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エブリシングエブリウェアオールアットワンスを観た

観た人は「エブエブ」と略している話題の映画。

いつでもどこでもいっぺんに

そんな意味のタイトルのこの映画。
これがまさに素晴らしい作品だった。

マルチバース

この作品は「マルチバース」を設定している作品だ。

なんのこと?って思う人もいるだろう。

所謂、「平行世界」説である。

人には様々な可能性があって、
私は大学に行かず、高校卒業後に就職した人生だったが、別の世界では渡しが大学に行って遊んでた人生を歩んでいる。
そんな可能性の世界が沢山あるとされている。
それがマルチバースだ。

マーベルシネマティックユニバースがアベンジャーズで取り扱い、いまそのマルチバースを都合良く、たくみに活用して、スパイダーマンノーウェイホームでは歴代スパイダーマンが勢揃いして私も大興奮した。

ライバルのDCもついにフラッシュの映画でマルチバースを扱い、いままでの負の遺産を無かったことにしようと頑張っているらしい。

そんなマルチバースをこの作品では、移民問題や多様性、格差問題を絡めていきながら、カンフーアクションしなが親子喧嘩する、そんな作品なのだ。

これが、とにかく傑作で、最後にはボロ泣きで劇場を後にすることになるのだから人生は何が起きるかわからない。

最初はバカコメディで始まる

まず最初は主人公のミッシェルヨー演じるエブリンの今が描かれる。
彼女は移民で、幼馴染みと結婚して娘が一人いる。
仲良くない父親を引き取るしかなく、車椅子でわがままな父の世話もしながら、コインランドリーを経営しているが税金問題を抱えている。
更に言えば娘は同性愛者で、恋人を春節のパーティーに呼びたいと思っているが、エブリンは受け入れられず娘との仲も良くない。

そんな状況の中、国税庁に確定申告にいくのだが、急に夫が急変しマルチバースのことを説明し始めたところから物語は可笑しくなっていく。

とにかくマトリックスのパロディー設定のような感じで別の世界の自分から能力をダウンロードして、マーシャルアーツを駆使しながら闘うことになるのだが、その取得条件が「変なことをすること」なのである。

余り言うとつまらなくなるかもしれないので、どんな変なことなのかは内緒にしておく。

もしスイスアーミーマンを観たことがある人なら想像つくかもしれない。

つまり、下品だ。

スイスアーミーマン


この映画てダニエルズという監督と脚本を担当している二人組だ。
スイスアーミーマンという映画で長編デビュー。

このスイスアーミーマン、ハリー・ポッターでおなじみのダニエル・ラドクリフがなんでも使える死体役で出ているんだが、それは酷いコメディで正直金返せよと思った映画だった。

そんな二人がアカデミー賞を総なめしたのだから、ダニエル・ラドクリフは先見の明があったと言うことだろう。

とにかく、下品なギャグが出てくるのだが、受け入れやすい笑いになっていて、割と誰でも観れる作品になっていたのは驚きの一つだった。

愛がテーマの作品

そんな映画も第二部から様子が変わってくる。

親子が大きなテーマとなっているこの作品は徐々に親子にフォーカスしていく。

可能性は多様性であり、その多様性を求めながらも娘の多様化は受け入れられない母としての自分と対立する。自分が親に対して感じていたフラストレーションと似た形で娘が絶望を感じていることに気づくまでが描かれるのだが、これがなんとも素晴らしいのだ。

あの石のシーンからどんどん涙が溢れ始める。

何がそんなに注目されているのか

何が話題かというと、まずはコメディなのに「優しさ」と「愛」が伝わる展開に発展し、見事にまとめあげていて、感動を誘うところである。

それに、子供がいる人にとっては持ち帰るものが必ずあるだろう。
自分の子供がまさに多様化が当たり前の世界に飛び出し、自由に生きるのだ。
俺たちの時代はな…なんて言ってたら心の距離は離れていくばかりだ。
だから優しくいられるようにしたいと思う。

そして、作品の中には多様性や移民問題、生活格差、マルチバースの都合の良さ、少しの下品、親子喧嘩、ジェネレーションギャップなど、いま世界で共通の問題が全部乗せなところだ。

こんなの乗せたらトンデモナイことになるのに、作風がムチャクチャだから許されるし、マルチバースで片付けられる強さがある。

さらにわかりやすい注目ポイントは賞レースの席巻だろう。

アメリカのアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、助演男優賞など、賞を総なめにしたと言っても過言ではない作品だからだ。
しかも、主演女優賞を獲得したミッシェル•ヨーと助演男優賞を獲得したキー•ホイ•クワンはアジア系で初の受賞という、アメリカンでの多様性を実現したかのような出来事だった。

また、個人的にはハロウィンでおなじみのジェイミー・リー・カーティスが助演女優賞を受賞したことも驚きだった。
彼女はハロウィンでブレイクしてから、これまでホラーなどの作品が多くなってしまい、いまだにハロウィンシリーズでローリーを演じている大女優だ。

そのお陰なのか、賞レースにも恵まれなかったが、まさかここに来て受賞したのである。

クワンの受賞も感動的だった。
彼はグーニーズやインディージョーンズを観ていた世代からすると、懐かしの俳優だ。
これまで裏方に回って映画に携わって居た人が復帰していきなり受賞したのである。
彼が子供のように喜び、ハリソン・フォードとオスカー像を分かち合い親子のように喜ぶ様はこみ上げるものがあった。

もちろん、主演女優賞を獲得したミッシェル•ヨーは本当に素晴らしくて彼女のコミカルで女優としても魅力的な面が沢山出ていて最高だった。

とにかく観た方が良い

何かに囚われていたり、自分は不幸だ、被害者だと思ってしまっているとき、なんでこんなことにと思ってしまっているときほど、周りに優しくできないものだ。

でも、だからこそ親切や優しさを忘れない心が大切なのだ。
それをこの作品は教えてくれる。

まさか最初に見始めたときはこんな話をすることになるとは思わなかった。
想定外だ。

「くだらないギャグ映画だったわ」って感想書くのかなと思ってたのに。。。

世間は仮面ライダー一色になりつつあるが、仮面ライダーがこれを超えてくるのか正直不安しかない。

先輩方が推してくれるあたり、石ノ森先生が描いた原作に近いのかしら?

仮面ライダーも観に行こうと思う。
なんにしてもしばらくエブエブを超える映画はないのではないかと思った次第でした。


未見の方は是非。

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