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このカメラに死角なし。LUMIX GH7をガチで使ってみた。|高澤けーすけ

今年のPanasonicはすごい。

LUMIX S9を皮切りに、急に勢いが増してきたような気がします。ちゃんとユーザーの意図を掴んで、製品作りに活かしてくれているなぁという印象でワクワクしてしまう。

そしてLUMIX S9の次には、また真逆のコンセプトのカメラが出てきた。

今回話すのはLUMIX GH7というカメラ。

フルサイズセンサーのカメラではなく、マイクロフォーサーズという一眼カメラの中では比較的小さめのセンサーを積んだカメラなのだが、これがまた死角のないカメラでして。

正直、前のモデルから映像がめちゃくちゃ進化したかというと、そういうわけではない。けれど必要なもの全部詰め込みました、というのが今回のカメラなのだ。

今回はPanasonicから事前に借りられたのでじっくりとレビューしたい。このカメラ、すごいぞ。

GHシリーズとは

GHシリーズはPanasonicのカメラ群の中でもマイクロフォーサーズというサイズのセンサーを積んだカメラのラインナップだ。

現代の一眼カメラはフルサイズセンサーを中心としてセンサーの大型化がトレンドである。センサーが大きいと写真や動画で大きなボケが得られたり、暗所での撮影でもメリットがある。

一見、センサーが大きい方が有利に思えるのだが、それはあくまでポテンシャルの面。それを活かせるかどうかは別の話になってくる。

大きいセンサーを使おうとするとカメラもレンズも大型化していく。処理にも電力を使用する。つまり今我々が持ち運べるくらいのカメラのサイズ感としてはかなり無理をしてしまうのだ。

そこでマイクロフォーサーズのセンサーの強みが生きてくる。センサーが大きすぎない分、無理をせずに機能を追加できるのだ。今回のGH7もその恩恵を大きく受けている。

GH6を引き継ぐスペック

この記事を読んでくれている人の多くはすでにGH7のスペックなどは知っているのかもしれないが、一旦GH7のスペックをおさらいしておく。

まずはスチルの性能だ。

画素数については約2,520万画素。ベーシックな一眼カメラなどと同等の画素数を持っており、スマートフォンやPCで見る分にも十分な画素数。クロップ耐性も十分である。

そしてスチル時に嬉しい機能としてはAF-C時の秒間60コマ撮影の対応。これで被写体を追従しながら秒間60コマの撮影ができるようになった。電車や車などの乗り物や、鳥などの動物、子供の運動会などにも役立つだろう。

そしてムービー面での性能。

基本的にはGH6を引き継ぐ形で、Max5.7K 60p 10bitの撮影ができる4K120pのスローモーション撮影ができるのも同様である。

だが、撮影できるフォーマットに変化がある。ついに内部のRAW収録に対応したのだ。

正確にいうと、ProRes RAWという形式の内部収録に対応した。RAW収録ということでデータ量が膨大になってしまうが、その代わり色編集の自由度が段違いにアップする。

細かく素晴らしいところを言っておくと日が暮れてしまうくらい語れるのだが、ここからは少し絞って、僕が素晴らしいと感じたポイントについて解説していきたい。

圧倒的な動画撮影時の手ブレ補正

手ブレ補正は圧倒的である。段違い。

👆08:01~ 手ブレ補正の検証をしています

僕は今まで様々なメーカーのカメラを使ってきたが、一眼カメラというジャンルの中で一番手ブレ補正が効くのはこのGH7である。間違いない。

もう一度言うが圧倒的だ。

手ブレ補正に関してはもう動画を見てくれと言うしかないが、とにかくブレないのである。

Panasonicのカメラは手ブレ補正が非常に優秀、という話は元々有名ではあったのだが、GH7はさらに一歩超えている。

今までのカメラでは電子手ブレ補正を追加した時にどうしても四隅が歪むという現象があったのだが、このカメラではそれが格段に抑えられている。

もちろん、広角レンズだけではなく望遠帯のレンズでも手ブレ補正が圧倒的に効く。手持ちでもなんら問題なく、動画がブレなく撮影できるということで、今までジンバルを持っていっていた現場でも大きな荷物を一つ減らすことができるだろう。

ついに待望の像面位相差AF搭載

👆04:39~ 検証しています

そしてやはり大きな進化点が像面位相差AFだ。簡単にいうとAFが正確になったよ、という話。

他のメーカーではこの像面位相差AFというのが標準でついてくるというのがスタンダードになりつつあったが、GH6まではコントラストAFしか乗ってこなかった。

画質面を考慮するとコントラストAFの方が有利な点があるという話は聞いていたものの、やはりそれだけだと心許ない。インタビューなどを撮影する時にもAFが駆動する際に画面に揺らぎが出てしまうので、AFで滑らかな映像を撮影するためには像面位相差AFが必須であった。

今回はしっかりとその像面位相差AFが搭載され、AFが迷うことなく駆動する。けれど体感上画質に劣化は感じない。

画質をそのままに新しいAFシステムを導入してくれたことには感謝しかない。

LEICAモノクロームとリアルタイムLUT

G9PROIIより搭載された新しいフォトスタイル「LEICAモノクローム」がGH7で搭載されたのも嬉しいポイント。

僕は普段LEICAのカメラをスナップとして使うこともあり、その独特なコントラストに魅力があることも知っている。

モノクロなのにここまで変わるのか…と明らかに変化を感じるコントラスト感。こればかりは試してみて欲しい。

カラーでいうと最近のPanasonicのカメラではお馴染みとなってきたリアルタイムLUTも搭載された。

自分で好きな色味(LUT)をカメラ内に読み込むことができ、その色で写真や動画を撮影することができる。色味に関しては自分で作る以外にも、LUMIX Labというアプリを経由して配布されているLUTをダウンロードすることも可能。

自分で色味を作れないという人にも、クリエイティブな色で写真や動画を撮影できるようになっている。

抜け目のないその他機能

GH7には抜け目のない機能がまだまだある。たとえばライブストリーミング機能。PCなどがなくてもスマートフォンさえあればライブ配信ができる。

これは最近のコンテンツクリエイターにとっては非常に嬉しい機能だ。僕もアウトドアの現場でライブ配信をしてみたい。

業務に使うカメラとして素晴らしいのがProxy撮影機能。

通常の動画とともにProxyという小さなサイズのファイルも生成しておくことで、編集時にはそのファイルを使ってスペックの低いPCでもサクサクと編集することができる。

書き出し直前に高画質ファイルと入れ替えることで、編集中はサクサクと、でも書き出したら高画質という願ってもない状況をかなえることができる。

そして別売マイクアダプターの存在も外せない。

GH7では別売のマイクアダプター XLR2を利用することによって外部マイクを使った4ch収録をすることが可能になる。そして同時に、32bit floatでの収録も可能となる。

32bit floatというのは写真や動画のRAW収録と近いもので、データ量は多いが音割れのない、素晴らしい音声が手に入る。

万が一の現場でも役に立つ、間違いのない機能である。

死角はどこに

正直、死角がない。

業務に必要なものが全て入っているという感じ。

確かにフルサイズセンサーのカメラにはボケ感では勝てない。
暗所性能では勝てない。
でも逆に撮れないものはない。

様々な機能を搭載し、カメラのあり方も多様化している現代。どのカメラが失敗しないかという問いがあったら、間違いなくGH7と答えるだろう。

レンズを含めて機動力が高く、どんな場面でも動画は止まらない。画質のクオリティはもちろん高い水準ながら、業務でも使える幅が広い。

これ以上死角のないカメラは今存在しない。

だからGH7に惹かれるのだ。

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