見出し画像

【Vol.4】「原点」から「頂点」へ。マイクロフォーサーズのフラグシップモデル、「G9PROII」誕生。

LUMIX G9PROIIの開発チームが語る開発裏話。本記事は最終回!「デザイン」と「機構設計」、そして同時に発表された「レンズ」のリニューアルについてお話しするVol.4です。

▼前回の記事はこちらから!


デザインと設計は「あのカメラ」と技術を共有

(中央)デザイナー:武松

G9PROIIの外観部品はマウント以外、S5IIと同じ構成になっています。

と言うのも、実はS5IIを開発している段階でG9PROIIの発売も決定しており、「写真と動画のハイブリッド機」を目指すLUMIXの操作性として、同じ方向を向きながら同時に開発していました。

なので、「部品」を共用しているというよりは、「使いやすさ、操作性のアイデンティティ」をG9PROIIとS5IIで共有しているという考え方です。

G9PROの人気は「外観形状やサイズ」にあったことも十分理解した上で、G9PROIIではステータスLCDを外してボタンやダイヤルを配置したり、三角環を廃止したりと、その見た目を大きく変えました。

そうして現代の最適解を反映させていきながらも、G9PROが本来持っていた「マイクロフォーサーズだからこその強み」を継承していきたい想いもあり、フルサイズに比べて一回り小さくなったマウント部にファンクションキーを追加しています。

外観のアイデンティティよりも「無心で使える道具」であること、それこそが大切なアイデンティティと捉え、現在のデザインとして完成しました。

機構設計:工藤

G9PROIIとS5IIを同時に開発していく中で、いかにして「G9PROの良いところ」を受け継ぎながら改善をしていくか。それを考え、設計から提案したことは2つあります。

一つがグリップの形状。

G9PROのグリップはクリエイターの皆様からも定評があり、「瞬間を取り逃がさない」ための重要な要素になっています。そのためG9PROIIにおいてもグリップ感にはとてもこだわりました。

LUMIXのグリップはS5からS5IIへ進化する際に大きく変わったのですが、実はこれは「G9PROIIの開発を見越して、G9PROのグリップのこだわりをS5Ⅱへ反映し、G9PROIIへも展開できるようにした」という背景があります。

S5IIが先に発売はされましたが、「握りやすいグリップ感」のルーツはG9PROにあるのです。

二つ目が三角環の廃止。

静止画のフラグシップであるG9PROIIですが、やはり動画を撮影される方もいらっしゃるため、部品が干渉して音が入らないようにS5IIと同様、三角環を廃止しました。

G9PROIIのペンタ部

また、S5IIにおいてファンを搭載していたペンタ部ですが、G9PROIIではファンを廃止しています。これにより、放熱性が増したことで可能となっていた「動画記録時間無制限」は、G9PROIIではできなくなりました。

ではその代わりに何ができるようになったか。G9PROIIではペンタ部にジャイロセンサーを搭載することで、LUMIX史上初B.I.S.8段の手ブレ補正を実現しています。

▼G9PROIIの手ブレ補正についてはこちらもご覧ください!

放熱性についてはファン無しの放熱構成を再度見直し、熱制御を改善することで、無制限ではありませんがVlogや歩き撮りをするクリエイターの皆様にもご満足いただける仕様になっています。

G9PROIIと同時に、
レンズ2本がリニューアル!

交換レンズ商品企画:小瀧

今回、G9PROIIと合わせて現行機種 LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. / POWER O.I.S.がテレコンバーター対応にリニューアル化、そして現行機種 LUMIX G X VARIO 35-100mm / F2.8 II / POWER O.I.S. をLEICA DGシリーズ化しました。

これにより、他のLEICA DGシリーズのレンズと組み合わせるとマイクロフォーサーズで16-1600mm(35mm換算)までの焦点距離を撮影でき、LEICA DG VARIO-ELMARIT 35-100mm / F2.8 / POWER O.I.S.においてはより洗練された描写を実現しています。

LEICA DG VARIO-ELMARIT 35-100mm / F2.8 / POWER O.I.S.

LEICA DG VARIO-ELMARIT 35-100mm / F2.8 / POWER O.I.S.の主な変更点としては、ゴーストとフレアへの対策が強化されました。

もともと光学性能としては非常に優れた描写力を持つレンズでしたが、ゴーストとフレアに対しての指摘をLEICA社からお受けしたので、レンズ鏡筒内部に反射防止塗装や光線カット部材を追加したことで、ゴーストとフレアを改善しております。

もちろん、見た目もLEICA DGレンズの仕様になりました。

光学設計:科野

LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 II ASPH. / POWER O.I.S.の変更点は、先ほどもご紹介したテレコンバーターの対応です。

従来の機動性をそのままに、テレコンバーターに対応するべくリニューアルモデルの開発を進めてきました。

Wide付近でレンズの後玉とテレコンバーターの干渉を回避するレンズ退避機構を新たに追加し、ズームリミットスイッチと呼ばれる機構を追加することで、従来のサイズ感を守りながらも、これまで使用できなかった35mm判換算焦点距離の420mmから800mm領域においてテレコンバーターが使用可能になり、最大で1600mmの撮影を可能としました。

また、手ブレ補正についてもテレコンバーター装着時を想定した手ブレ補正(O.I.S.)にチューニングしており、テレコンバーターを装着していても手持ちでの快適な撮影が可能となっています。

LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 II ASPH. / POWER O.I.S.

さらにズームリングの操作感も、改善に取り組んでおります。摺動部の部品精度の改善と、新たな高性能グリスを導入したことで、リニューアル前よりも滑らかな操作感を実現しております。

この2本をリニューアルしたことにより、マイクロフォーサーズのフラグシップであるG9PROIIの「システムとしての機動力」をより強化できたと言えるでしょう。

「原点」から「頂点」へ

・G9PROから始まった「生命力・生命美」を継承した描写力
・マイクロフォーサーズの機動力を生かした高速性
・リニューアルされたレンズ群による万能なシステム

「決定的瞬間を残すことができるカメラ」をコンセプトに開発されたG9PROIIは、新世代のエンジンとセンサー、そして新しいデザインによって、描写力・機動力ともに「LUMIXのフラグシップ」の名に恥じないカメラとなりました。

後継機を長らくお待たせしました皆様も、写真機として高性能なマイクロフォーサーズをお求めの方も、ぜひ一度触れて、体験してみてください!

▼関連記事


いいなと思ったら応援しよう!