【NEW RELEASE!】 Flamenco al Aire フラメンコ・アル・アイレ 〜ロマンティック・スペインと水玉の幻想
この度、新作『Flamenco al Aire フラメンコ・アル・アイレ 〜ロマンティック・スペインと水玉の幻想』を出版いたしました。
これは、前作の『Noche de Tango ノチェ・デ・タンゴ 〜アルゼンチンタンゴの夜〜』と対になる作品となっております。
フラメンコといえばスペイン発祥、アルゼンチンタンゴといえばアルゼンチン発祥のものですが、実はこの二つのジャンル、一見全く関わり合いのないようにも見えて、スペインが新大陸を発見して進出していくという歴史の流れの中で繋がっています。
もとはスペインにあった音楽が、新大陸に渡ってはまたスペインに戻り、という行ったり来たりを繰り返し、互いに影響を与えながらそれぞれ別のものに育っていく様はとても面白いです。
本シリーズは、そういった楽しみを味わっていただけるようにするために制作しました。
2作目となるこの『Flamenco al Aire』は、情熱の国、神秘的で魅惑的なジプシーの踊り子、闘牛、そしてフラメンコといった「古き良きスペイン」のイメージがどのようにして生まれ育っていったのかを歴史的な流れで追うことができます。
一般的には「フラメンコ」といえば何やら民族音楽のように、ヨーロッパから独立した局所的文化のようなイメージがありますが、この本ではこれまでにフランスヴェルサイユ宮殿の貴族文化やヨーロッパの魔女の文化などといったものを描いてきた作家・真城七子ならではの視点で、ナポレオンの侵略やパリの万国博覧会、ロマン主義の流行などとフラメンコが歴史の流れの中でどう影響し合って成長していったのかが語られます。
そういった点で、この本はフラメンコに専門的に関わられている方の他、全くフラメンコに関わりのない方々にも、文化史、美学史、歴史といった視点から楽しんでいただけると思います。
また、付属しているCDでは、フラメンコの本場スペインのグラナダ出身、フラメンコを一族の中で伝統的に演じてきたフラメンコの名家出身のギタリストさんをお呼びしています。
フラメンコには楽譜という文化がなく、音楽は全て口伝で伝承されます。
そのためアーティストの音には、どのような生活背景で、どのような人間関係で演奏活動を続けてきたのかが、音楽の中にくっきりと浮かび上がるように見えることがあります。
現に今回お呼びしたギタリストさんは、父親もまたとても有名なフラメンコギタリストだったため、彼の音楽の中にも時折親子で引き継いだ音が現れます。
また、彼の生まれ育った環境は、一家全員がフラメンコを日常的に楽しむフラメンコ一家でした。
そのため、彼はまるで息をするように自然にフラメンコをします。
そういったものは「アイレ」(標準スペイン語では“空気“の意味。フラメンコ用語では“なんともいえぬ素晴らしいフラメンコの雰囲気“といったニュアンスで用いられる)となり、彼の音楽に分け難く染み付いているのです。
「楽譜」という文化が主流となる現在の音楽シーンで、こういった文化がまだ残っているということは、とても面白いことではないでしょうか。
この本は、目で古き良きスペインを味わい、耳で「古き良きスペイン」イメージの代表格であるフラメンコを味わう、そんな二つの至福を同時に味わえる豪華な本となっております。
音楽の視聴、目次や試し読み、ご購入はこちらから可能です。
よろしければぜひ覗いてみてください。