Clear SkyがClariSファンにとって特別な曲である理由を真面目に言語化する
まえがき(2回目)
前書きで爆発してしまったクソデカ感情を前回記事に全て吐き出してきたので、ようやく今回「Clear Sky」について真面目に解説します。
(前回記事はこちら ↓)
前回で既に紹介してますが、改めて曲紹介から。
曲紹介
作詞・作曲・編曲:丸山真由子
新メンバーであるカレンを迎えた「新生ClariS」の始まりとなる楽曲。
雑誌「リスアニ! Vol. 19」の付録CDとして発表され、初のベストアルバム「ClariS 〜SINGLE BEST 1st〜」やデビュー10周年記念アルバム「ClariS 10th Anniversary BEST - Green Star -」に収録されています。
この曲に関しては、歌詞だけでなく曲名や曲構成についても自分が好きな所を書いていきたいと思います。
曲名について
「Clear Sky」という曲名を語る上で、どうしても触れておかなければならないことが2つあります。
1つ目は、前回記事でも触れた卒業メンバー、アリスについて。
2つ目は、アリス参加ラストアルバム「PARTY TIME」のエンディング曲、つまりアリス最後の歌唱曲となった「Orange」についてです。
アリスのイメージアイテム「太陽」
ClariSではメンバーにイメージカラー・アイテムが設定されています。
クララはピンクと月。
アリスはブルーと太陽。
カレンはグリーンと星。
様々な公式イラストやグッズ、そして曲名や歌詞にもこれらがモチーフとして使用されています。
例えば、ClariS最大のヒット曲「コネクト」のカップリング曲である「Dreamin'」には、当時のメンバーであるクララとアリスをイメージしたこんな歌詞があります。
大人びた歌唱力と切ない声質のクララは、夜空に静かに浮かぶ月。
少女らしさが残る少し舌足らずで喉から絞り出すような歌い方のアリスは、青空に燦々と輝く太陽。
2人のシンガーとしての特徴にも合ったイメージアイテムだと思います。
アリス最後の歌唱曲「Orange」
そして、この「太陽」というモチーフがとても印象的に、かつ切なく使われた曲があります。
それが、「PARTY TIME」のエンディング曲「Orange」です。
この曲をもってClariSを卒業するアリスへの、別れの曲です。
そこで描かれるのは、卒業式の帰り道に親友と見たオレンジ色の空。
つまり、「夕日=沈んでいく太陽」が最後に見せる美しい輝きです。
こんなに詩的で完璧な比喩表現があるでしょうか?
アリスとの別れの曲にこんなにも相応しい場面が他にあるでしょうか?
正直、この曲単体ですぐに1記事書きたいくらい思い入れが強い曲ですが、それは別の機会にします。
そして「Orange」の作詞・作曲・編曲は、Clear Skyと同じく丸山真由子さんなのです。
もう、ここまでで私が言いたいことは何となく伝わっているかと思います。
そう、この「Clear Sky」という曲名は、この曲を聴いた当時のファンの心境そのものなのです。
「Orange」から「Clear Sky」までの5ヶ月間、とにかく不安でした。
これからClariSはどうなっていくのか。
新メンバーってどんな人なのか。
音楽性は変わって行くのか。
考えても仕方の無いことばかりグルグル考えてしまい、過去曲を沢山聴いたり私生活の忙しさに身を任せたりして、無理してでも考えないようにしていました。
前回記事に自分がすぐリスアニを買わなかった理由を書きましたが、それに加えてどこか怖い気持ちもあったんだと思います。
もし、ClariSの新曲を好きになれなかったら?
新生ClariSが、自分が好きだったClariSとは変わってしまっていたら?
自分はこれからもClariSを好きでいられるんだろうか?
そんな恐怖心が無意識に心の片隅にあったのかもしれません。
でも、この曲を聴いてそんな不安は全て吹き飛びました。
沈んでいく夕日を見送り、不安で心細い夜を過ごした5ヶ月間が終わって。
澄み切った朝の青空に、もう一度光り輝く太陽が昇っていく。
この曲名は、丸山真由子さんからファンへの、そして不安を抱えながらも新しい旅を始めるクララとカレンへの、優しさに満ちたメッセージのように思えます。
曲構成・歌詞解説
では、ここからは曲構成・歌詞について書いていきたいと思います。
イントロ
開始4秒付近からピアノのメロディーが始まります。
個人的な感覚なんですが、このピアノの音色、グランドピアノというよりはアップライトピアノ(縦長で奥行きが狭いタイプ)とか電子ピアノっぽいニュアンスを感じます。
スタジオ生録音でない限り作曲ソフトのピアノ音声なので、本物のグランドピアノとは異なるニュアンスになるのは当たり前なのですが、私は「太陽の光」を表現するために意図してこの音色にしているのでは?と思っています。
これも私の個人的な感覚ですが、グランドピアノは音が豊かに響くので空間の広さ(横)を感じやすいのに対して、アップライトピアノや電子ピアノはそこまで響かないため空間の高さ(縦)を感じられるような印象があります。
しかもこの曲は電子ピアノっぽさも感じるキラキラした音色なので、高く昇った太陽から差し込む光のような印象を受けます。
この開始4秒からのイントロだけで「澄み切った青空に光り輝く太陽が昇っていく」っていう歌詞のストーリーを表現出来てる気がしませんか?
