【Vol.2】「原点」から「頂点」へ。マイクロフォーサーズのフラグシップモデル、「G9PROII」誕生。
LUMIX G9PROIIの開発チームが語る開発裏話。本記事は「画質設計」についてお話しするVol.2です。
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初代から見た「絵作り」の進化
G9PROに比べて、センサーやエンジンが大きく進化しました。
まず、G9PROが約2000万画素だったのに対して、G9PROIIでは約2500万画素に増えました。これによって、様々なシーンをより精細に描写できるようになったと言えるでしょう。
また、これまでのマイクロフォーサーズ機は基準ISO感度が200でしたが、G9PROIIでは基準ISO感度100を実現しています。
ダイナミックレンジブーストもGH6よりも進化しており、GH6の場合は当時のセンサーの制約もあって特定のISO感度領域ではダイナミックレンジブーストが使えない課題がありましたが、G9PROIIの新しいセンサーにおいてはその点も改善され、全ての感度の領域でダイナミックレンジブーストが使えるようになっています。
他に、特筆して進化した点が3つあります。
まず一つが新インテリジェントディテール。
これは被写体の特徴をより細かく、例えば平坦な面や細かい模様、凹凸やテクスチャーなどを区別し、エッジ補正機能と組み合わせることでより自然で精細な絵作りを可能とする機能です。
「画像の細部に至るまできめ細やかな情報量で記録する技術」で、新しいエンジンの力を最大限に引き出す要素の一つになっています。旧世代のシステムと比較しても進化が明確なので、深みのある質感描写をお楽しみいただけるでしょう。
二つ目が新しい2Dノイズリダクションです。
ノイズリダクションとは、その名の通り輝度ノイズや色ノイズを取り除く機能のことです。これが進化したことにより、例えばISO3200やISO6400といった高感度での撮影においても、クリアで鮮明な画像表現が可能となりました。
三つ目が新しい3Dノイズリダクションです。
G9PROIIでは新しい技術により、「止まっている被写体」と「動いている被写体」を効率的に精度よく判別することが可能になったため、3次元ノイズリダクションを強くかけても残像が出にくくなっています。
この3点の進化により、これまで以上に高品質で自然な絵として保存できるようになりました。
限界解像度を追求した
「1億画素手持ちハイレゾ」
我々の絵作り思想として「ただ解像感を上げるのではなく、限界解像度を上げていく」というこだわりがあります。
つまり「画像処理で輪郭を強調するのではなく、どこまで細かく描写できるのか」という考え方で、これはセンサー画素数を増やすかハイレゾ技術を用いるかしか実現する方法はありません。
単に輪郭を強調しただけでは、解像感は向上しますが、輪郭部に太い縁取りが付いてしまい絵としての品格が落ちてしまいます。
このハイレゾ技術を今回進化させ、「1億画素手持ちハイレゾ撮影」を実現することができました。この機能は、ただ解像感が高いのではなく、中判・大判カメラで撮影したかのような線の細い、自然で綺麗な描写を実現しています。
マイクロフォーサーズ初、
リアルタイムLUT搭載
S5IIから初めて搭載されたリアルタイムLUTは、G9PROIIでもマイクロフォーサーズ初搭載となります。
S5IIと同様に新世代ヴィーナスエンジンによって処理されているため、S5IIと同等の性能があります。
従来より「フォトスタイル」でクリエイターの皆様の絵作りに対するこだわりに応えてきたLUMIXですが、リアルタイムLUTを活用していただくことによって、更に自由度が高い創作活動を楽しんでもらいたいです。
新フォトスタイル「LEICAモノクローム」
今回、LUMIX史上初となるフォトスタイル「LEICAモノクローム」をG9PROIIに搭載することとなりました。
これまでにも様々なモノクロ系フォトスタイルを搭載してきましたが、今までのモノクロームと比べても、LEICAモノクロームはハイライトが明るく、より硬調でダイナミックな印象の絵が描けるようになっています。
モノクロ表現における新しい可能性をご提供できるでしょう。
画質設計としての想い
LUMIXの画質設計として常に掲げているのは絵作り思想でもある「生命力・生命美」です。
写真や動画を見ても、まるで撮影したものが目の前にあるかのような、ありのままを写し、切り取ることを目標としています。
これは究極の目標でもあり、その追求にゴールはありません。が、G9PROから始まったこの思想が、G9PROIIへの進化によって、一歩ゴールに近づいたように感じています。
これからも「生命力・生命美」を体現した画質設計を追求していく所存です。
(続きます)
▼Vol.3はこちらから!(9月22日投稿予定)
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