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ペットの自然な表情を記録する方法|クマザワコータロー

クリエイターが一つの作品を制作する姿にフォーカスし、そのオリジナリティを5つの要素に分類して紐解いていく「Creators Perspective」。今回、その工程に密着するのはクマザワコータローさんです。

クマザワコータローさんには今回「ペットの自然な表情を記録する方法」について、その作品と共に制作背景や実際の撮影方法を披露いただきました。

クマザワコータローさんのように、可愛らしい動物の写真を撮りたい方は必見です!

今回撮影された作品

LUMIX S5IIX
LUMIX S 50mm F1.8
F1.8 SS1/250 ISO250
LUMIX S5IIX
LUMIX S 50mm F1.8
F1.8 SS1/250 ISO250
LUMIX S5IIX
LUMIX S 50mm F1.8
F1.8 SS1/250 ISO1000

クマザワコータローさんが今回撮影された作品はこちら。

こちらの作品を軸に、普段どのように撮影活動をされているかについてお話しいただきます。


■アイデアはどこから?

突然ですが私は「保護猫活動」をしています。

猫ちゃんを保護してもらうためには、誰からも「可愛い」と思ってもらえる自然な猫ちゃんの姿を記録することが大切です。

そのため、多くの人が利用しているSNSからトレンドの写真や可愛く見える形をインプットしています。

■使用機材について

カメラはLUMIX S5IIX、レンズはWレンズキットに付属するLUMIX S 50mm F1.8を使用しました。

動き回る動物の写真では、可愛い表情を捉えるため、暗い室内でSSを稼ぎつつ、柔らかくボケを活かして撮影したいと考えています。そういった場面でこのレンズは重宝します。

動物にストレスを与えないよう、ストロボなどの照明機材は使用しません。自然光や室内の定常光で撮影しましょう。

■撮影場所の選び方

今回は保護猫団体の代表が営むペットサロン「わんちゃん美容室モニカ」さんで撮影しました。

普段の撮影では自宅で飼っている猫や、散歩途中に出会う動物たちをスナップしています。常にカメラを持ち歩くと、素敵な出会いがあるので面白いです。

■撮影風景

それでは実際に撮影を進めていきましょう。今回は動物と触れ合いながら、HPやSNSに投稿する為の写真を撮影します。

カメラの設定

基本はMモードに設定し、イメージした写真に合わせてF値とシャッタースピード(SS)を設定しながら撮影します。

躍動感を表現したい時は「SS1/125」を目安に、動きの止まった写真を撮りたい時は「SS1/250」を目安にして設定します。

動きには個人差(個ネコ差)があるので、状況によって変更しながら撮影を続けましょう。ブレた写真やピントが外れた写真も、自然な雰囲気が出て可愛いです。

また、シャッタースピードを稼ぎつつボケを活かして撮影したいので、基本的に絞りは開放して(F値を最も小さくして)、ISO感度はオートで撮影しています。LUMIX S5IIXは高感度耐性が高いので、ISOオートでカメラ任せにしても問題ありません。

AFはAFCを使い「フルエリア(人物・動物認識)」に設定します。動物を認識して捉え続けてくれるので楽に撮影できました。

AFC
動いている被写体の撮影に適しています。シャッターボタンを半押ししている間、被写体の動きに合わせて常にピントを合わせます。被写体の動きを予測しながらピントを合わせます。

フルエリア(人物・動物認識)
カメラがエリア内の人物や動物を認識してピントを合わせます。複数のAFエリアが選ばれるときは、選ばれた全てのAFエリアでピントが合います。

▼AFの解説はこちらから

光の決め方

先程も述べた通り、動物にストレスを与えないようストロボは使用せず、自然光や室内の定常光で撮影します。

西日が入る家であれば、窓側の日向でくつろいでいる姿などを撮影すると、無理にISO感度を上げなくても明るく撮影できます。朝や夕方は鳥の鳴き声に誘われて窓際に行くことがあるので、その瞬間を狙うこともあります。

あくまで、人間が猫の動きに合わせて撮ることを心に留めておきましょう。人と違ってこちらの意図は伝わらないので、無理な強要はせず、自然な瞬間を狙うよう心がけています。遊びの時間を楽しみながら撮るイメージですね。

大切にしていること

繰り返しになりますが、動物たちに威圧感を与えないようにすることです。

大きな望遠レンズや照明のような大型機材を持ち込むと、威圧感がありストレスを与えてしまうこともあるため、カメラと小さな単焦点レンズ1本という最小限の機材で撮影しています。

また、カフェや街中で動物を撮影する場合は、お店や他のお客様などにも迷惑をかけないように心がけています。事前の許可取りはもちろんですが、撮影に集中しすぎず、他のお客様のことも考えながら撮影しましょう。

■自分らしさを出す編集

今回の写真はリアルタイムLUTを使用したJPEG撮って出しです。

S5IIXのフォトスタイル「人物」で撮影した愛猫のJPEG写真をベースに、ハイライト、シャドウなどを微調整したオリジナルLUT「CUTIE」を使用しました。

▼リアルタイムLUTの使い方はこちらから

LUT作成のポイント

このLUTはシャドウ、ブラックポイントで黒い被毛の階調が見てとれるように微調整。ハイライトを少し持ち上げて、アイキャッチを強調、水晶のような猫の瞳の階調が綺麗になるように、明度で中間調から少し持ち上げ軟調さを出してキュートな印象を出しつつ、柔らかすぎてルーズにならないようコントラストをつけています。

HSLやカーブは全くいじらず、LUMIXのバランスのいいカラーサイエンスを尊重しています。

▼LUTの作り方はこちらから

ベースのフォトスタイル選定のポイント

フォトスタイル「人物」からの微調整

「人物」は中間調が広く豊かなフォトスタイルなので動物撮影にも適しています。ただ、被毛の黒い動物は撮影が非常に難しいです。そのため、黒い被毛でも階調が見てとれて、軟調に可愛く、でもコントラストがないわけではないLUTに仕上げています。

私にとって撮影とは

私にとって撮影とは「感情のレイヤーを生み出せるもの」です。

例えば、仕事の撮影ではアーティストの写真を撮ることが多いですが、演者はもちろん、運営側、マネージャー、そしてファンの方々が喜んでくれるかを考えて撮影しています。

信頼していただき依頼を受けている以上、常にそれに見合うクオリティの写真、それ以上の期待に応える写真を撮り続けることがカメラマンとしての責任でもあると感じています。

今回のような保護猫撮影では、写真をきっかけに猫を飼いたいという人が現れ、保護した我々も、引き取って下さった方も、そして動物達も幸せになれると考えています。

根底には写真を撮るのが好き、ファインダーを見るのが好きということもありますが、誰かの喜びに繋がると信じて、これからも写真を撮り続けたいですね。


今回の「Creators Perspective」は以上です。

LUMIX Magazineでは「Creators Perspective」の他に、メーカーの中の人がブランド思想や本音を話す「LUMIX is」、基礎的な撮影スキルやLUMIXの機能をレクチャーする「Ability」など、様々なコンテンツを発信しています。

これからも是非、LUMIX Magazineをご覧ください!

今回の使用機材
【LUMIX S5IIX+LUMIX S 50mm F1.8】

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