腰が抜ける
優:これからは優とこの子のために頑張って働いてね
優:パパ♡
慣れた手つきでネクタイを結ぶ優
キュッと首元を結ばれた瞬間、俺はもう優から逃れられないと感じた…
fin…
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