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中国の銀行口座が凍結したらどうするか?~苗字が変更した場合~
まず、なぜ中国の口座が凍結するか?
ずっとお金を動かしてない場合も確か凍結する気がしたが、私の場合は、その口座を開設するときに作ったパスポートの期限が切れたことが原因。
ただこれだけの場合は、一番早いのは
・自分が口座を開設した中国の銀行の窓口に行く(視点でもいい)
・持参した新旧パスポートと銀行カードを見せれば凍結解除
ただし、この新旧パスポートの名前がちがうとさらに厄介なことになる。
その場合どうすればいいかを私の解除までのみちのりと共に書いてみた。
※長いので、結論だけ知りたい方は、最後のまとめだけお読みください。
参考と助けになれば幸いです。
銀行凍結
私の勤務先である中国の大学からのお給料が入る銀行が凍結したのは、今から約二年前、2022年4月のことだった。
理由は、銀行で登録しているパスポートの期限が切れたこと。
でも謎なのが、切れてからも一ケ月はおろせてたこと。
iPhoneとパソコンを同時に買って、一気にせっせとお金をおろした後に急におろせなくなったのだ。関係あるのか知らんけど。
で、問題はここから。
凍結したものは凍結解除するまでは、もうどうしようもない。
凍結解除のための方法も色々考えたが、結局、中国に行って解除するのが一番いいという結論に至った。簡単に言うと、その方が安いから。
そして、私の場合、厄介な問題もある。
銀行凍結解除のためには、基本的に新しいパスポートと古いパスポートがあればいいのだが、私の場合、この二つの名字が違う。
離婚したからだ。
夫婦別姓の国、中国では、苗字が違えば別人とみなされてしまう。
これが本当に厄介なのだ。
その後、中国の大学からお給料をもらうために、帰化してるお金持ち中国人に頼んでWeChat経由でもらったり、一時帰国中の卒業生に運ばせたり、色々して最終的に大学からの国際送金に落ちついた。
中国に行くとき、銀行凍結解除の為に必要なこととして、大学の国際部からは、「新しいパスポートと古いパスポートと銀行カードを持ってきて」としか言われなかった。
でも、念のため、離婚したことを証明するために戸籍謄本を用意した。
そして、私は12月14日上海に到着。15日に居住地に到着。
そして16日は土曜日だったが、近くの建設銀行の支店がやっているということで行ってみた。
建設銀行の支店1
まず、私が用意したのは
・古いパスポート
・新しいパスポート
・建設銀行のカード
・戸籍謄本
・無犯罪証明
・大学の雇用証明
この六点。まあ、無犯罪証明と雇用証明は念のため。
地元の33才知人男性に車を出してもらい、通訳の男子学生を連れて行ったところ、あっさり凍結解除ができそうな雰囲気だった。
が、ここで問題になったのは、やはり私の新旧パスポートの名字が違うこと!
「なんで苗字変えたの?」
え?そこから???
なんでって、日本の結婚制度の問題としか言いようがない。
一応戸籍謄本を見せてみるも、よくわからないと言われ、結局、偉い人の証明がないとダメだと言われる。
「凍結解除できないなら、新しいカード作らせて」と私は言った。
その月の給料もまだもらっていない。振り込める口座が必要だ。
しかし銀行員は言う。
「同一人物が新しく口座は作れません」
はあ??? だったら凍結解除してよ!
「証明するものがありません」
戸籍見せたじゃん!
「政府の証明が必要です」
これ、ちゃんと正式に日本の役所のだよ!
「中国の証明です」
そこで地元の知人男性が機転を利かせてくれて「派出所ならどうだ?」と言ってくれる。
「あーそれでもいいですよー(適当)」
で、派出所に言ったけれど、人がいない。
後日出直すことになる。
ところが、結局派出所も、対応できないと言ってきた。
ようするに責任が持てないということだ。
小さな町なのでまず外国人がいない。
日本人なんてほとんどいない。
ましてや日本人で離婚して名前が変わった前例がない。
前例がないことに誰も責任を持ちたくない。
とりあえず支店での解除は失敗に終わった。
建設銀行の支店2(口座を開設したところ)
キャンパスの場所が変わったので、今住んでいるところからはバスで二時間近くかかってしまうが、そもそも銀行カードを作ったところなら何とかなるかもしれないということで行くことに。
でも遠いってことでまずはその銀行の付近に住んでいる同僚の先生が聞いてきてくれることになった。
しかし、やはりここでものらりくらり。
私は大学に頼んで、私が同一人物であるという証明書を作ってもらった。
そもそも銀行からは、特に何が必要という書類の指示さえないのだ。
こんないなかに領事館なんてない。
わざわざ領事館に行かなくて済むならなんとかしたい。そう考えた。
この時私が提出した書類
・新旧パスポートのコピー
・戸籍謄本(中国語に翻訳付きのコピー)
※今日本にいる休職中の元同僚の先生が無料で翻訳してくれた
・大学が作成した同一人物証明
私のそろえた書類で凍結解除かできるかどうかを上の人に相談すると言われてから何日も過ぎた。
交渉できるほどの中国語力がない私は、大学の国際部にもっと銀行に圧かけて!催促して!と要求し続けるしかなかった。
でも結局銀行は動かない。
たぶん、やはりここでも誰も判断ができない、責任を取りたくない。
そして大学作成の同一人物証明ではやはり権威が足りないんだろう。
銀行の返事はない。
中国語でいう「踢皮球」!