また、イントロで入るコーラスの声も計算されていると思います。
新メンバーであるカレンの声を初めて聴く曲なので、当然ファンはカレンの声に注目しています。
そんな中、開始6秒くらいからのコーラスでさっそく声が聴こえてきます。
一瞬ドキッとしますが、慣れ親しんだクララの声だとすぐ気付きます。
その直後の12秒くらい、バスドラムやベースの音が入ってきたタイミングで、初めて聴く声のコーラスが重なってきます。
ここで「これが新メンバーの声!?」ってドキッとします。
でもLaLaLaのコーラスだけなので、ハッキリとどんな声かはまだこの時点では分かりません。
「今までのClariS」の象徴でもあるクララの声をまず聴かせて、ドキッとさせると同時に「自分が好きだったClariSは変わらない」っていう安心感をまず与えてくれて、そのあと「新生ClariS」の象徴となるカレンの声をコーラスでちらっとだけ聴かせて期待を煽る。
これ、さりげないけどメッチャ計算されたイントロだと思うんですよ。
この20秒に色んな仕掛けが詰まってると思います。
もちろん最初に聴いた時からこんなに分析出来てたわけじゃなくて、何回も聴きながら段々仕掛けに気付いていったんですけど笑
でも、初めて聴いた時に「安心感」と「期待感」っていう矛盾しそうな要素を同時に感じたのは凄く覚えてて、今振り返ってみると当時の私が感じていたのはこういうことだったのかな?って思います。
1番
イントロが終わって始まるAメロは、クララの1人歌唱です。
これもイントロのコーラスと同じで、「今までのClariS」の象徴であるクララの声をまず聴かせてファンを安心させる効果があると思います。
そして、Aメロの最後の「何かが変わった」の後、一瞬休符が入って全部の音が鳴り止みます。
その一瞬の休符の後、カレンが1人で歌う、初めてカレンの歌声をハッキリ聴かせてくれるBメロが始まるんです。
これもメチャクチャ計算されていると思っていて。
鳴ってた音が突然鳴りやむと、人間の耳って自然と注意を向けて「聞き耳を立てる」みたいな感覚になるじゃないですか。
そう仕向けられた状態でBメロが始まるので、カレンの声を初披露するこのパートが凄く際立ちます。
「ねぇ 聞こえる?」を初めて聴いた時の感覚、未だに忘れません。
これ、他アーティストでもよく使われるテクニックだと思いますが、ClariSだとラスサビ前で使われる曲が印象的ですね。
例えば以前紹介した「眠り姫」の「はぁ」や、「アワイオモイ」の「カナワナイ」などでも同じテクニックが使われてると思います。
あと、「ハートのリズム 強くなる」に合わせてハンドクラップ(手拍子)のパンパンッって音が入ってますよね。
これもすっごく好きで、不安もありながら新しい挑戦に高揚するカレンの胸の鼓動の高まりが聴こえてくるみたいですよね。
こういう、音でも歌詞を表現してくれるの個人的に大好きです。
そしてサビに入ると、「シンクロしてる」の歌詞に合わせるように2人で一緒に歌う声が披露されます。
初めてカレンの声を聴かせたBメロに続くサビで、今度は一緒に歌う声を聴かせるところまで、狙いすましてますよね。
「メンバーが変わっても、一緒に歌うとちゃんとClariSの空気感でしょ?」ってファンを安心させてくれます。
これを聴いたら「信じてみよう明日の行方」ってファンも思えます。
「シンクロ」と「信じて」でさりげなく韻を踏むのもエグイです。
そして、サビの最後は「太陽は背中を押すの はじまるこのメロディー」。
もう、こんなん泣くなって方が無理ですよね。
太陽=アリスが、クララとカレンの新しい旅立ちを空から見守っている。
2人を応援するように、暖かい日差しで地球を照らしてくれている。
ここから、新生ClariSのメロディーが始まっていく。
どんなコメントより、この歌詞がファンへの何よりのメッセージです。
曲全体を通して「不安を振り払う希望の象徴」として太陽を描くのが、こう、とても、涙腺を刺激しますよね・・・。
補足:1番の歌詞について
曲構成に続いて、1番の歌詞を詳しく見ていきましょう。
歌詞は読めば分かる通り、不安を抱えながら新しい目的地へと旅立とうとするクララが「行先の同じキミ」=カレンに出逢う場面です。
これだけで充分素敵なんですが、「新しい場所へのスタート」を表現する言葉が色々ある中で「駅のホーム」を選んでくれたのが特に素敵だなって思うんです。
