見出し画像

鶏を飼ってみよう 〜前編〜

はじめに

今回の話は、多くの人からすれば「心底どうでもいい」話だと最初に伝えておこう。
前にこちらの記事を投稿したら、意外と好い反応が多く、思いがけず「もう少し詳しく!」なんて声も届いた。

今回は「鶏を飼いたくて震える、、!!」という
まだまだマイノリティにすぎない価値観を持つ人たちのために
経験を記録として残しておくことにした、そんな話である。
(書いてみたら意外と長くなってしまったので、前編と後編に分けることにした)




今回は鶏を飼うまでの行程をいくつかのステップに分けて説明するが
「飼育場所」については各々可能な範囲で確保できている、という前提でこれを書いているので、その点はあらかじめご理解をお願いしたい。

また、これはあくまでも、一個人の経験を記録しているものなので、もしかしたら当方の勉強不足により、法的な何かに引っ掛かっている部分や、理解が間違っている部分があるかもしれない。
もし、見識のある方から見てそういう点があれば、優しい言葉でそっと指摘してもらえるととても嬉しい。
優しい言葉で、お願いします。

それでは、つらつらと書き連ねていこう。
コーヒーや紅茶など、好きな飲み物片手にお付き合いいただきたい。


なぜ鶏との暮らしを望むのか?

まず第一に、なぜ鶏との暮らしを望むのか?
人それぞれに違いはあれど、そこは明確にしておく必要がある。

「独り身の寂しさを紛らわしたい」
「毎日新鮮な卵が食卓に並ぶことが夢だ」
「飲み会の席で「うちの鶏がね〜」というパワーワードを発したい」
「履歴書に書きたい」(書けるのか?)

他人に迷惑をかけないものであれば、どんな理由でも構わないと思う。
ただし、絶対にやってはいけないことは
「自分より弱い生き物が欲しい」などという
歪んだ自己顕示欲を満たすことを目的とすることだ。

言わずもがな、鶏は家畜だ。一般的に。
しかしそれ以前に、今を生きる「生き物」であることだけは絶対に忘れてはいけない。
生き物を愛することができない人は、申し訳ないが諦めてほしい。

とはいえ、鶏を飼いたい人に悪い人はいないと思うので
そういうつもりで話を進めていこう。

ちなみに、我が家が鶏を飼い始めた理由は2つ。
「癒やし」と「新鮮な卵」だ。
飼い始めて2年ほど経つが、
「新鮮な卵」という目的は日々達成されており
エサを啄む姿や、人を見ると駆けてくる姿に
大いに「癒されて」いるので
本当に飼い始めてよかったと痛感している。

あなたが鶏を飼いたいと思う理由は何だろうか?
そう思ったきっかけは?
鶏とどんな暮らしがしたいのだろう?

ぜひ立ち止まって、ゆっくりと考えてみてほしい。
そして、その答えを大切に胸に抱き続けていてほしいと
まだまだ若輩ながら【自家養鶏】の先達として願う。

※ ※ ※ ※ ※
自家養鶏とは、養鶏(採卵や食用を目的とした鶏の飼育)を自分の家で行うことを指す、マイナーな言葉である。
鶏を飼う場合、結果として採卵が目的になるケースが多いので、ここでは、愛玩動物としての飼育目的の場合も含めて自家養鶏と表現して話を進めていきます。
※ ※ ※ ※ ※


運命の人(トリ)は何処に?

さぁ、それでは鶏を飼い始めよう!

しかし困った、どうすれば鶏が手に入るのか?
最初のステップは「鶏の入手方法」だ。

選択肢としては、3つある。

① 有精卵を買って温める(卵から始める)
② 縁日でヒヨコをゲットする(ヒヨコから始める)
③ 立派な鶏を手に入れる(成体から始める)

ひとつずつ、考えていこう。

まず、①について。
これはおそらく、大変だ。
ぼくはやった事はないが、人工的に孵化させることもできるらしい。
ただし、簡単でもそれなりに設備的な準備が必要になるので
その辺りはフトコロ事情や設備を置く場所などを要検討だろう。
無事に孵化するか楽しみではあるが、孵化したヒヨコを育てる環境も必要だ。

何より、卵から始まる場合の最大の懸念点は「性別」だろう。
無事に孵化したのがオスだけだった場合、卵を手に入れることは不可能となる。
しかもヒヨコの段階で雌雄を判別するのは素人には難しく
なんなら業界には「初生ひな鑑別師」という特殊技術者もいるくらいなので
卵目的で孵化させる場合は、それなりの数で進めることを考えなければいけない。
下手な鉄砲数打ちゃ当たる、ということだ。