つまり「たらいまわし」!
銀行凍結で一番困ったのは、携帯決済ができないということだ。
WeChatも支付宝も私は銀行カードと連携している。そこが凍結してしまうと、WeChatに残してあるお金すら自分のお金なのに使えなくされる。
それで現金を使うしかないのだけれど、現金受け取り拒否は違法とされているにも関わらず、このいなかの店のほとんどで現金拒否される。
食べ物屋はあるのに食べ物が買えない。一日で七店に拒絶されたこともあり、唯一拒否しない米线(ライスヌードル?)の店の麺ばかり食べてさすがに飽きた。
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学生が餃子を作って届けてくれたり、代わりに出前をとってくれたり、卒業生が食料を送ってくれたり、学生たちの情けで食いつないできた。
![](https://assets.st-note.com/img/1706515742673-nojOqUqD73.jpg?width=1200)
凍結した銀行にはわりとお金が残っていたけれど、使えないなら意味がない。ほんといざって時は人! 私にとって人が財産。いつもいつも助けられる(泣)
そしてこのまったく動いてくれなかった銀行も、動かしたのは私の卒業生だった。
その子は食べ物を送ってくれただけじゃなく、その銀行に友達がいるからと言って連絡をとってくれた。
すると銀行がすぐに回答。
「同一人物証明を用意したら解除してやる」
……やっと動いた。
領事館が発行する同一人物証明
そもそも銀行凍結解除に必ずしも同一人物証明が必要というわけではないらしい。
要は銀行が認めればいいのだ。
でもお役所気質の山東省ではほぼ100%提示を求められるという。
今回、わたしはいなかの銀行ならとりあえずごり押しでなんとかならないかと試してみたが例に漏れず。
それにしても、銀行が同一人物証明を要求しているということさえ事前に大学が聞いておいてくれれば、私は上海到着した時にすぐ領事館に行けたのに。ここから高鉄(中国の新幹線)で三時間で日帰りちょっときつい。
それでも一応上海領事館に電話で確認。
基本予約は不要。所要時間は一時間をみる。
・古いパスポート
・新しいパスポート
・105元
を持参し申し込み用紙に記入。
https://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/certificate_00001.html#i
来るとき飛行機でとなりだった上海女子につきあってもらって領事館に行くことを考えた。
しかし、結局、青島領事館に行くことになる。
青島領事館での手続き
青島領事館にしたのは、上海より近いからという理由だったが、距離的には近くても、高鉄だと環状線になるので、4時間近くかかる。
それでも青島にしたのは、通訳の男子学生が一緒に行ってくれるからだ。
領事館の後、すぐ近くの建設銀行で凍結解除をしようってことに決めた。
その男子の実家から青島まではそんなに遠くはないというのも理由の一つ。
彼の実家から青島までの往復の交通費はもちろん私が出した。
銀行から同一人物証明の提示を求められたのが年末。1月4日まで領事館は休み。さらに5日から試験が始まり、試験期間突入。
結局通訳男子学生が試験が終わって帰省する冬休みを待つしかなかった。
1月も給料は国際送金で日本の口座へ。
つまり二か月連続中国で給料が手に入らない。
手持ちの現金も残りわずか。
それ以上に通訳男子へのツケ(借金)が増えていく。
彼は大学から出ている一年分の奨学金の金額以上のお金を私のために使った。すまん!
そしていよいよ決戦の日。1月19日がやってくる。
当日は現地で待ち合わせ。
彼は地元の幼馴染を連れて来た。二人で観光して帰るのだという。
よかった。私のつきあいだけが目的ならかわいそうだ。
銀行凍結解除したらごはん代と遊ぶお金ぐらい私が出してやろう!
