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四季を肌で感じられる「滝撮影」の流れを徹底解説|てらぬ〜
クリエイターが一つの作品を制作する姿にフォーカスし、そのオリジナリティを5つの要素に分類して紐解いていく「Creators Perspective」。今回、制作工程に密着するのはてらぬ〜さんです。
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てらぬ〜さんには今回「四季を肌で感じられる『滝撮影』の流れを徹底解説」と題し、その作品と共に制作背景や実際の撮影方法を披露いただきました。
てらぬ〜さんのように、ダイナミックな滝の写真を撮りたい方は必見です!
今回撮影された作品
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てらぬ〜さんが今回撮影された作品はこちら。
こちらの作品を軸に、普段どのように制作活動をされているかについてお話しいただきます。
(1)今回のアイデア
普段はSNSからインスピレーションを得て撮影地を決めています。自然の風景を載せている方やカメラマンの仲間から情報を得ることが多いです。これから風景撮影に挑戦したいという方は、SNSで情報を収集し、まずは身近な地に足を運んで撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
(2)使用機材について
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カメラはLUMIX S5IIX、レンズはLUMIX S PRO 24-70mm F2.8を使用しました。好みもありますが、滝を撮影する場合は標準域のレンズが定番のように感じています。
滝は場所によって近づいて撮影できるのか、遠くから撮影するのかが異なりますが、幅広い画角をカバーするズームレンズであれば柔軟に対応できるのも魅力です。
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また、周囲の環境に応じて判断しながら、微妙な画角の調節をするために三脚を使用しました。
私はAOKAさんの三脚を愛用しています。カメラにはリグを付け、縦横柔軟な切り替えを可能にし、カメラが落ちるリスクを軽減させています。
滝の流れを滑らかに写したい場合は、長時間露光をするためNDフィルターを使用しますが、今回は滝の流れを止めたダイナミックな表現で撮影したいのでフィルターは使用していません。
(3)撮影場所の選び方
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場所は、天候や季節、水量などを基に選定しています。
今回は複数の滝が集まる栃木県日光市の「裏見ノ滝」と「竜頭ノ滝」にて撮影を行いました。
日光市は滝が多く、現場に行かないとわからない「観光客の人数」や「水量」にあわせて気軽に場所を変えることができるので、より自分のイメージに合った作品を撮影できます。時には、1日で周辺の滝を11本周って、理想の1枚を撮影することもありました。
今回は前日に雨が降っていたため水量が多く、ダイナミックな滝を狙っています。
季節によってはツツジやクリンソウ、紫陽花などの自然を楽しむことができ、四季の移り変わりを体感できることも風景撮影における楽しみのひとつです。
(4)撮影風景
それでは実際に撮影を進めていきましょう。
今回は基礎設定や、撮影時のコツ、注意事項について簡単に説明していきます。滝の撮影は基本的に絞って(F値は大きめで)ISO感度は低めです。
構図の決め方
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構図はとにかく無駄なものが映らないよう心がけています。
上記画像では滝を中央に配置し、広い画角で撮影を行いましたが、今回は滝の迫力を表現したいので、ズームして撮影しました。
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ズームすることで、自分の写真で見せたい部分をより大きく撮ることができ、不要な部分を省くことが出来ます。今回は5月の新緑と滝を撮りたかったので、空の青さを写真に入れないためにズームをしました。
季節の花を取り入れてみたり、まずは心惹かれるままにシャッターを切りましょう。
カメラの設定
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今回はAモード(絞り優先オート)で撮影しています。
日中の撮影では、ISO感度は100で固定。風景撮影では全体にピントを合わせたいので、F値は絞って撮影しています。(目安:F8~F16)
一般的に、回折現象によってF値を上げすぎると解像度が落ちると言われていますが、個人的にはそこまで気にならない印象でした。
滝はシャッタースピードによって動きが異なります。シャッタースピードを遅くすると水の流れを滑らかに、速くすると水の流れを写し止めた表現ができます。
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(右)SS1/30
今回はAモードで撮影しましたが、シャッタースピードによる写り方の違いを楽しみたい方はMモード(マニュアル露出モード)または、Sモード(シャッタースピード優先オート)を使用して撮影しましょう。
フォトスタイルは、完成形をイメージするため「ナチュラル」や「風景」を使用しています。
手ブレ補正スコープや水準器をモニターに表示して、手ブレの状況や垂直平行を一目で確認できるようにしておくと便利です。
光の決め方
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今回は晴天でしたが、滝撮影では明るすぎると水面が白飛びしてしまいます。
個人的には曇りの日のしっとりした質感で、滝に合わせた雰囲気のある表現が好みです。
今回の撮影で気をつけておくべきポイント
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風景の撮影では、足場の悪い場所や虫が多い場所、猛暑など厳しい環境下で撮影することもあります。通気性や動きやすさ、歩きやすさに考慮した服装にも注意が必要です。
スポーツドリンク、虫除けスプレー、防水性のある服、日焼け止めやレギンスなどの日焼け対策といった、機材以外の持ち物も準備して撮影に臨みましょう。
(5)編集工程
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編集はLightroomで行っています。
水面の白飛びや岩場の暗部を補正するため、ハイライトやシャドウを軸に全体のトーンを調整しています。
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木々の影となっている部分にはマスクをかけ、下の水面と明るさが一定になるよう露光量を調節します。
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色に関しては特別なことはしていません。
LUMIXが写し出す色味をそのまま活かしています。
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(右)完成形
これで、今回の作品は完成です。
私にとって撮影とは
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お仕事の撮影や作品撮影では強いこだわりを持っていますが、今回のような滝撮影では、日々の疲れを癒すために気分転換に自然に触れたり、運動として撮影地に向かったりという気軽な気持ちでも撮影を楽しんでいます。
写真を撮っていなければ出会えなかった風景や仲間もいるでしょう。日常とは少し違った風景を楽しみながら撮影を続けることも大切と考えています。
今回の「Creators Perspective」は以上です。
LUMIX Magazineでは「Creators Perspective」の他に、メーカーの中の人がブランド思想や本音を話す「LUMIX is」、基礎的な撮影スキルやLUMIXの機能をレクチャーする「Ability」など、様々なコンテンツを発信しています。
これからも是非、LUMIX Magazineをご覧ください!
今回の撮影は日光市および、関連周辺施設より許諾を得たうえで実施しております
【今回の使用機材】
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LUMIX S5IIX
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LUMIX S PRO 24-70mm F2.8
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