「聞こえてほしいあなたにも がんばれ!」 ヒロト&マーシー全作品リスト 〜1986
①『JUST A BEAT SHOW』/オムニバス 1986.3
M.7 ハンマー(48億のブルース)
M.8 人にやさしく
M.9 未来はぼくらの手の中
1986年3月8日。今は無き伝説のライブハウス「渋谷屋根裏」において、4組のロックンロール・バンドによるGIGが行われた。
発起人は「ザ・ジャンプス」のVo.島キクジロウ。
島は後に弁護士となり、現在ではパンクロッカーと弁護士という二足の草鞋で活動中という異色の存在である。
なお、「島キクジロウ&NO NUKES」名義で発表したアルバムには、ヒロトがゲスト出演している。いずれこちらも紹介したい。
本作はそのライヴの音源を収録したオムニバス・アルバムである。
このアルバムによって、初めてブルーハーツの名前が世に出る事になる。
参加したバンドは「レピッシュ」、「ザ・ロンドンタイムス」、「ザ・ブルーハーツ」、「ザ・ジャンプス」。
この時ブルーハーツはドラムが不在だったので、佐藤シンイチロウ(現ザ・ピロウズのDr.)がサポートメンバーとして加入している。この時シンちゃんは、40度近い高熱とゲリに苦しんでいたのだという。
なお、のちにブルーハーツのメンバーとなる梶原徹也は、同GIGでチケットのモギリのバイトをしていたらしい。
ちなみに、ブルーハーツのベーシストだった河ちゃんは、現在ロンドンタイムスのギタリストとして活動しているらしい。
また、ロンドンタイムスのKey.キャプテン・ティンカーベル(亀山哲彦)は、元々ヒロトと一緒に「ザ・コーツ」というバンドで活動していた。
本作にも収録されている「人にやさしく」は、元々はコーツの楽曲だったのだとか。
この頃、音源を一枚もリリースしていないにも拘らず(ただし「1985」のソノシートを前年のクリスマスイブイベントで配布している)、常時300人近い観客を動員していたというブルーハーツ。
このアルバムには、未だに高い人気を誇る3曲が収録されている。
このうち「ハンマー」は、後に発表されるものとは一部歌詞が異なっている。
②『虎祭音頭』/トラッシュ 1986.7
A-1 タイガーブギ (SPECIAL)
(ヒロト…コーラス)
B-1 パステルおばさん
(ヒロト…コーラス?)
B-2 いそしぎ (THE SHADOW OF YOUR SMILE)
(ヒロト…コーラス?)
ハードコア・パンク・バンド「トラッシュ」が、インディーズ・レーベルの「太陽レコード」から発表したシングル・レコード。
トラッシュと親交のあったバンドのメンバーが集まり、ワイワイと作り上げている賑やかなレコードである。
ヒロトはこのシングル盤にコーラスとして参加している。
「タイガーブギ」は楽曲の途中で寸劇が始まる。ヒロトのパートもちゃんとあり、そこでブルーハーツの「人にやさしく」のフレーズを口ずさんでいる。
「パステルおばさん」や「いそしぎ」にも参加していると思うのだが、残念ながらよく聞き取れない…😅
ヒロト以外の参加メンバーで注目すべきは、マサミというシンガー。
彼はハードコア界隈では伝説となっている男。この後、X-JAPANのYOSHIKIと「L.O.X」というバンドで活動することになる。トラッシュの元ボーカルでもある。
なお、Ba.で参加しているACTも「L.O.X」のメンバー。
トラッシュとマサミ、ヒロトの関係性は『ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史 番外編 右手を失くしたカリスマ MASAMI伝』(ISHIYA 著、2022年5月、blueprint)という本に詳しく記されているので読むべし。
Key.としてゲスト参加しているのは元コーツのキャプテン・ティンカーベル。
ヒロトと同じくコーラスで参加している「グレート・リッチーズ」のマモルはヒロトと親交が深いようで、2010年に発売された彼のソロ・アルバムにはヒロトも参加している。
レコーディング場所は「新宿JAM」。若きヒロトが研鑽を積んだライブハウスである。2017年に惜しまれつつも閉店…😢
ヒロトは「KYOKU-MONO」というアルバムの中で、このライブハウスの思い出を朗読している。
③『GALA』/桑田りん 1986.11
M.1 まぼろし(作詞・作曲 真島昌利)
M.3 素敵なBEAT TIME (作詞・作曲 真島昌利)
M.8 ぼくら (作詞・作曲 真島昌利)
M.9 100年たっても (作詞・作曲 真島昌利)
ヒロトが仲間内でワイワイやっていた頃、マーシーは堅実にソングライターとしての実績を重ねていた。
昨年から引き続き、桑田りんのソロ・アルバムに楽曲を提供している。
この時のマーシーは二十歳そこそこだと思うのだが、既に詩人として完成してしまっている。とにかく言葉の選択が詩的で美しい。天才的だとしか言いようがない。
M.1のストリングスに金子飛鳥が参加。
彼女は後にマーシーのソロ・アルバムやブルーハーツの楽曲にも参加している。
ちなみに、M.2、M.4を作曲したのは「ゴダイゴ」のタケカワユキヒデ。
M.7の作曲者は元ブレイカーズの篠原太郎である。
オマケ:『The Indies Session 1986』 1986.11
「NOT FOR SALE」と記載されている、詳細不明のソノシート。 1986年9月に開催されたというインディーズ・バンドの大型イベント「INDIES FESTIVAL 1986」の記念品か、宣伝用に配布されたものだと思われる。
A面にはフェスティバルに参加するバンドのメンバーによるコメントが収録されている。
ブルーハーツからはヒロトがコメントを寄せている。
「ARB」の石橋凌&白浜久、「シーナ&ロケッツ」の鮎川誠、「バチカブリ」のトモロヲなどのコメントも収録されている。
B面は発売中または発売予定のレコードの宣伝となっている。
ラインナップはKENZI、ガスタンク、バージン・ロックス、アウター・リミッツ、じゃがたら。