彼の頭のなか
ーー夏の昼下がり
「くそっ!!なぜ上手くいかないのだ!あの実験が成功すれば...」
ーー男は、自身が責任者となっているプロジェクトが頓挫してしまい、来る日も悩んでいた。それは物体のテレポーテーションについての研究である。彼は世界の行く末をその手に委ねられているのだ。テレポーテーション。それは人類の夢であり、希望である。
しかし彼にとって人類の夢や希望などどうでも良かった。宇宙とは一体何なのか。その目で、その身体で確かめたいだけ。
「まあいい。再度シミュレーション条件の見直しだ。今日はここまでにしよう。」
ーー予定よりも早く切り上げ、頭を次へと切り替える。実験は失敗に終わったのだ。悔やんでいても仕方がない。次へと進むのみだ。白衣から私服に着替えて帰路につく。
いつもの道にいつもの子猫がいた。周りを確認してしゃがみ込み、さわやかな笑顔が溢れる。
「あらららどちたの。お腹すいたの。これをお食べ」
ーー誰かから差し入れでもらったお菓子を与える。
「かわいいね😍まったくそんなにもふもふしてけしからんな。」
ーー何なんだろうこのフォルムといい、動作、鳴き声といい何故こんなにも虜にするのだろうか。
「おまえはテレポーテーションなんかどうでもいいんだよな。」
ーーつーか今蚊に刺されて痒いです。続きはまた今度。
(ぶつ切り)
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