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中国の田舎で怪我をするとこうなる②~燃やされた車椅子暴走族の巻~

約三年ぶりの中国の大学での授業で、学生が止めるのも聞かず、授業中にゲームを強行した結果怪我をした私は、しばらく安静にするどころか、銀行凍結解除のためここから高鉄で4時間の青島まで行き、無事解除成功の後は卒業生と遊び歩き、寒さと歩きすぎがたたってまんまと足の怪我を悪化させてしまった。

怪我をしたのは12月だが3月になっても膝が伸びきらないままであることに気づいた私は、歩くと膝が痛くもなるので病院に行くことにした。

幸い、私の住んでいるところから病院は近い。
しかも一応三等級だとかで、入院病棟もあって広い。

入り口入るとまず正面はこんな感じ

さすが中国と思うのは、総合病院の中に漢方科もあるところだ。

「おお!ドラマで見たことある! 美人の女医さん出て来るやつ!」
なんて最初は物珍しさで大興奮だった。

以前別の病院でぎっくり腰を鍼一発で治してもらった私は、この時も鍼でもすれば治るだろうと甘く考えていた。

ところが、鍼のほかに、お灸と、ガラス瓶を熱くして吸盤みたいに吸いつけて鬱血させる治療をやられ、とにかくこれが熱い!

韓国式焼肉のようなお灸の煙吸い込むもの
お灸と鍼
熱い・・・
ムザンな吸引痕、これ数日残る

なんか焼肉みたいに焼かれて燃やされてるような謎の施術だったけどとりあえず終了。一日じゃ治らないから通えるかと言われたが、この時はまあすぐ治るだろうと思っていた。

しかし私の膝はすぐには伸びない。
しかも翌日のマッサージでは、曲がってる部分をパンパン平手打ち?で謎に叩かれ、叩いて伸びれば苦労しないし、伸びないわ痛いわでひどいめにあった。

さらには私の膝に水がたまってることが判明。

医者A「まずはMRIで写真を撮って、どの部分に水がたまっているかを見ましょう」

そこに突然現れた医者B

医者B「よし水抜こうぜ」

(ええええええええ、写真は?)

どうやら撮影のための予約がいっぱいだったらしい。じゃ、その前にしていた今後の処置についての段階の説明まったく意味ないやーん!

私は中国語の説明もよくわからないまま、突然水を抜かれることになった。

私「痛い?」

医者B「全然、痛くないよ、すぐ終わるよ」

これ、世界共通だけど、医者の言葉は信じるべからず。

写ってないけど二人がかりで押さえつけられてる状態

ぎゃーーーーーーーいったーい!!!!

なんか黄色い液抽出されてるぅ!!!!


しかも三か所ぐらいやられた。

幸い、このお医者さんは手慣れているのか、特に迷うことなくぶっ刺して来る。まあ、だから写真でみなくてもいいってなったのかもだが、とにかく嘘つきぃ!!!!と思った。
しかも、日本の歯医者でもあるあるだけど、痛いかどうか聞いてくるけど、痛いと言ったところで手を緩めてくれるわけでもない。

(ただ聞くだけかーい!!!!)

もう気を紛らわせるために動画撮ってた!
自分から黄色いエキスが抽出されてるところをな!!!!!!

ぶっとい針の痕

水を抜いたのは、この後リハビリ科でリハビリをするためだった。

そしてなぜかこの後に写真撮影。

(え、必要ないじゃなかったんかい!)

なんか恐ろしくうるさい音がするMRIで、足がつるほどの態勢で長時間(と言っても20分ぐらい?)撮影。

その合間におなかすいたから食べる。

そして撮影終了。その写真は自分が管理する。
学生に理由を聞いたら、中国は人口が多すぎるからいちいち一人一人のレントゲン写真など管理できないとのこと。え、本当に?

10㎏の米袋ぐらいにでかい

とりあえず家に写真を持ち帰る。
日を改めて、それを持ってまた病院へ

漢方科から今度はまた別のリハビリ科にお世話になるので、私は学生に付き添いを頼む。

こういうQRコードを出さなきゃないんだけど、いまいち操作がわからないので学生に頼んだ。でもはっきりいってあまり学生を毎回呼びたくはない。

学生は中国語はできるけど、病院のことはよくわかってないし、社会経験がないからどうしていいかもわかってない。そのどうすればいいかを指示しても私の中国語も日本語も理解できない。だから、病院の大人に言われるままに私が納得できないことにもおとなしく従ってるので私は機嫌が悪かった。

だから私はなるべく一人で病院に行くようにしている。

自分が納得できないことや嫌だと思うこと言われたら、とりあえず「为什么ー(なんでだよ)」と連呼している。
そう言うと説明してくれるのだが、当然私は全部は聞き取れない。
そして「几乎听不懂(よくわからん)」と言うと、この地は親切な世話焼きが多いところなので、大抵お医者さんや看護師自ら私の手続きやらなにやらしてくれる。

