LyPR 00

 瞳の数センチ前で、美麗なグラフィックを映していたディスプレイがブラックアウトした。
 VRデバイスを外した少年は、気を取り直してノートを開く。今までVRゲームで遊んでいたが、一応1日の上限は決めてある。それよりも20分早いが、アバターをキルされたのを区切りにした。
 明らかにアバターのレベルが違い過ぎる。恐らく、周囲にいた他のユーザも不可解に思っているだろう。しかし、これが現実だった。
 レベルは何をやっても上がらない。上がらない以上、勝つことはできない。ただ、ゲーム如きで悩んでも仕方ない。これはゲーム、単なる遊びでしかないからだ。ただ、遊びだと思っていない連中も多い。そう、或る意味では何よりも真剣な戦いなのだ。

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