ガルクラ13話 完走&感想
東映が怒涛の情熱で作り上げた、ガールズバンド・オリジナル フルCGアニメ「ガールズバンドクライ」
主人公達はアニメの放送が始まる約1年前から、劇中のバンド「トゲナシトゲアリ」として先行デビュー。
声優ではなく実際に演奏をするバンドとして、配信やYouTubeで1年近く楽曲を発表して来た彼女達。
たまたま昨年末くらいにApple Musicで偶然「爆ぜて咲く」を視聴(この時はアニメのバンドだと知らなかった)。
https://youtu.be/LU3f8ZGfd5g?si=B46aX-asRbnWX8xT
そのままApple Musicのプレイリストにほっぽり込んで、暫く忘れていましたw
そして今年の春にガールズバンドクライが始まる予告を観て、「あれ?コレ前に聞いたバンドじゃない⁉︎」と思い、初回から視聴を開始。
東映といえば、ドラゴンボールやプリキュアなど、比較的お子様向け、もしくは大きなお友達向けのアニメを作って来た会社ですが、小さい娘がいるお父さん達なら知っているはず!
プリキュアのEDでのダンス・演奏・表情・表現力が毎年毎年、異常なレベルで進化していた事を(我が家は5からスマイルくらいまで娘と観ていましたw)
そんな東映が、人気のガールズバンド物にとうとう打って出て来た⁉︎
という事で、制作陣への周囲からの期待やプレッシャーは、たぶん大きかったのではないかと想像します🤔
そしていざ、蓋を開けてみれば舞台はマイホームタウン川崎。しかも自分の生活圏である新川崎〜矢向〜川崎駅間がメイン!
コレは否が応でも期待せざるおえない‼︎
(*´Д`)ハァハァ
と思い、視聴を開始しましたが…
確かによく動く、いま3DCGはここまで表情豊かに動くのか〜、凄いなあ〜。
曲も1話の雨の川崎で唄われる「空の箱」がいい曲で、
https://youtu.be/pA-pzhQQFBA?si=GFOBSQgyNE4EnfeH
確かに視聴継続は決定していたのですが。
しかし、本人達の本業はバンドであって声優ではありません、そしてやっぱり3DCGの違和感に馴染めず、「ぼざろ」の手書きアニメの方がバンド物として好きだなぁとか思いつつ惰性で観てました。
何よりも、どうしても主人公が好きになれない‼︎(笑)
なんなら、全方向に喧嘩を売る「正論モンスター」のお子様&狂犬ぶりに「ぶっちゃけ嫌い」まで思ってましたw
よい曲が多いし、回を追うごとにライブシーンの表現力も上がって来て、視聴を続けてもはいますが、イマイチぼざろの時のようにハマれない…💧
と思いながら、気がついたら12話…
ストーリーも、え、本当にこれ来週で最後?、綺麗に終わるの?
と思いながら観てたのです。
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※以下、超絶ネタバレです
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そして最終話の13話、
ここ迄の道のり、各メンバーそれぞれのわだかまりを乗り越え、事務所や協力してくれた大人達の応援のお陰で、ライバルバンドとの対バンまで漕ぎ着けました。
しかし、主人公のバンドはライバルバンドとの対バンが始まる前から現実の差や、大人の世界の都合で、ほぼ負け確の状態。
負け確状態が故に、ライバルバンドから助け舟が提案されます(でもそれは、本当は自分の事務所の人がライバルバンド側に頭を下げた結果の助け舟)。
そんな状況で、事務所や周囲の大人達からの手助けやエールを無駄にしないように、バンドも妥協案に流されそうになります。
それでも主人公の狂犬「仁菜(ニナ)」は絶対に譲りません、曲げません、噛みつきます(笑)
さすが正論モンスター!、観てる人もドン引きです🤣
もうここまで来るとちょっと異常では?のレベルw、狂犬の名は伊達じゃない!
