肺炎で入院が必要なケースとは?判断基準をわかりやすく解説!
この記事では、肺炎の患者さんが「入院治療」か「外来治療」のどちらが適切なのかを判断するための基準を、わかりやすくご紹介します.
肺炎と聞くとすぐに入院が必要と思う方もいるかもしれませんが、実は外来で治療できる場合も多いのです.ここでは私たち医師が肺炎の患者さんを診たときに、どのように考えているかをお見せできればと思います😊
この記事では、以下の内容について説明します:
✅️入院か外来かを決める判断基準
✅️「A-DROPスコア」を使った重症度の見分け方
✅️特殊なケースでの入院の必要性
1. 肺炎治療の判断基準
肺炎の患者さんが入院するか外来で治療するかを決めるには、重症度に応じて適切な治療を選ぶことが大事です.そのために使われる指標の1つが「A-DROPスコア」(エードロップ)です.このスコアを使うと、患者さんの状態を軽症、中等症、重症、超重症の4つのレベルに分けることができます.
A-DROPスコアは、年齢、脱水の有無、呼吸の状態、意識の状態、血圧の5つの項目をもとに評価します.それぞれの項目を詳しく見てみましょう.
2. A-DROPスコアとは?
「A-DROPスコア」は、肺炎の重症度を評価するための方法です.これを使って、入院が必要かどうかを判断します.スコアの内容は次の5つの要素からなります:
★A (Age):年齢
男性なら70歳以上、女性なら75歳以上
★D (Dehydration):脱水状態
尿量が少なかったり、皮膚が乾燥しているかどうかで判断します
★R (Respiration):呼吸状態
酸素飽和度(SpO2)が90%以下、または動脈血酸素分圧(PaO2)が60以下
★O (Orientation):意識の状態
意識がぼんやりしているかどうかで判断します
★P (Pressure):血圧
収縮期血圧が90mmHg以下
この5つの項目のうち、いくつ該当するかで重症度を評価します.
・軽症:どの項目にも該当しない
・中等症:1〜2つの項目に該当
・重症:3つ以上の項目に該当
・超重症:4つ以上の項目、またはショック状態
3. 入院か外来かの判断基準
A-DROPスコアをもとに、患者さんの治療方針を決めます.具体的には次の通りです.
・軽症〜中等症:外来での治療が可能です
・中等症〜重症:入院して治療する必要があります
・重症以上またはショック状態:ICU(集中治療室)やそれに近い設備での治療が必要です
4. ケース別に考える入院の必要性
ただ、A-DROPスコアは目安にすぎません.患者さんごとの状況に合わせた判断が大事です.例えば、次のようなケースでは入院が必要と判断することが多いです.
・高齢者で一人暮らし:誰も見守ってくれる人がいない場合
・寝たきりの状態:通院が難しい場合
・過去に薬剤耐性菌の感染があった場合:普通の薬が効きにくい場合
これらの状況に該当する場合、スコアが低くても入院が必要かもしれません😭
5. 実際の現場での判断
現場では、A-DROPスコアだけでなく、患者さんの家庭環境や通院できるかどうか、他の病気の有無などを考えて総合的に判断します.たとえ重症度が高くなくても、患者さんが治療を続けられる環境が整っていない場合は、入院が適切な選択肢となります.
また、入院か外来かの判断は、一度決めたら終わりではありません.治療中の患者さんの状態に応じて判断は変わることがあるので、定期的な見直しが必要です.酸素投与をしていたが呼吸が改善して酸素投与が不要になった場合、内服治療へ切り替えて退院したりもします.
まとめ
肺炎は、適切に治療すれば多くの場合は回復できます.そのためにはまず、適切な治療場所を選ぶことが重要です.A-DROPスコアはそのための助けとなりますが、患者さん一人ひとりに合った判断が必要です.特に、高齢者や持病を持つ患者さんについては、家庭でサポートができるかどうかをよく考えることが大切です.
あとがき
今回は「肺炎の患者さんが入院か外来かを判断する基準」についてお話ししました.この記事で、肺炎の重症度の見極め方や、治療場所の選び方が少しでもわかりやすくなったなら嬉しいです😊
どんな病気でも、患者さんに合わせた治療が必要です.医療者として患者さんに寄り添い、最適な治療を提供できるように努めていきたいですね.
これからも呼吸器に関する情報をお届けしますので、興味のある方はぜひフォローをお願いします.