ClariS「Neo Moon」は新月のように隠れた恋心(12年越しに初歌唱されたよ)
まえがき
皆様、「ClariS SPRING LIVE 2023〜Neo Sparkle〜」お疲れ様でした。
初の全曲生バンド演奏。
初のファン投票企画で選ばれた人気上位5曲のカップリング&アルバム曲の生歌唱。
MCで突然のWink「淋しい熱帯魚」カバー発表からの初ダブルアンコールでまさかのいきなり生披露&即MV公開。
色んなことがありすぎて、何が何だか分からないままとにかく最高に楽しい2日間でした。
筆者、そんな2日間を両日とも1階3列目で観れてしまいました。
近い、近すぎるよ・・・。
「この人達、近くで見てもありえんほど美しいな・・・」って見とれちゃって曲があんまり頭に入ってこないレベルで近かったです。
そんな風に色々なことがありすぎたNeo Sparkleですが、中でも一番の衝撃と言えばあの曲です。
ミントガム?
確かに投票ぶっちぎり1位での初歌唱は熱かった。
with you?恋待かぐや?
初日に僕の横に居た人はランキング発表で「デュルワァアアアアアブルワッヒャアヒャヒャヒャヒャドゥルワッハアアアアアアアアアギャアアアアアウワア」みたいな鳴き声を発していたでの、成仏した人も多かったでしょう。
nexus?
これも人気シングル曲なのに久々の生歌唱だったらしく、しかもバンド生演奏バージョンで聴けちゃうという贅沢すぎる体験でしたね。
しかし、筆者にとっての一番は違います。
圧倒的、Neo Moonです。
そんなわけで、今回はデビューシングル「irony」のカップリング曲であり、発売から12年半経ってついに初生歌唱された隠れた名曲「Neo Moon」をご紹介したいと思います。
曲紹介
作詞:奥村イオン 作曲:吉田ゐさお 編曲:横野康平
2010年10月20日発売、ClariSの記念すべきデビューシングル「irony」のカップリング曲。
同じカップリングの「ココロの引力」は歌詞に「太陽」が含まれている通りアリスをイメージした曲、そしてこのNeo Moonは曲名の通りクララの月をイメージした曲。
デビューシングルに相応しいカップリングですね。
※ちなみに、2ndシングル「コネクト」のカップリングも「Dreamin'」が太陽、「キミとふたり」が月をそれぞれイメージした曲になっています。(「クラリスアニ!」参照)
発売から12年半が経過した2023年5月7日、Zepp Hanedaにてついに初の生歌唱されました。
「えぇぇぇぇぇ・・・!?」ってどよめきが周りからも聴こえてくるくらい全員がひっくり返りそうになってました。
生きてたらこんな奇跡もあるんですね・・・。
しかもMCで「本当はミントガムと一緒にROCK!LINK!BEAT!(コロナ禍で中止になった2020年のライブツアー)で歌う予定だったんですよ」って言ってて更にひっくり返りました。
自分がライブに行くようになったのは2022年からなので、もしコロナ禍が無ければ生歌唱を一生聴けなかったかもしれないと思うと・・・。
運命は不思議というか、禍福は糾える縄の如しって言葉は本当ですね。
歌詞
曲名にもなっている「Neo Moon」、これは恐らく新月(New Moon)を指していると思われます。
Neoはギリシャ語で「新しい」という意味なので、New Moonを語感良く言い換えた感じなのかなと。
新月は、約30日周期で満ち欠けする月が最も欠けている状態。
実際に欠けているわけではなく、地球・月・太陽の位置関係によって月の見え方が変わることによって起こる現象ですね。
地球・月・太陽が一直線上に並んで月が消えたように見えるのが新月です。
先取りで歌詞に触れると、2番のサビで「いまは消えて見えない想いが 胸の奥に確かにあるから…」というフレーズが出てくるんですが、ここがまさに新月をイメージしていることを示唆しています。
自分の恋心は、今は新月のように隠して見えないようにしているけど、実際は胸の奥に確かにある。
その想いを(満月のように)隠さずに君に伝えられる日を夢見ている。
そんな意味を込めた「Neo Moon」というタイトルなのかなぁと思います。
歌詞全体の解釈としては以下の二通りあると考えています。
①告白して振られたけどまだ諦められない
②告白出来ないまま想いを募らせている
筆者は最初①だと思ってたんですけど、後から考え直したり発売当時のインタビューの発言を聞くと②なのかな~と解釈が変わったので、この記事では②の解釈で書いていきたいと思います。
※出典のインタビュー記事がリンク切れで原文が読めなくなっていますが、とりあえずWikipediaをそのまま引用しときます。
