堅実な働きをする職人肌のフラグシップ、G9PROII|クマザワコータロー
こんにちは。音楽業界で写真と映像を生業にしている、カメラマンのクマザワコータローです。
この度、2023年10月下旬に発売予定のLUMIX G9PROIIを特別に先行試用させていただきました。
G9PROIIは静止画フラグシップカメラということなので、今回は僕の実務上カメラを酷使せざるを得ない「音楽ライヴ」の写真撮影に導入してみました。
僕はカメラを相棒にして受託業務を行う上で、内容に合わせてカメラを使い分けており、その中でもライヴ写真の撮影ではフルサイズ一眼レフカメラを積極的に選択しています。
今回は、ライヴ写真撮影業務でフルサイズ一眼レフカメラを使っている僕が、G9PROIIでライヴを撮って感じたことを中心に、インプレッションをお伝えさせていただきます。
ライヴを撮られない方でも、気になるポイントが適切に伝われば嬉しいです。
ライヴ撮影で
フルサイズ一眼レフカメラを選ぶ理由
G9PROIIの魅力を理解していただくために、なぜ僕が普段「ライヴ撮影で一眼レフを選択しているか」を少しだけお話しさせてください。
僕がライヴ撮影でフルサイズ一眼レフカメラを積極的に選択している理由は、ライヴ撮影は記録撮影であり、「いかに決定的瞬間を捉えられるか」がカギとなっているからです。
カメラの電源は常時ONにしておきたく、また非常に狭く暗い環境下なので可能な限りバッテリー交換はしたくありません。ひとつのバッテリーで長く撮影したいのです。
また望遠〜超望遠域の画角を長時間扱うため、より自然に覗き続けられるファインダーを必要としています。光学ファインダー(OVF)にメリットを感じるポイントです。
そして、激しいダンスでも被写体ブレを抑えるためにシャッタースピードを稼ぐため、高感度での撮影が求められます。
さらにライヴハウスは輝度差が大きく、ダイナミックレンジが広く確保できるフルサイズセンサーの方がメリットがあります。
これらの理由から、ミラーレスカメラに比べて省エネルギーであり、OVFであり、フルサイズセンサーで2000万画素程度の高感度耐性を備える、フルサイズ一眼レフカメラを積極的に運用しています。
G9PROIIに助けてもらった5つのこと
それでは本題に入りましょう。
ご紹介したように、僕は様々な側面でカメラの力を借り、助けてもらいながら写真撮影をしています。
それらを踏まえてここからは、「バッテリー持ち」「描写性能」「ファインダーの視認性」「連写性能」「シャッターフィーリング」の5つの観点からG9PROIIでライヴを撮影した感想や、カメラの魅力をお伝えしていきます。
1.バッテリー持ち
G9PROIIの発表に合わせてリニューアルされたバッテリーグリップDMW-BG1も合わせてお借りし、複数現場で最長4時間程度の撮影を常時電源ONで敢行しました。
結果、さすがにバッテリーひとつで乗り切れるものではありませんでしたが、ふたつのバッテリーを使い切ることはなく撮影を乗り切ることができました。
バッテリー交換なく撮影を続けられる、バッテリーを気にすることなく撮影ができることは、より撮影に集中できることを意味しますので、フォーサーズでこのバッテリー持ちには非常に感銘を受けました。
2.描写性能
GH6に初搭載された「ダイナミックレンジブースト」は、ダイナミックレンジをエンジン処理で拡張する機能です。しかし、GH6では感度に制約があったため、特定のシチュエーションでしか威力を発揮できず、使用者が任意でON/OFFさせる機能でした。
しかしG9PROIIでは写真・動画の双方において常時働く機能となり、フルサイズセンサーと見分けのつかない豊かなトーンをマイクロフォーサーズで実現しています。
「輝度差の激しいライヴ撮影で、露出を切り詰めて撮影機会を逃すリスク」が減るのでこれにも感動しました。
高感度時の撮影でも大変驚きました。常用感度ISO25600を誇るG9PROIIですが、記録用途でならISO25600でも十分に使えます。
ことライヴ写真においては僕の場合ISO8000に上限をおき撮影しました。
高感度でも極端にコントラストや色のり、シャープネスが低下する印象はなく、ノイズこそ出ますが非常にリッチな描写を担保してくれます。
体感としてISO6400からダイナミックレンジブーストの効果が徐々に薄れるように見受けますが、描写が破綻することはありません。正直この小さなボディ、小さなレンズでフルサイズに真っ向から勝負を挑んでいるようで痺れました。
3.ファインダーの視認性
S5II/S5IIXでは[AFCのライブビュー]というメニュー項目があります。
これは測距時のモニター及びLVF表示速度を切り替え選択するものですが、G9PROIIではこのメニューは省かれており測距中は常時60fps駆動します。
そして今回最も感動したのがメカシャッターのブラックアウト低減です。
G9PROIIはブラックアウトからの解放が速く動きモノに対するフレーミングがとても快適です。小気味よく切れるレスポンスの良いシャッターと相まって連写がとにかく楽しいのです。
無邪気に撮ってるとバッファフルになるので使われるみなさんはどうかご注意下さい。それほどの刷新であり興奮があります。
4.連写性能
メカシャッターAFCで10コマ/秒の連写が可能です。決して派手さはないのですがライヴを撮るのであれば特段不便ではありません。
連続撮影可能枚数は[99+]を大きく上回り概ね170枚くらいでバッファフルに到達します。書き込み速度の遅いSDカードで連写を多用すると少し弾詰まりすることがありましたので、V90のSDカードを使いましょう。
UHS-II対応のSDダブルスロットですので、書き込み速度への心配は限りなく少ないです。
5.シャッターフィーリング
シャッターフィーリングは好みが分かれるところだと思いますが、僕にとっては非常にレスポンスよく歯切れのいいシャッターで好感触です。
連写モード中の単写が難しく感じるほど、高い感度があります。AF-ONボタンで親指AFし、シャッター半押しレリーズをONにすればシャッターに指をかけた途端にレリーズが切れるフェザータッチも可能です。
派手さはないが、職人肌のフラグシップ。
フラグシップカメラであれば、ハードな動きモノに対してどれだけのパフォーマンスが発揮できるかが重要と考えています。速いシャッタースピードで高感度を使って歩留まりがあげられるカメラこそ、静止画フラグシップの名を冠するに値するのでは、と。
G9PROIIでは、センサーサイズという物理的不利を感じさせない豊かなトーンと高感度時の美しさに、積極的に高ISOで撮影ができる安心感と堅実さを覚えました。
G9PROIIは、スチルのフラグシップの看板を掲げるに相応しい撮影体験を提供してくれます。
僕の使用用途のみを鑑みた時に、スペックだけを見れば特筆して派手な性能はありません。
ですが、使えばわかる堅実な性能は、確実性や安心感とともに撮影に多くのメリットをもたらしてくれています。
これまでのマイクロフォーサーズ機は、その小さなセンサーサイズで「暗所撮影に不利」「階調性に乏しい」といったネガティヴイメージを払拭できずにいたと、少なからず僕はそう感じていました。
しかしG9PROIIはそんなイメージを拭い去り、加えて「像面位相差AF」の搭載、そしてフォーサーズ特有の「深い被写界深度」により、未だかつてないほどの歩留まりで、「決定的瞬間の撮影」をより確実なものにしてくれました。「瞬撮」のキャッチコピーに違わぬカメラです。
是非、一度触れてみて下さい。きっとG9PROIIの魅力に気づけるでしょう。
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