宇多田ヒカル「COLORS」 - 今の私はあなたの知らない色 -
別れた恋人の幻影を振り払おうとしている、ってことなのかな。
もう思い出さないように、さっさと忘れて前に進もうと速度を上げていく。
でも、急に一人になって「自由を謳歌しなよ」って周りから言われても、まだ喪失感は埋まっていないわけで。
1人でやりたいことなんてまだ思い付かなくて、そんな半端な状態じゃどこに進んでいいかも分からない。
標識も全部色褪せて見えて、行先の指針にもならない。
分からないけど、じっとしてると悲しみに打ちひしがれてしまいそうで、行く当てもないままアクセルを踏み込んでる。
別れてから1ヶ月。
そろそろ立ち直れるかと思ってたけどまだ全然、という感じなんですかね。
隣にいられるだけで幸せだったはずなのに、口喧嘩が別れの発端だったようです。
もっと彼を独り占めしたい、とか、私のことだけを見ていてよ、とかそんな方向性で欲が出てしまったのかもしれません。
別れ際のマーキング・・・未練の深さを感じます。
「あなたのことは忘れて、私はもう先に進んでます」という強がりにも聴こえるし、「戻ろうとしても、一緒だったあの頃にはもう戻れないんだね」ということを実感してしまった静かな悲しみにも聴こえる。
色が複雑に混ざり合った、一言では表現しきれない感情が伝わってくる美しい締めのフレーズ。
いや~~~名曲ですな。
20歳の誕生日直後にリリースされた20代最初の楽曲。
・・・これを20歳で???
しかも制作中は確実に19歳じゃん、人生何周目なんだよ・・・。
ビジュアル含めてこんなに仕上がってる20歳いるか・・・?
歌謡曲みたいな日本語らしさを感じるメロディーや譜割りだけど、歌謡曲の古さは全然感じさせないアレンジ。
かといって、洋楽とは違う、日本語が乗ること前提のメロディー。
「ジャンル:宇多田ヒカル」としか言えない独創性にいつもながら圧倒されます。
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