アイ・アム・まきもと
水田監督の最新作
今回、私の中では勝手にご縁を感じている水田監督の最新作を見てきた。
友人知人がこぞって「2回見た」「すごくいい!」と言っているし、水田監督と阿部サダヲさんの組み合わせなんて最高じゃないか!ということで前情報はあんまりない状態で観ていた。
水田監督らしい、ちょっとおかしなハートフルコメディ調で始まり、
わかりやすく「まきもと」という致命的に察することのできない男が
誰もが深く関わろうとしない事に真剣に向き合い頑張っている男だと
いう事を説明してくれて流石だった。
水田監督らしい伏線
伏線というと大げさだけど、主人公を一言で表現するような事を最初に
聴衆にさりげなく印象付けておいて、最後に強いインパクトを残すやり方は
流石だなと思いました。
今回は「頑張った、頑張った」
迷惑なまきもと
水田監督らしいんだけど、今回は「人の死」を扱っている事もあってか
人によって捉え方が違ってくるんだろうと思う。
まず、私は今日までの約4年間で両親を亡くしている。
両親とは一時期、縁を切っていた時期もあったこともあって
私は他人事ではない気持ちで観ていたため、
この「まきもと」という人物の行動については、
「残された者」、ようは「遺族」の視点で観ていたため
”こんなことされたら迷惑だろうなぁ”という感情で観ていたので
なかなか察してくれない牧本さんを思いっきり笑えなかったりした。
だって、縁を切っていた血縁者が亡くなって
遺骨も受け取りたくないし、もうこれ以上関わりたくないと思っているのに
まきもとはアクションをしてくるのだ・・・これは辛い。
正直、責められている気持ちになってたのかもとも思うが・・・。
さらに、身銭を切って葬式までやってあげている。
そして血縁者には葬式に出てほしいと連絡しているのも
遺族からしたら困惑するだろう。
縁を切っていても親は親
最後の仕事として、まきもとは「蕪木さん」という孤独死した男性の
遺族を探しだす。
彼は最後の仕事になるためか、遺品を調べて色んな人と会っていくことで
ついに遺品の写真にあった実の娘と合うことが出来る。
娘は父とは縁を切っていたし、葬式には出ないと言っていたがついに両親がこの世から居なくなったのか、と言ってふいに泣き出すシーンは自分自身の経験も重なって涙が止まらなかった。
縁を切っていても親は親である。
嫌な思い出、向き合いたくないこともあるが
良い思い出もあるし、特に後悔というものは死と強く結びつく感情で
これを向き合うのはなかなか辛いことだ。
切ない最後
正直、珍しく主観的に映画を観てしまっていたために
まきもとのクライマックスに向けての行動は理解が出来ず
「なぜ終活みたいなことまでし始めているの?」みたいな疑問で
溢れていて、まきもと視点に共感が出来なかった。
こうして振り返ってみると
冒頭でのまきもとの紹介で「おみおくり係」での仕事のまきもとは
血縁者にははっきり「身寄りです」と言ったりしており
正直迷惑なんです、疲れてるんです、って訴えていたという事に気づいた。
だから遺族の立場からすると辛かったのだ。
勝手に葬式までするのだ。
でも蕪木さんの葬式は一味違っていて
まきもとは初めてやりがいを感じていて、感謝されたことが嬉しかったのだ。
なんで、墓を渡したんだよ、と思ったが
これも嬉しかったのだ。
やっとまきもとが愛おしくなってきた。
複雑な遺族の立場として観てしまうと咀嚼が難しくなってしまった。
それでもさすが水田監督という映画
なんか忘れられない感情を感じさせてくれるし
なんだかんだ泣き笑いさせる手腕もさすが水田監督でした。
でも、今回は切ない最後でしたね。
出演している役者さんは本当に演技が素晴らしい方ばかりだし
素晴らしい脚本の映画だし、みんな観て笑い泣きしてほしい。
妻との初デートで観た映画が「謝罪の王様」なので
勝手に思い入れがあったりするのでこれからも観させていただきます。
今回は個人的な感想ばかりで読みづらいったらありゃしない。
こんなのを最後まで読んでいただきありがとうございました。