では、改めて歌詞を読んでいきたいと思います。
※歌詞は歌ネット(https://www.uta-net.com/song/103254/)からの引用
イントロ
いきなり「あの日消してしまった想い」から始まるので、最初から失恋してそうな雰囲気を醸し出してますね。
告白して振られたのか、告白出来ないまま離ればなれになって想いを伝えるチャンスが無くなってしまったのかは不明ですが、ある日を境に恋心を封印しようと主人公は決めたようです。
でも、いつかはこの想いが報われて欲しい。
今は隠している私の想いを、いつかキミに伝えたい。
そんな気持ちで空に溶けた新月を探している場面なのかなぁと思います。
1番Aメロ・Bメロ
何からの「帰り道」なのか想像が膨らむAメロの出だしです。
最初筆者は①解釈だったので、告白して振られた帰り道なのかと思っていました。
告白なんて全部無かったことにして、まだただの友達で居られていたあの夏の2人に戻れたら・・・。
振られた今じゃ、もう友達にも戻れない・・・。
そんな風に解釈してたんですが、②でも成り立ちそうですね。
友達として遊んだ帰り道なのか、卒業式などのお別れイベントの後なのか分かりませんが、君に告白出来ないまま1人で歩く帰り道。
こんなに苦しい想いを1人で抱えるなら、まだただの友達として純粋にはしゃぎあってたあの夏の私達に戻りたい。
この辺はもう解釈の問題なので、どっちのストーリーを選ぶかは人それぞれですね。
全編に渡って①②どっちでも成り立つので、文字数節約のために今後は②に基づいた解釈のみを書くことにします。
でも、このまま告白出来ないで終わるのは嫌だ。
やっぱり君に会って想いを伝えたい。
クララさんのインタビューの「誰かを好きでいるが告白できない人を勇気づける内容」という言葉を読むと、「思い出へと変わる前にキミにいま会いたい」はそんな風に捉えるのが自然でしょうか。
1番サビ
「走る想い止められない」のに、結局「遠くで見つめた」なのがもどかしいですね。
もっと近づいて想いを伝えればいいのに、って口で言うのは簡単ですが、中々そうできないのが乙女心というものでしょうか。
「君の周りをグルグル回りながら遠くから見つめてるだけ」っていうのが、なんか地球と月の関係みたいですね。
自分の想いを新月に例えてますし、自分自身を月と重ねているような印象を受けます。
※ちなみに、同じironyのカップリングの「ココロの引力」でも似たような歌詞が出てくるので、アリス・クララそれぞれで似たようなシチュエーションを歌っているって捉えるとちょっとエモいかもしれません。
友達としての今の関係が「好きと言えば壊れてしまうの?」
もし私が急に告白しても「困った顔しないで お願い」
ザ・思春期女子という感じの切ないサビの終わりですね。
2番Aメロ・Bメロ
深夜に、恐らく電気を消した自分の部屋(もしくはまだ帰り道の途中?)で携帯電話(「光る画面」)を見つめている主人公。
見ているのはきっと君との写真とかメールでしょうね。
2010年はまだまだスマホが普及しきってなかったので、中学生ならきっとガラケーだろうと勝手に思っています笑
「キミのことを探している 近く遠い場所で」は凄く的確な表現だなぁと思います。
電話を掛ければ、メールを送れば、いつでも君に想いを伝えられるツールを持っているのに、私はいつまでも行動できないまま、写真やメールの中の君を眺めているだけ。
まさに「近く遠い場所」ですよね。
公衆電話や手紙が連絡手段だった昭和より格段に便利になっているはずの現代なのに、むしろ心の距離が余計際立ってしまうような感覚すら覚える。
こういう感覚を掬い取って言葉に出来るプロの作詞家って凄いです。
ちなみに、ここの部分は振付も超良かったです。
歌詞を振付で表現されるとすぐ好きになっちゃう歌詞オタクなので、1回しか見てないですが目に焼き付きました笑
「あの日のこと覚えてる?ふたり会った春の日を」なので、多分この二人が出会ったのは春なんでしょうか?(学生ならクラス替えとか入学がキッカケなんですかね)
春に出会って、夏は友達としてはしゃぎあって、その後から主人公が君を異性として意識し始めちゃって、今は秋(発売が10月なので)、みたいな時系列かもしれません。
「ぜんぶ消してしまったのに なぜかまだ痛むの」は、彼への想い・出会った頃の想い出を封印したっていう風にも捉えられますし、出会った春頃の写真とかメールを携帯から削除した、とも読めます。
見るとあの頃を思い出して辛いから、みたいな感じでしょうか。