「駅のホーム」っていうこの情景は、この曲の歌詞から感じる心情にとても合ってる気がします。
もしこれが「空港」だったらなんか急に遠くに飛び立つみたいですし、「車」ならアクセル全開で意気揚々と走っていくみたいじゃないですか。
でも、この曲の旅立ちはそうじゃないと思うんです。
なぜなら、それだとアリスが忘れ去られたような気分になってしまうから。
アリスは学業専念を理由に、短いお別れメッセージを公式サイトにポツンと残して、新アルバム発売の1週間前に突然卒業を発表しました。
当時のClariSはまだライブをほぼ行わないアーティストだったため、卒業ライブ的なものもありませんでした。
ファンに出来たことは、新アルバム「PARTY TIME」を、そのエンディング曲「Orange」をただ聴くことだけだったのです。
正直言って、気持ちの整理なんてつくわけありませんでした。
でも、受け入れなきゃいけない。
だって、ClariSはそういうアーティストだし、ただのファンの自分に他に選択肢なんて無いから。
そんな状態で発表された「新生ClariSの船出の曲」が、明るく意気揚々と新しい目的地に向かって旅立つような雰囲気をちょっとでもまとっていたら、ファンはどう思ったでしょう?
「アリスって、もう過去の人なの?」
「自分が好きだったクララとアリスのClariSは、もう忘れろってこと?」
多分、私はそう思っていたかもしれません。
そう思いたくないし、活動を続けてくれるだけでありがたいことなのに。
心のどこかで、そういうモヤモヤを抱えてしまう自分がいたでしょう。
私以外にも、そう思うファンは一定数いたはずです。
つまり、この曲はとてつもない難題を課せられていて。
ファンが希望を持てるような「新生ClariSの始まり」でありつつ、
ファンが好きだった「今までのClariS」を少しでも否定してはいけない。
そして更に、当時ネット上でファン以外のまとめサイトなどが面白おかしく有ること無いこと書き立てていた「アリス脱退理由」「不仲説」「事務所トラブル」などで、根拠の無い憶測だと分かっていてもザワザワしていたファンの心を落ち着かせるものでなければならない。
・・・もし自分が作詞家だったら、と思うと冷や汗が出ます。
これを全部満たしてかつ詩として成り立たせるって、ノーベル文学賞取れるんじゃないかってくらいの文豪じゃないと無理です。
でも、それが出来てしまうのが、丸山真由子さんという人なのです。
もう本当に、この方の凄さをもっともっと色んな人に知ってもらいたい。
それが自分がこのブログを書いている大きなモチベーションの1つと言っても過言ではないです。
話しを歌詞に戻すと、「駅のホーム」「列車」っていう場面は上記条件をとても自然に満たしているように感じられます。
駅のホームで、列車を1人待っている。
本当は色々な葛藤や不安、心細さを抱えている。
でも、もうチケットは用意されてしまったし、時間が来たら乗らなければならない。
乗ったら、自分の意思とは無関係に、列車は目的地へ動き出してしまう。
本当にそれでいいんだろうか。分からない。
そんな時、同じ列車に乗る「行先の同じキミ」に出逢った。
不安はまるで魔法のように消えて、
キミに出逢ったあの瞬間から、何かが変わった。
こういう風に描写されて、「クララがアリスを切り捨てて先に進んでいく」って受け取る人は1人もいないでしょう。
むしろ、クララが色々な葛藤を抱えていたこと、事務所やレコード会社などの大人の事情や、何よりClariSというグループの未来も考えて、悩みながらも前に進まなきゃいけないっていう心情が伝わってきます。
そして、カレンとの出逢いがどれだけクララの救いになったのか。
新メンバーのカレンがクララにとって特別な存在であることを、ファンにしっかり強調してくれます。
これも、ファンがカレンを自然と受け入れられる気持ちになるような、さりげないけど大切な描写だと思います。
2番も含めた曲全体を通して、歌う順番だけでなく歌詞でも「今までのClariS」への想いをクララに、「新生ClariSへの希望」をカレンに歌わせるっていうのが本当に素敵だと思います。
この配分じゃなければ、この曲がファンの心にこんなにも響くこともなかったと思います。
2番
2番でも、カレンが新しい旅立ちへの希望を、クララがこれまでの日々への想いを歌う構成は変わりません。
Bメロの「昨日をハートにぎゅっと抱きしめて」もとても良い表現だと思いませんか?
