四畳半部屋で撮る私なりのテーブルフォト|Kazoo
クリエイターが一つの作品を制作する姿にフォーカスし、そのオリジナリティを5つの要素に分類して紐解いていく「Creators Perspective」。今回、制作工程に密着するのはKazooさんです。
Kazooさんには今回「四畳半部屋で撮る私なりのテーブルフォト」と題し、その作品と共に制作背景や実際の撮影方法を披露いただきました。
Kazooさんのようにオリジナリティのある幻想的なテーブルフォトを撮りたい方は必見です!
今回撮影された作品
Kazooさんが今回撮影された作品はこちら。
こちらの作品を軸に、普段どのように制作活動をされているかについてお話しいただきます。
■アイデアはどこから?
テーブルフォトを撮る際は絵画などを参考にしています。
具体的にはフェルメールの「牛乳を注ぐ女」から構図の着想を得て撮影しています。構図や表現にお悩みの方は、国内外問わず様々な作品を見て、ご自身の作品に活かしてみてはいかがでしょうか。
■使用機材について
カメラはLUMIX S5IIX、レンズはLUMIX S PRO 50mm F1.4を使用しました。
S PROレンズの自然な立体感やボケ感が気に入っています。
室内では望遠や広角は使わず、35mmや50mmなど標準域の単焦点レンズを使うことが多いです。
撮影にストロボは使わず、自然光または間接照明のみで撮影しています。
その他、容量の大きなRAWでの写真撮影や動画を撮影したり、自分の手元などを写して撮影することもあるので、外付SSDや外部モニター、三脚も使用しています。
■撮影場所について
「四畳半部屋で撮る私なりのテーブルフォト」をテーマに掲げ、自宅の一室をセルフリノベーションして作った、書斎兼撮影ルームで日々撮影しています。
この部屋は子供の頃に好きだった、RPGゲームに登場するアイテムなどをイメージして作りました。自分だけのオリジナリティが出せる撮影場所だと思っています。
■撮影風景
それでは実際に撮影を進めていきましょう。
まずは、被写体となる「爽やかな青色のクリームソーダ」を作っていきましょう。
準備するものは以下の通りです。
丁寧に盛り付けたら完成です。アイスが溶けてしまうので、完成したらすぐに撮影に移ります。
カメラの設定
普段はAモード(絞り優先オート)で撮影しています。
背景を大きくボカしたいのでF値は開放、今回はF1.4で撮影しました。
大きなボケ感の写真を撮りたい場合には、開放F値の小さいレンズがおすすめです。
モニター上にはグリッド線や水準器を表示し、水平を一目で確認できるようにしています。
色味を後から自分好みに編集したいので、RAWで撮影しています。
光の決め方
基本は自然光で撮影していますが、間接照明を演出に使うこともあります。
前ボケとして光を入れたり、玉ボケを作ったりと、撮影イメージに合わせ、間接照明を使用します。また、夜に間接照明だけで撮影すると、日中とは違った印象で撮影することもできるのでオススメです。
おすすめの機材
三脚と外部モニターを使用すると、自分の手元も入れながら動きのある写真を撮影することができ、写真のバリエーションを増やせます。
セルフタイマー機能を使用し、モニターで写りを確認しながら撮影しましょう。
フォーカスは「MF(マニュアルフォーカス)」、または「1点」でピントを固定して撮影しています。表現の幅を増やしたい方は、ぜひお試しください。
■自分らしさを出す編集
編集の方向性は「写真の暗い部分と明るい部分を強調し、被写体を色鮮やかに浮かび上がらせる」ことです。
基本補正はこちらの通りです。ポイントは、後で強調したい色だけを濃くするために彩度を-30にして全体の彩度を落としていることです。
次に、マスクの項目で被写体のクリームソーダだけを選択し、彩度を高めます。
彩度の他にも、テクスチャを少し上げてシャープは100にします。これにより、周辺がボケる中、被写体がくっきりと浮かび上がります。
カラーグレーディングはこちら。シャドウとハイライトは寒色、中間部は暖色を高めています。
それぞれのカラーホイールの下に輝度を調整するバーがありますが、ここも調整しています。シャドウはより暗く、ハイライトはより明るく調整し、明暗のコントラストを高めています。
より被写体に注目する工夫として、効果の項目も活用しています。適用量の項目をマイナス側に移動すると、写真の周辺部分が暗くなっていき、額縁的な効果が発生します。
これで、今回の作品は完成です。
私にとって撮影とは
私にとって撮影とは「自分の見ている世界を伝えるもの」だと思います。
幼少期から言葉で伝えるのが苦手だった私は、自分の考えていることや、見ている世界が、人に正しく伝わらないことが多々ありました。写真や映像では自分の伝えたいことが誤解なくひと目で伝わるので、私の生きがいとなっています。
今回の「Creators Perspective」は以上です。
LUMIX Magazineでは「Creators Perspective」の他に、メーカーの中の人がブランド思想や本音を話す「LUMIX is」、基礎的な撮影スキルやLUMIXの機能をレクチャーする「Ability」など、様々なコンテンツを発信しています。
これからも是非、LUMIX Magazineをご覧ください!
【今回の使用機材】
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