「でも『光る画面見つめてた』でメールとか写真見てるって解釈してたじゃん!」って指摘されるとちょっと苦しいですが、「ふたりが出会った春の日」の写真・メール・想い出を封印&削除してるだけでそれ以外の写真は残ってるかもしれないじゃん!っと苦しいですが弁明しておきます。
その解釈だと「なんで出会った日を思い出すことだけがそんなに苦しいの?」って話になるんですが、筆者の勝手な感覚では「もし君と出会わなかったら、こんな苦しい恋をしなくてすんだのかもしれない」「あの日、こんなに君を好きになるってまだ知らないまま無邪気に会話してた自分を見るのが辛い」とか、そんな心情になることもあるんじゃないかなと思いました。
正直言うと、ここは「①告白して振られたけどまだ諦められない」解釈の方がすんなり行くんですよねぇ。
振られて傷心状態なら「こんなに悲しい結果が待ってるなら、初めから出会わなければよかった」って自然に繋がりそうなので。
ここは正直自分でも迷ってるので、俺ならもっと無理のない解釈が出来るぜ!って解釈に自信ニキが居たら是非コメント欄に思いの丈を書いて下さると嬉しいです。
2番サビ
先取りして触れましたが、まさに新月をイメージしていることがハッキリと分かる2番のサビですね。
いつかきっと、隠れた月が顔を出すように、私の気持ちを君に伝えたい。
そんな「奇跡のNeo Moon」を探している。
Cメロ~ラスサビ
イントロ部分の歌詞とほぼ同じなんですが、最後だけ「探したいの 夜空のNeo Moon」ではなく「探したくて 空をみつめてる」に変わってます。
これもちゃんと効果があると個人的には思っています。
「探したくて 空をみつめてる」で最後空を見上げるところで曲は終わるわけですが、その空には当然まだ月は見えません。
月がない空の映像が最後に残ることで、逆に「空に溶けた真っ白な月(Neo Moon)」が印象深くなる効果があるんじゃないかと。
今はまだ見えないけど、いつかは・・・。
そんな主人公の気持ちがより強く感じられるような気がしませんか?
あえて最後だけ月を描写しないことで、曲のテーマの「新月」がむしろ強調されるという俳句みたいなテクニックを感じます。
「本当に伝えたいことは書かない余白で伝える」というのが詩の精神だと勝手に思っているんですが、この部分はその分かりやすい例なのではないでしょうか?
同じClariSだと「Orange」とか「Clear Sky」もそうですよね。
夕焼けのオレンジ色の空の向こうには沈んでいく「太陽」があるし、澄み切った青空の向こうにも「太陽」があるわけです。
アリスとの別れ、カレンとの新しい旅立ちを応援するアリス、っていうそれぞれの曲のテーマを伝える時に、あえて曲名に太陽関連の言葉を入れないで、でも聴いた人が自然と太陽を思い浮かべるっていうのが「書かない余白で伝える」精神だと思うんですね。
ボカロ曲や動画サイトなどの影響もあって、最近のJ-POPの歌詞は心情を全部文字にして余白ゼロで全部説明する傾向があるように思います。
もちろんその中にも好きな曲や詩がありますし、それを否定するつもりは無いですが、個人的には余白で色々想像させてくれる昔ながらの歌詞の作り方の方が好きですね。
結局何が言いたいかというと、奥村イオンさんと丸山真由子さん最高ってことです笑
あとがき
というわけで、Neo Sparkleの余韻のまま書き上げたClariS「Neo Moon」でした。
改めてですが、12年半待てば生歌唱回収出来ちゃったりするんですね。
いやぁ、やはりライブは全通しなきゃダメという気持ちになります。
今回Neo Moonを聴けてしまったので、いつかココロの引力も・・・。
アリスのテーマソングだから無理ですかねぇ?そこをなんとか・・・。
あと、筆者が当初考えた「①告白して振られたけどまだ諦められない」パターンの解釈メモも一応置いておきますので、気になる人は拡大して読んでください笑
怪文書を書き終えたので、筆者はこれから電車に乗ってReoNaさんの単独ライブに初参戦してきます。
書き終わるまで家から出ないというチキンレースを自分に課したので、普段と比べるとかなりの爆速で書き上げられました!
(常時トイレ我慢しながら書けば執筆スピード3倍になるのでは?)
フェスではお会いしたことのあるReoNaさんの初単独、思いっきり楽しんできたいと思います。
最後に、ClariSを好きになるキッカケとなったNeo Moonをついに聴けたとあるFFさん、改めて本当におめでとうございます。
ではでは、以上となります。
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