朝ごはんを通して、時の流れを記録する|shimizu_nobu
クリエイターが一つの作品を制作する姿にフォーカスし、そのオリジナリティを要素分解して紐解いていく「Creators Perspective」。今回、制作工程に密着するのはフォトグラファーのshimizu_nobuさんです。
shimizu_nobuさんには今回「朝ごはんを通して、時の流れを記録する」と題し、その作品と共に制作背景や実際の撮影方法を披露いただきました。
毎日の記録を、朝ごはんを通して残し続けるshimizu_nobuさんのような写真を撮りたい方は必見です!
今回撮影された作品
shimizu_nobuさんが今回撮影された作品はこちら。
こちらの作品を軸に、普段どのように制作活動をされているかについてお話しいただきます。
■アイデアはどこから?
実際にご飯屋さんに行って、器と食材の組み合わせなどからインスピレーションを受けています。
また、器屋さんのSNSも参考にしています。器の使い方などを発信している方もいるので、料理を撮る方は参考にしてはいかがでしょうか。
■使用機材について
カメラはLUMIX S5IIX、レンズはLUMIX S 100mm F2.8 MACROを使用しています。
基本はカメラとレンズのみで撮影し、三脚や照明等は使用しません。
LUMIX S5IIXはサイズ感がよく、グリップのホールド感が気に入っています。ボディを重く感じず、取り回ししやすいです。
S5やG9PROIIもお借りして撮影したことがあるのですが、ボディのデザインやボタン配置が一緒で、一度慣れてしまえば操作に困らないところもかなり使いやすかったですね。
■撮影場所の選び方
自宅の、朝日が当たるテーブルで撮影しています。
空間作りのコンセプトは「ちょっと背伸びをしたら届きそうな、演出しすぎない空間」。
写真を見た方が「私もこういう場所で写真を撮りたい」「ここでご飯が食べたいな」と思えるような、難しいことはしていないけど、ちょっと良いなと思える空間作りを目指しています。
器にもこだわっていて、陶器や磁器などあらゆる種類を揃えています。
同じ材質の食器で固めることで統一感が出るので、料理を撮りたいという方はこの辺りもこだわってみてはいかがでしょうか。
■撮影風景
それでは実際に撮影を進めていきましょう。
ちなみに、作った料理は温かいうちに美味しく食べたいので、2分程度でささっと撮影しています。
写真としても湯気が出ていたり、作ってすぐの方がリアルな料理の様子を撮影できるので、効率良く撮影していきましょう。
構図の決め方
自宅での撮影は場所が限られているので同じ構図、雰囲気になりがちです。
なので器にフォーカスしてみたり、ひとつひとつの食材をフォーカスしたり、人の動きを入れたりして変化をつけて撮影しています。
カメラの設定
露出モードはAモード(絞り優先)です。米は白くて明るく、味噌汁は茶色いため、明るさが異なります。都度手動で設定するのは手間なので、Aモードを使用しています。
F値は4〜5.6辺りを目安に設定。少し絞る理由は、食材をメインに写した場合でも、器も見せてあげたいという思いがあるからです。器の作り手の思いも一緒に写し出したいと考えています。
SSは1/60以下にならないようにしながら、暗い場合はISOで調節します。私の撮影環境では、ISOは1000程度まで上げても大丈夫です。
フォトスタイルはナチュラルで撮影しています。最終判断は感覚ですが、なんとなく見て色味が気に入りました
ナチュラルで撮影しつつも、RAWで記録し、プリセットを当てて仕上げています。
また、撮影は基本連写です。朝ごはんを作って食べるという行為は連続性が重要だと考えています。手の仕草などを極力自然な流れで写したいので、高速連写かつサイレントモードで、動きの邪魔をしないように心がけています。
光の決め方
自然な空間を撮りたいので、必ず自然光で撮影しています。
明るい日もあるし暗い日もある。そういった気候条件をそのまま写真に落とし込むことで季節感が出ます。
雨の日は雨の日の空気感が出るのも面白いです。
大切にしていること
日々続けることです。
撮影のために特別早く起きて準備するということもありません。日々のルーティンの中で撮影し、朝の時間帯で撮影しています。
食事、空間を作りすぎないことも大切です。
なんの変哲もない食事の空間を楽しめる。無理せずできる範囲で楽しむ。これらを念頭に、肩の力を抜いて取り組めることが大事だと考えています。
■自分らしさを出す編集
こってりした質感が好みではないのでコントラストを下げています。あくまで自然な雰囲気で仕上げたいので、大幅な変化は行なっていません。
特に明確な理由はありませんが、シャドウに青を乗せることもあります。朝ご飯を作って自分の色を追求するうちに定まっていきました。
私にとって撮影とは
「衣食住」です。
生活になくてはならない行為のひとつ。
時間の流れを撮る。思い出を残す。
朝ごはんを撮ります!という意気込みで撮影するのではなく、あくまで生活の一部として撮影を続けています。
今回の「Creators Perspective」は以上です。
LUMIX Magazineでは「Creators Perspective」の他に、メーカーの中の人がブランド思想や本音を話す「LUMIX is」、基礎的な撮影スキルやLUMIXの機能をレクチャーする「Ability」など、様々なコンテンツを発信しています。
これからも是非、LUMIX Magazineをご覧ください!
【今回の使用機材】
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