人間万事塞翁が馬
昔、ある老人がいました。
彼は馬を飼っていましたが、ある日馬が逃げ出してしまいました。
隣人たちは「あなたの馬が逃げたのは不幸だね。」と言いましたが、老人は「それはどうかわからない。」と答えました。
数日後、逃げ出した馬が自らの足で帰ってきました。
しかも、野生の馬を追いかけていたところ、追いついた馬が急に止まってしまい、そのまま自分のもとに残ってしまいました。
隣人たちは「あなたは幸運だね。こんなに立派な馬が手に入ったなんて。」と言いましたが、老人は「それはどうかわからない。」と答えました。
数日後、老人の息子が馬に乗って散歩していると、馬が暴れ出して息子を投げ落としてしまい、息子は骨折してしまいました。
隣人たちは「あなたの息子が骨折してしまったのは不幸だね。」と言いましたが、老人は「それはどうかわからない。」と答えました。
数日後、国が戦争を始めると、徴兵された若者たちが次々に戦場に送られていきました。しかし、老人の息子は骨折していたため徴兵されることがなく、家に残ることができました。隣人たちは「あなたの息子が徴兵されなくてすんだのは幸運だね。」と言いましたが、老人は「それはどうかわからない。」と答えました。
その後、戦場で戦いが続く中、徴兵された若者たちのほとんどが命を落とし、唯一生き残った若者も重傷を負って戻ってきました。
隣人たちは「あなたの息子が戦争で生き残ったことは、あなたにとって本当に幸運なことだったんだね。」と言いましたが、老人は「それはどうかわからない。」と答えました。
この故事は、幸福と不幸、吉と凶は表裏一体であるということを教えています。何が起こるかは誰にもわからないので、常に平常心でいることが大切だということを示しています。