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【小説】空に月

#1

ソラは固まった…

世界中の時間が止まった気がした。
ちゃんと理解するのに苦労した。
目の前の人物が、一体ダレで何を言ってるのか?
ぜんぜん頭の整理ができなかった。

「ソラ君だよね? わたしルナだよ?」
「…ルナって、あのルナちゃん?」
「うんそう!わかるでしょ?
ツイッターでいつも『いいね』してくれるじゃん!」

。。。だとしたら、これって普通じゃないことが起きている。。。

ソラはパニックの頭で、そう思った。
SNSで実際会ったことなんて初めてで、しかも約束もしていない、
突然ヴァーチャルな世界に突き落とされたアバターみたいだな、と思った。

「ソラ君の顔は知ってたからさ~。 たぶんそうかなー?って(笑)」
「だからって急に声かけるのスゴイね(笑)」
「ああ~確かに…、でもソラ君ならいいかな?って(笑)」

思っていたのと違って、良く笑う子だとソラは思った。


━ もともとはネットの中で知り合った二人だった、
しかし世界はコロナの影響で、
住める場所と住めない場所で分けられていた。
そんな中、ルナはソラの住む町へ移り住むことになった。 ━

「高校もこっちの県の学校に移ることになったんだ…」
「そっか。 慣れるまで頼っていいからな!」
「うん!ありがとう!」

急激に距離が縮まって、運命的なものを感じるソラだった。
いつもは言わないような言葉もスラスラでてきた。
コロナの影響で、この先の人生は明るくないことを想像していた。
人類の手の及ばない何かが、地球を襲っている感覚がして
『もうどうにでもなれ!』と思うことさえあった。
ルナの存在は、そんな暗闇の中を光とともに降りてきた、
大きな希望になっていった。

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