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宇多田ヒカル「Electricity」- 目に見えない愛で地球は回ってる -


まえがき

ついに発売されました。
宇多田ヒカルさん初のベストアルバム「SCIENCE FICTION」。

タワレコ渋谷でフラゲして、

原宿竹下通りど真ん中のポップアップストアにも行きました。

歴史に残る名盤。
隅から隅まで完璧。

なんて形容したらいいんでしょう?
筆者程度の語彙力ではとても表現できません。

宇多田ヒカルという存在自体が「SCIENCE FICTION」並みの異次元である。

(小並感)ですが、こんな感想しか出てきませんね。
改めて、発売おめでとうございます(∩´(エ)`∩)

アインシュタインが娘に宛てた手紙

そんなベストアルバムのリードトラック(だよね?)は、伊藤忠商事のCMにも起用された新曲「Electricity」。

【2024/12/9追記】
デビュー26周年記念日に待望のMVが公開されました!(∩´(エ)`∩)

Electricity の意味を辞書で調べると「電気、電流、(供給)電力、(他人にも感染するような)強い興奮、熱情」とのこと。

楽曲の素晴らしさは言わずもがな。
既に断言しますが、筆者が今年一番聴く楽曲になるでしょう。

ただ、聴き始めた当初、筆者には歌詞が上手く解釈できなかったんです。

途中まではラブソングとしてシンプルに受け止められます。
宇多田さんもインタビューで「設定としては、別の惑星とか銀河出身の宇宙人が、地球にちょっと旅行とか移住とかしてて、そこで出会っての恋愛の物語みたいな」と仰ってますし。

Electricity かなにか
Between us
Between us
Electricity between us
Between us
Between us

宇多田ヒカル「Electricity」

電気みたいな見えない力が僕たちを繋いでいるよ。
確かにその通りですね。

ただ、後半のこのパートが当初は?でした。

解明できないものを恐れたり
ハマる、陰謀論に
そんな人類みんなに
アインシュタインが娘に宛てた手紙
読んでほしい
愛は光 愛は僕らの神髄

宇多田ヒカル「Electricity」

「陰謀論」と「愛」がどう結び付くんだろう・・・。
アインシュタインの手紙・・・?

何回も聴いてみたけどいまいち繋がらない。
これは調べてみるしかない。

というわけで検索してみました。
・・・引き寄せの法則とか、やたらスピリチュアルなページばっかりヒットする・・・。
どうして相対性理論とか量子力学はこんなにスピリチュアルと相性良いんですかね・・・。

上記理由でURLは貼らないでおきます。
気になる人は自己責任で検索してみてください。

この手紙自体が真偽が不確からしく、存在しないという説もあるそうです。
著名人あるあるの「真偽不明のまま有名になっちゃった逸話」ですね。

手紙の内容を筆者が勝手に要約するとこんな感じです。
①科学でもまだ解明できていない強力な力がある
②その力が宇宙全体を支配している
③それは愛だ
④人間は愛を解明することを恐れてきた
⑤なぜなら、人間は愛の正体が分からず、制御もできないからだ
⑥愛を大切にしなさい

⑤だけ、真偽不明の原典(とされるもの)を引用します。

それは恐らく、愛こそが人間が意志で駆動することを学んでいない宇宙の中の唯一のエネルギーであるため、私たちが愛を恐れているからだろう。

アインシュタインが娘へ宛てた手紙(とされるもの)の一節

以上を読んで、ようやく「陰謀論」と「愛」が繋がりました。

歌詞解釈

人間は「謎」を恐れる生き物です。
理屈が解明できないもの、見えないもの、理解できないものを恐れます。

「謎を解き明かしたい!」という人間の好奇心は、
「謎を解き明かして安心したい!」という恐怖心の裏返しでもあります。

それゆえに、人間は解明できない異常現象や幽霊を恐れたり、陰謀論にハマったりします。
陰謀論とは、解明できない世界の現象に対してそれらしき理屈を提示して、解き明かした気分にさせてくれるからです。
不安に耐えられない人の心理に入り込むもの、とも言えるでしょう。

でも、私達の一番身近なところにも、理屈が解明できなくて、見えないけど、確かに僕達を動かしている力があるじゃないか。

それは「愛」だ。

なぜ人を愛するのか、
なぜ愛するとこんなに身体に力が湧くのか。

何も解明されていないけど、僕達の間には見えない愛が確かに働いていて、それが世界中を動かしている。

Electricity かなにか
Between us
Between us
Electricity between us
Between us
Between us

宇多田ヒカル「Electricity」

だから、解明できないものをそんなに怖がらないで。
僕達の一番身近な生きる原動力だって、解明されていないんだから。

筆者はそんな風に解釈しました。

改めて宇多田さんのインタビューを読むと、筆者が感じたようなことが確かにメッセージとして込められているように思えます。

宇宙人の話を描いていたのに最終的に人類への気持ちとか、この世で人間として生きることの意味に辿り着いて自分でもびっくりしたところで、完成しました。

https://www.thefirsttimes.jp/news/0000404582/

そして、偶然かもしれませんが、これは伊藤忠のCMとも繋がります。

伊藤忠商事のような商社は、製品を直接生み出すのではなく、様々なビジネスを仲介したり投資して利益を生み出します。
それは、CMの中で描かれているような様々な商談、つまり「人と人との繋がり」を生み出すことで、社会を豊かにする活動です。