②については、今となっては見ることもないだろう。
昭和という時代であれば、夏祭りの縁日などでヒヨコが手に入ったという話もあった。
(たしか「ちびまる子ちゃん」にそんなエピソードがあったと記憶している)
しかし、動物愛護が叫ばれるようになって久しい令和のご時世、そんな縁日は日本にはないだろう。

どうしてもヒヨコを手に入れたい場合はどうするか?
人伝なりネットなりのつながりから、自家養鶏をやっている人に相談して、いいご縁を期待することになるだろう。

ところで、鶏が卵を産むのはいつからかご存知だろうか?
なんと、孵化してから半年ほどで卵を産み始めるという。
最初の1年はほぼ毎日卵を産み落とし、徐々に産卵のペースを落としながら卵の元になる遺伝子がなくなる日まで産み続けるそうだ。

つまり、卵を目的として飼う場合、その点を考慮する必要がある。
卵やヒヨコからスタートすると、美味しい卵が手に入るまで半年かかる点を覚えておこう。

さて、個人的におすすめしている鶏の入手方法は
③ 立派な鶏を手に入れる」である。
この方法が最もやさしい始め方なのではないかと、ぼく個人は考えている。

少し現実の話をしよう。
スーパーで10個入り198円の、格安卵があるとする。
その卵が作られる養鶏場がどのようなものか、ご存知だろうか?

全ての養鶏場がそうだとは言わないが、採卵を目的とした養鶏場の多くは
さながら「採卵工場」のようなものだ。

卵の品質向上を目的とした配合飼料が豊富なエサを与え、
面積あたりの生産効率を最大化するための環境を作り、
産卵頻度が下がり始める1年を目処に鶏を入れ替える。

これが一般的な養鶏の現場で行われていることである。
分かりやすく、だいぶオブラートに包んだ表現にしてみたので、もっと詳しく知りたいという方は個別に連絡をもらえれば、分かる範囲でお伝えできる。
もちろん、関係者からすれば「事実誤認だ!」なんて思う部分もあるかもしれないが、そういった部分があれば、後学のためにもぜひ、そっと教えてほしい。
もちろん、優しい言葉で。

突然ですが、ここでクエスチョンです。
入れ替えられた鶏はどこへ行くでしょうか??

実は、こういった「採卵期間を終えた鶏」は「廃鶏」と呼ばれ、
昔はその肉も食用とされていたらしい。
しかし、ブロイラーや地鶏が広く出回る現在では、廃鶏が肉用にされる機会も失われ、そのほとんどが産業廃棄物とされているのだ。
つまり、簡単に言えば殺処分である。
これについては、採卵工場であれば必要なことだと理解をしているし
消費者の購買における選択次第では、廃鶏を減らすことも可能なことだと思う。

勘の良い方は気付かれたかもしれない。
そう、成体を手に入れる一番簡単な方法は「廃鶏をもらう」ことなのだ。

廃鶏をもらうというのは、たくさんのメリットがある。
むしろ、メリットしかない。
養鶏場としては、産業廃棄物として処理する量が減ってコストダウンができ、手塩にかけた鶏たちを殺処分から救うという徳を積める。
自家養鶏を始めたい身としては、成体なのですぐに卵ができ、うまく行けば無料で成体が手に入り、鶏を殺処分から救うという徳を積める。
鶏としては、幸せな余生を過ごすことができる。
まさに「三方ヨシ」なのだ!

ぼくの場合、住んでいる十勝というエリアで「平飼い」を行っている養鶏場に手当たり次第に連絡を入れ、廃鶏をもらえないかどうか尋ねた。
養鶏場によって対応は様々だったが、基本的に好意的に受け止められていた。
幸いなことに「取りに来てくれるなら無料で何羽でもOK!」という養鶏場があり
そこで処分される子たちを引き取ることから、ぼくの自家養鶏は始まった。

もし、廃鶏を引き取ることから始めたい場合は、ぜひ「平飼い」で探すことをオススメする。
そうではない場所(前述した採卵工場のような)で飼育されていた個体は、やったことがないから確証はないけれど、おそらくその後の環境に適応するだけの生命力がないのではないかと、思う。
なので、少しでも生命力のある個体を探したいという場合は「平飼い」で探してることをオススメする。


さて、ここまで「鶏を飼う理由を考える」「鶏の入手方法」について書いてみた。
ここからはいよいよ「飼育方法」について書いていきたい。

と思ったのだが、日も傾き始め、鶏たちの夕方のお世話の時間になったので
この続きはまた後日にしようと思う。

今回も最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
このあとも好い一日をお過ごしください。

ふるかわ


いいなと思ったら応援しよう!