そう気楽に思っていた……。
いざ青島に着き、すぐ領事館に向かった。
到着したのは12時半。領事館は13時からだ。
青島領事館は高層ビルの45階にあった。
日本語なんて話せる人がまずいないいなかからきたので、ビルの受付の人が「45階です」とか普通に日本語話して驚いた。
![](https://assets.st-note.com/img/1706436306455-7ly15sCW7U.jpg?width=1200)
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領事館といえば、ビザのことで本当に苦労して地獄を味わった札幌領事館が思い出されたけれど、あれは日本の中国の領事館。
ここは中国の日本の領事館。
全然ちがう!
対応する中国人女性がやさしい!!!!!
同行の通訳男子によると、この領事館はN1レベル以上という条件で人材を募集していたという。つまり民間の普通のバイトがやってるといったところか。
だからこそ親切で優しいのか!と妙に感動。
領事館に入った後に荷物検査されたところが中国だなぁと感じたけれど、確かに対応は日本的。
行った時は私以外誰もいなくて、後から一人来たぐらい。
だからここはすぐに終わった。
申請用紙に名前など記入。新旧パスポートを見せて105元(2100円ぐらい)払ったらすぐ証明書がもらえる。一時間もかからなかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1706436829220-X7Z7kwGklL.jpg?width=1200)
問題はこの後! 銀行との対決!
青島の建設銀行
山東省の真の省都(実際は済南)と呼ばれる青島はさすが都会だ。
日本人も多いという。
![](https://assets.st-note.com/img/1706438224498-DHB4KInOZn.jpg?width=1200)
領事館のビルから徒歩で行ける範囲にも建設銀行がある。
それがここ。
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まず領事館とちがい、日本語を話せる銀行員はいない。
ほんと通訳男子連れてこなかったら詰んでた。
ただ、この男子もこんな煩雑なケース説明するのはたいへんみたいだった。
しっかりしているとはいえ、まだ18才。自分のことで銀行に手続きにきたこともないという。
でも彼が非常にがんばってくれたおかげで何とか凍結解除の流れ。
そしてやはり領事館の同一人物証明の効力たるや強力。
カードはそのまま使えるようにしてもらい、名前変更だけしてもらったが、やはり青島のその銀行でも前例がないようで、窓口の人は周りの人に聞きながらやってたし、思った以上に時間がかかった。
で、何とか凍結解除に成功!
しかし、問題はここから。
凍結解除しておろせるようになったところで、前述したように現金は無用の長物。携帯決済ができなければならない。
しかし、私はWeChatと支付宝(アリペイ)は以前も使っていたということで、名前の登録が以前のもの。そのためパスポートを撮影した写真等を提出しなければならない。そして申請結果が出るまで待つ。
この日は結局使えるようにはならず、銀行まで付き合ってくれた通訳男子にこれまでの借金を返済することはできなかったし、「今夜はこれで好きなもの食べなさい!」的な昭和のおじさんみたいなこともできなかった。
銀行での所要時間は二時間半。
私も疲れたが、何より通訳男子大活躍の巻だった。
彼がいなければ、銀行凍結解除なんてできなかった。
私がいる田舎よりずっと大都会な青島でさえ、銀行員は手間取った。
何度も窓口と待合の椅子を行き来した。
疲労困憊
凍結から約二年。
中国に戻ってきた大きな目的の一つ。
銀行凍結解除に成功した!
一人ではできないことだった。
学生や卒業生が力を貸してくれたから解決した。
本当に本当に感謝!
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まとめ
★銀行凍結解除に必要なもの
・古いパスポート
・現在のパスポート
・銀行のカード
※新旧パスポートの名前と銀行カードの名前が一致しているならこれだけでOK
・同一人物証明書
※新旧パスポートの名前が一致しない場合必要。ただし必須という規定はない。(山東省ではほぼ百%必要と考えていい)
★同一人物証明書
中国の日本領事館で発行
※日本では発行していない
予約は基本不要
※青島領事館に先に電話した時、一応いつの何時に来るかは名前と共に聞かれた。
昼休みもあるので時間要確認
日本の年末年始のほか中国の春節期間も休み
私が行った青島領事館はこんな感じ↓
当館窓口取扱時間及び休館日 | 在青島日本国総領事館 (emb-japan.go.jp)
同一人物証明書発行のための必要書類
・新旧パスポート
・105元(現金でのみ受付)
・申請書(領事館でくれる)
くわしくはこちらの上海領事館のサイトを参考に
https://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/certificate_00001.html#i
銀行窓口に行く際、よほど中国語が堪能でもない限り、中国人の通訳は必要と私は考える。
ちなみに中国で英語はほとんど通じないと考えていい。
上海などの都市部はともかく、大都市以外では通じない。
中国語も地域によっては方言で何言ってるかわからない。
その点を考えても、やはり通訳可能な中国人がそばにいると心強い。
以上、自分なりの経験を通して知ったことをまとめてみました!
同じ問題に直面して困っている方の参考になれば幸いです。