でもそれには理由がありました。
仁菜が高校時代にイジメで折れそうになっている時、仁菜を助けてくれたのは、ギター桃香の楽曲でした。
桃香も一度、前に所属していたバンド・ダイダスを辞めて音楽の道を諦めようとした時、折れた彼女の心と背中をもう一度押してくれたのが仁菜でした。
仁菜はそんな桃香の楽曲に助けられたから、今の自分がある。
だから今度は、桃香の夢を「このバンド」で、桃香の音楽を諦めずに貫いて欲しい‼︎
その為だったら、自分達に手を貸してくれた人達には申し訳ないけど売れなくてもいい‼︎
それでも「私達は絶対に間違ってないから‼︎」と、仁菜は言い切ります。
そう、大人になったら普通は妥協を覚えます。自分たちに手を貸してくれた人達に迷惑を掛けるのは申し訳ないと思います。そこまでして、売れるか売れないか分からない自分たちのエゴを押し通すことはしません。
だって、それが「普通の大人」だから。
でも、仁菜は「狂犬」ですw
普通の人なら妥協するところでも「絶対に間違ってない‼︎」と平気で吠えます。
・そんな訳あるか!
・大人はそんな簡単に行かないんだよ!
たぶん大人の視聴者の大多数はそう思うはずです。
それでも最終回、仁菜と彼女達のバンドが選択するのは「潔い負け戦」でした。
だって本人達は「負けた=間違ってる」とは、1ミリも思っていないんです。
仁菜やトゲナシトゲアリのメンバーにとっては、このメンバーで自分達のやりたい音楽を貫く事が「正義」であって、「正義=間違ってない!」、だから、たとえ勝負やセールスで負けたとしても「負けた=でも、間違ってない!」なんですよ。
そんな子供の理屈、通るわけありません。
でも良いんです、仁菜は子供で狂犬で、正論モンスターで、
そして、トゲナシトゲアリのメンバーにとってロックスターなのだから!
最近ありがちな物語のように、主人公の仁菜はサクセスストーリーを歩みません。
自分(達)の音楽が目指した道で、いきなり出鼻を挫かれます。
でもだから⁉︎、それがどうした‼︎!!
その程度の失敗で、自分達は間違っていたと認めるのか?
そんな事なら最初からロックバンドなんてやらない!
自分たちを認めない全てに「中指立てて、【絶対に間違ってない!!】と言ってやる‼︎‼︎(彼女たちは小指を立てるのですがw)」
ああ、ロックって本来そういうモノでしたね。確かに、10代の頃はやたらめったら中指立ててましたw
ガンズのアクセルや、SKIDROWのセバスチャン、MEGADETHのデイヴ、Mötleyのおバカさんたちw
そんな破天荒な馬鹿野郎たちに憧れて、情熱を燃やすのがロックでした(🔥)
人間、50年も生きると、敦盛は吟じられても、そんな簡単な事すら忘れてしまってました😭
最後のライブシーン、桃香が過去や今のしがらみを振り切り、自分のやりたい音楽を仁菜とメンバーと追い続けるんだ!と言わんばかりに、桃香のギターが荒ぶります🙌
ここまで、バンド内では年上で、一度メジャーで失敗、皆んなを苦しい道へ巻き込んで良いのか?、と大人故に葛藤があって振り切れてなかった桃香。
最後の曲で、仁菜の狂犬ぶりが、桃香に、メンバーに、ようやく伝播し、各々が振り切ります。
自分が仁菜を好きになれなかったのは、音楽やスポーツやどんなジャンルでも、昔は仁菜と同じような情熱を持っていたはずなのに、いつしか「自分が間違っていた」と認めてしまった、仁菜が嫌いな負け犬になっている事を認めたくなかったから。
だから、真っすぐで、馬鹿で、狂犬で、眩しい仁菜が嫌いでしたw
きっと仁菜のライバルのダイダスの現Vo.ヒナもそうだった筈です。
実は、この13話までのサブタイトルは全て、日本のロックバンドの楽曲タイトル。そして最後の13話、サブタイトルは「ロックンロールは鳴り止まないっ」
気持ちよく負けた彼女達。
でもきっと、今日も明日も、明後日も、川崎の空の下、トゲナシトゲアリの「ロックンロールは鳴り止まないっ」のだと思わせる、気が付けば「宇宙よりも遠い場所」と同じように、爽やかな終わり方でした。
さすが花田十輝、けいおん!、響け!ユーフォニアムを手掛けてきた手腕が今回も光る。そしてよりもいと同じ、原作なしのオリジナルアニメだからこそ、1クールで綺麗に一つに纏められた脚本の作品でした。
補足:マクロス7や機動武闘伝Gガンダムのような、最初と最後では全く見方の異なる作品が好きな人にはお勧めです。