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AwBH 第7章 訳者雑感

※本記事は『鱗羽の天使』本編の核心的なネタバレを含みます。未プレイの方は引き返すことを強くお勧めします。

第1章から続くセバスチャンの勤務一日目もいよいよ大詰め。ゾンがバーテンダーを務める行きつけのバーに来たブライスたち。新人の洗礼がないことに胸をなでおろしていたセバスチャンを待ち受けていたものとは…?

第7章は警察署の竜たちが酒を飲んで騒ぐ痛快な内容で、頭を空っぽにして読める章となっています。訳者として補足、言及できることは多くありません。

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セバスチャンに振る舞われたのはビールのテスティング。ちょっと洒落たクラフトビールを出す店に行くと出てくるやつですね。こんな入隊の儀式なら個人的に歓迎、と言いたいところですが、右側の赤と黒のビールは相当な苦味があるらしく、セバスチャンは流し込むのにも苦労している様子でした。

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ブライスとマヴェリックのビールジョッキは本編でも言及されていたボウル状の見慣れないもの。ナオミとセバスチャンは人間が使うものとよく似た形状のグラスを使っていますから、これらのジョッキは四足歩行の竜のために設計されたものなのでしょう。空いたジョッキの酒量からは各キャラクターの個性が見て取れます。

飲み会が始まる前の会話では、ブライスが法務省に目を付けられているという噂についてナオミが言及するシーンがありました。前科があるアンナはともかく、ブライスがそれほどの注目を集めている理由とは一体、何なのでしょうか。異例とも言える20代での署長という経歴と忌憚のない態度に反感を持つ竜たちがいるのかもしれません。

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カクテルの注文について訊かれたセバスチャンが返したセリフ、「おまかせで」ですが、これは英語版でもそのまま"omakase"です。外国語でちょっと洒落た返しをしたセバスチャンに対してゾンが「おだててくれるね」と乗り気になるシーンなのですが、日本語圏の読者にとっては少し繋がりが唐突に感じられる会話になってしまっているかも。逆に英語に翻訳するというのもアリだったかもしれませんね。

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酒が入ると人(竜)が変わるマヴェリック。これから毎週、酔っぱらったマヴェリックに絡まれるセバスチャンが哀れです。本編では終始不愛想で怒りを湛えたような印象のある彼ですが、AwBHではチャーミングな一面も見せてくれています。

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そして何やらいい雰囲気の二人。これは酔った勢いなのか、それとも…本編ではゾンがブライスの交際遍歴について「すごくモテる。長い付き合いはしない。数か月付き合って別れる」と評していました。お酒に酔った勢いで…というのがブライスの日常だとしたら、こういった振る舞いが上に目を付けられている理由なのかも…アルコールとセックスへの依存がブライスが抱えている問題と言えるかもしれません。

他にも、本編に登場したゾンのレコードコレクションが店内に飾られていたり、彼の指が増えたり減ったりと、アートワーク的にも見どころが多い章でした。

第8章はついにレミー編。メインのキャラクターでは最後にAwBHに登場する形となります。(※1)本記事を執筆した2021年3月時点ではまだ英語版が連載中ですが、今後も区切りのいいところで日本語化を進めていきたいと考えています。

※1:ロレムは本編のクラウドファンディングにおける最高額出資者のために作られた追加キャラクターであるため、残念ながらAwBHに登場するかどうかは不透明です…

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本記事は『Angels with Broken Hearts』の日本語訳プロジェクトです。
オリジナルの公式HPはこちら
http://angelswithbrokenhearts.com/

この翻訳記事は制作者の許可の下で行われている公認プロジェクトですが、訳文はファンによる非公式翻訳です。公式は訳文に一切の責任を負いません。訳文についてお気づきの点は訳者までお寄せください。

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訳:Luptas