そこまで親切にしてくれない場合、とりあえず言ってることを録音して、学生のグループチャットに送って中国語で文字起こししてもらう。
私はリスニング(しかもこの地は訛っている)は苦手だが、読み書きはできるので、それで理解できる。

中国人が喋ってる時、チャイナテクノロジーで頭上に字幕とか見えるようになんないかなーと何度思ったかわからない。
でも私はこの方法で色々乗り切ってきた。

今の若者はおとなしい子が多いし、私ほど押しも主張も強くない。優しい子たちが多いから、何とか助けようとしてくれるけど、本当は私の通訳で病院のことをあれこれやるだけでも相当な負担やストレスになるのだ。

その点私は多少のことではくじけないガッツがあるし、言葉通じなくても何とかなったら達成感でビールが上手い。

そんなわけで、学生がいる時にああでもないこうでもないで色々たらいまわしにされ疲れておなかがすいてだんだん機嫌が悪くなってきた。
そんな私に学生はあるものを運んできた。

機嫌がよくなった自分

車椅子!

初体験だったが、これは楽でいい。

しかも病院は広い。歩きたくないのだ。

そして私は学生に車椅子を押してもらいながら、「もっと速く!」と言い、病院内を爆走。大喜び。

そしてそんな患者がいても誰も注意しないし、広いから人にもぶつからない。※良い子の皆さんは真似してはいけません

そしてリハビリ科では、なぜか鍼もできる。
それなら最初からここで鍼やりたかったが、学生に最初に連れていかれたのが漢方科だし、学生も知らなかったから仕方ない。

このリハビリ科に私は通うことになるが、なにせお年寄りが多くて、私のベッドの隣では、痰をからませて死にそうなじいさんに、付き添いのばあさんが「動くな! 鍼ささってるんだから!」と足をバシンと叩いたりしているなんてことがしょっちゅう。

ここの鍼の女の先生がすごく上手で、私はこの人を指名。
なにせマッサージもだけど技術にばらつきがあるから、誰でもいいというわけにはいかない。
ちなみに連絡先もすぐ交換。こういうことはお医者さんと患者でも普通なのか、それか私が外国人だからか知らんけどよくあること。

リハビリ科では「俺、PA(どやっ)」って人とリハビリ。
リハビリの人とかお医者さんが患者さんにプレゼントされる感謝のペナント?みたいなのが壁に飾られ、このPAどやっ先生(あだ名)も自身のSNSで公開してたが、名誉の証らしい。

こういうのがリハビリ室にずらっと並んで飾られている

リハビリも一朝一夕では治らないし通うよう言われたが、私には通えない理由があった。

それは・・・医療費がめちゃくちゃ高いってこと!!!!!

地元民の役10倍。

地元民なら鍼やお灸が20元(400円)のところ、私はマッサージも入れたトータルで200元ぐらい。日本と変わらんと言われればそれまでだけど、元の相場知ってるとバカ高く感じてしまう。

大学から保険対応になると聞いていたので、私はせっせと領収書やら処置内容の記録を保存していた。けっこう適当に渡されるので、後から不足分を集めにだけ病院に行き、要求していたこともある。
リハビリ科の「おれPAどやっ!」先生も手伝ってくれたので、請求に必要な書類は全部そろえたはずだった。

しかもこれもネット申請。
写真を撮って送っても、不備があるとすぐ通らない。
何度も何度もやり直してやっと提出した時には達成感よりもうこれでもうやらなくて済む!と札幌でのビザ申請の時のような心境にもなった。

必要書類を写真で撮って送るのは便利だが、何度も最初からやり直しになり面倒だった

ところが!

なんと保険がおりない!!!!!

どういうことかと大学に聞いたところ、外科ならおりるがリハビリ科ならおりないとのこと。

なんじゃ、それ!!!!!早く言えや!!!!

銀行凍結解除の手続きもそうだったけど、本当に大学の事務は何もわかっちゃいない。

結局奮闘したものの、保険はおりず、鍼やリハビリは通い続けたいけども、さすがにそこまでの富裕層じゃない。

そんなわけで、自宅リハビリに切り替えて、回復のために極力歩かないことにした。

足が痛い時はネット授業にもしたことがある。
ネット授業が嫌で対面授業がしたくて戻ってきて、うれしくてはしゃいで授業中に負傷し、結局中国まで来てネット授業なんて本末転倒もいいところ。

もはやパジャマで寝起き授業

まあ、中国の病院体験ができたってことでこうして記事にもしているけれど、海外生活、やはり怪我には要注意。
海外医療保険も入らないなんて!と元イギリス在住の人に言われたけど、何か安くていい保険ありますかね・・・。

おまけ

ハイテク国家中国なのに時々見る「とりあえず人でやればいいだろ!」な光景。点滴スタンドをガラガラ押しながら移動なんてことはしない。

聖火ランナーのような神々しい後ろ姿




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