目に見える、手に取れる製品ではない。
でも、確かにそこにある「愛」が、人と人を繋ぎ、相手の心を動かし、行動させ、事業を生み出し、社会を豊かにする。

これこそまさに「Electricity かなにか Between us」です。

「おかげさまで」が、地球を回す力になればいいのに。

伊藤忠商事「おかげさまで、幸せです」篇 キャッチコピー

そして、宇多田さん自身のアーティストとしての25年間も、まさにそうだったと御本人は感じていらっしゃるのではないでしょうか。

15歳の少女の才能を信じてくれた人達。
「人間活動」としての休養期間も信じて待ってくれた人達。
25年間、自分の音楽を信じてついて来てくれた人達。

家族、関係者、ファン。
色んな人の見えない愛に支えられて、ここまで続けられたな。
そんなみんなと、この25周年をお祝いしたい。

I just wanna celebrate with you
I just wanna celebrate with you
I just wanna celebrate with you
I just wanna celebrate with you

宇多田ヒカル「Electricity」

この「Electricity」はベストアルバムの25曲目。
次の「Somewhere Near Marseilles」はボーナストラックと表記されているため、アルバムの本来のED曲でもあります。

これまでの25年間、目に見えない力で支えてくれてありがとう。
これからもよろしくね。

宇多田さんからのそんなメッセージが込められているのかもしれません。

【追記】NHKスペシャル『量子もつれ アインシュタイン 最後の謎』を観て

※この追記は2024年12月29(日)になったばかりの深夜に執筆しました。

たったいま観てきました、NHKスペシャル。
(ナレーション:宇多田ヒカル)
Electricity、番組のエンディングで流れました。

君と僕の間に誰も入れやしない
離れていてもそれは変わんない

宇多田ヒカル「Electricity」

すっっっっっっっっっっっっっごい今更なんですけど!!
冒頭のこれ!!量子もつれのことだったんですね!!

目には見えない、理論も解明できていないけど。
確かに存在していて、遠く離れていても瞬時に伝わる。
特定の条件を満たした2つの物質の間にだけ働く、不思議な力。

量子もつれって「愛」みたいだね?
それってまるで「Electricity かなにか Between us」だね?

そういうことだったんですね!!!!
はぁぁぁぁぁ~~~~~~一本取られました!!!!
天才じゃん!!!(天才だよ!!!)

しかも、アインシュタインは量子力学や量子もつれに徹底して否定的だったわけですよ。
「神はサイコロを振らない」という名言を残すレベルで、こんなのオカルトだインチキだ欠陥だと主張し続けた。

でも、そんなアインシュタインだって娘さんに手紙で伝えるくらい「愛」の存在は信じてたんでしょ?
「愛」を信じられるなら、量子もつれだって信じてみてもいいんじゃない?

アインシュタインに、、、問い掛けている???
宇多田ヒカルの領域に達するとアインシュタインにすら問い掛けられるんですか?????(困惑)
レベチすぎるよ、ノーベル賞だよ・・・。
(真面目にノーベル文学賞あげたい)

さらにさらに。
本ベストアルバム「SCIENCE FICTION」がなぜこのタイトルになったの?という質問に、宇多田さんは各種インタビューでこんな風に答えています。(筆者要約)

「この歌詞は誰のこと?実話なの?」と聞かれたり、ミュージシャン仲間から「ヒカルの音楽は何て言えばいいのかわからない」と度々聞かれ、宇多田さん自身も「本当のことではないけど、(自分が実体験から感じた感情の延長線上にあるから)作り話なわけでもない。」と説明に困っていた。
ある日「SCIENCE FICTION」が説明としてハマると気付いた。
科学も文学もどちらも好きで、近未来の科学を取り扱う世界観のSF小説は「フィクションでもなくノンフィクションでもない」中間の存在で、自分の楽曲もそれに近い。

そんなアルバムの新曲に使うテーマが、量子もつれ。
未だに謎だらけで、なぜこんな摩訶不思議な現象が起こるのか解明されていないけれど。
でも、どうやら確かに存在することが確認されている物理現象。

まさに「フィクションでもなくノンフィクションでもない中間の存在」じゃないですか!!!
ピッタリすぎる!!!
テーマの選び方が!!!天才!!!(だから天才だよ!!!)

あとこれ、「何色でもない花」とも繋がるテーマですよね?

量子力学2部作、ってそんなトリッキーな2部作あるか???
しかもそれをポップスで、ドラマやCMのタイアップが付いている曲であっさり成立させてしまい、しかもちゃんと幅広いリスナーに届いている。

天才からの往復ビンタが止まりません。
いったい我々凡人の何歩先を歩いているのか・・・。
やはりSF小説の登場人物なのでは???

あとがき

筆者はこのアルバムを一生聴き続けると思います。
この曲も一生聴き続けるでしょう。

宇多田ヒカルというSCIENCE FICTIONと同じ時代を生きられてよかった。

改めて25周年おめでとうございます!!!
これからもどうぞよろしくま (`(エ)´)ノ彡☆

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