クララがアリスのことをいつまでも忘れないって気持ちを感じさせてくれますし、アリスがいた時間はClariSの1ページとしてこれからも大切に残り続けるよってファンを安心させてくれます。
直後の「長いトンネルの先で待ってる人がいる」と合わせると、不安にさせてしまったファンのために新しいClariSの歌声を届けよう、ってファンに語り掛けてくれてるみたいですよね。
サビの「描いてゆこう私たちのカラーで」も、アリスのことは大切にしつつも、これからはカレンと一緒に新しいカラーでClariSを描いていくよって自然に伝わります。
丸山真由子さんの歌詞って、素朴で飾らないさりげない言葉遣いでありながら心情がしっかり伝わってくるのが本当に凄いと思います。
「ドキドキ」と「トキメキ」のかすかな韻も好きです。
そして「太陽はそばにいるから 終わらないこのメロディー」。
1番の「太陽は背中を押すの はじまるこのメロディー」と合わせたら、「メンバーは変わってもClariSはずっと続いていく、この曲がそのスタートだよ」って言われなくても伝わりますよね。
Cメロ~ラスサビ
Cメロも、どの歌詞を誰に歌わせるかがとても丁寧で。
「前が見えなくても」を1人で不安だったクララに、「自分に負けそうでも」を新しい挑戦を始めるカレンに歌わせるのは、これ以外考えられないしこうじゃなきゃいけないですよね。
そしてラスサビでもう一度「太陽は背中を押すの はじまるこのメロディー」を聴かせてくれる。
もう何も言うことはありません。この名曲を世に送り出してくれたことにただただ感謝です。
アウトロ
そして、歌が終わったあとのアウトロ部分。
ここで、イントロのあのピアノのメロディーがもう1回流れます。
曲構成としてイントロのリフをアウトロでもう1回使うのは当然なんですが、もうここまで気持ちを揺さぶられ続けた後だと効果が抜群ですよね。
クララとカレンを乗せた列車が新しい目的地へ向かって水平線の向こうへ消えていきながら、それを見守るように輝く太陽にもう一度フォーカスが当たって終わる、映画のエンディングのような映像が浮かびます。
他の曲でもそうなんですが、丸山真由子さんの歌詞はいつも映像が浮かぶんですよね。
歌詞の情景、登場人物が見ている景色、季節、温度、匂い。
自分が歌詞の世界に入ったようにそういう映像や感覚が伝わってきて、書いてない余白の部分でまで色んなメッセージを感じ取れてしまう。
「伝えたいことを直接言葉で説明するんじゃなく、読んだ人が余白から自然と感じ取れるように表現する」っていうのが詩の本質と個人的には思っているんですが、丸山さんは常にそれを体現されている気がして、本当に言葉に出来ないくらい尊敬しています。
まとめ
長々とお付き合い頂きありがとうございました。
自分がこの曲に抱えていた感情は、全て吐き出せたと思います。
なんと、この記事だけで過去最長の8000文字越え。
前回のお気持ちポエムと合わせると「Clear Sky」だけで12000文字近く使っていることに・・・。
12000文字って400文字原稿用紙30ページ分ですよ?
短編小説????
いや、ここまで書いても書いても書きたいことが溢れてくるとは・・・。
自分でもドン引きです。
でも、ClariSファンならこの曲に抱えているクソデカ感情はみんな同じだと思うんですよね。
それを全部文字化する私が頭オカ〇シイだけで。
というわけで、2回に渡ってお届けしてきた「Clear Sky」はこれにて一旦終了です。
ClariSの中で一番書きたいと思っていたこの曲について書けたので、次回はそろそろ別アーティストを書こうかなってぼんやり思っていたり・・・。
でも、またツイッターでClariS公式が新しい情報出してきたら、またClariSについて書いちゃうんだろうなぁ・・・って自分でも思ってるので、あんまり期待しないで下さい(土下座)
では、この辺で。
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