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シンプルな構図と光で、被写体の魅力を引き出すテーブルフォトの撮り方|Satoru

クリエイターが一つの作品を制作する姿にフォーカスし、そのオリジナリティを要素分類して紐解いていく「Creators Perspective」。今回、制作工程に密着するのはフォトグラファーのSatoruさんです。

Satoruさんには今回「シンプルな構図と光で、被写体の魅力を引き出すテーブルフォトの撮り方」と題して、その作品と共に制作背景や実際の撮影方法を披露いただきました。

Satoruさんのようなテーブルフォトを撮影したい方は必見です!


今回撮影された作品

Satoruさんが今回撮影された作品はこちら。

こちらの作品を軸に、普段どのように制作活動をされているかについてお話しいただきます。


■アイデアはどこから?

主に自作のお菓子や料理をメインに据えて写真を撮っています。

SNSで写真を見るのが好きで、時間があるときはXやInstagramでひたすらフィードを遡ったり、ハッシュタグで検索しています。

ジャンルは主にお菓子・料理・カフェの写真ですが、それに限らず風景・人物・建築など幅広く見るのが好きで、季節感や色合いは風景写真が、構図やカッコいい造形は人物や花、建築写真の方が参考になるときも多いです。

あと雑誌で取り上げられているクリエイターもチェックして、SNSから拝見しています。

■使用機材について

カメラはLUMIX S5IIXを使用しています。 2023年の6月に購入した、初めてのフルサイズ機です。

購入する前はフルサイズというか、カメラの知識がほぼゼロでした。 いろいろと調べていく中でスペックを比較してもなかなか決めきれず。

そんな中、XでKazooさんのS5IIXのレビューを見かけ、その流れで見たLUMIX Magazineの「LUMIXが『色推しカメラ』になるまでの3つのやらかしと3つの理由」という記事に書かれていた「忠実な色」「雑味がないクリアな発色」という言葉に惹かれました。

自作のお菓子を撮影するのが一番の目的なので、撮影で色味を作っていくというよりも、お菓子そのものの色味が忠実に再現できる方が自分の目的にはピッタリだったんです。

また、プロ・アマ問わずクリエイターに向けているというメッセージにもグッときました。 動画撮影もしたかったので、最終的にS5IIXを購入。 見た目がオールブラックなことも決め手となりました。気に入って使っています。

■撮影場所について

俯瞰で撮影する際は三脚を使用します

基本的に自宅で撮影しています。 「おいしそう!」と印象に残る写真を撮るためには、明るさを確保することが重要だと考えているので、日中に光の当たる場所をメインに選んでいます。

場所の選び方は光以外にも、背景がごちゃごちゃしない場所であることを重視しています。

自宅だと場所が限られているので同じ構図、雰囲気になりがちですが、マンネリにならないようにお菓子のデコレーションを変えたり、構図を微妙に変えたり、ときには小窓や手に持ってみたり。 ちょっとでも違った雰囲気が出せるように工夫して撮影しています。

■撮影風景

それでは実際に撮影を進めていきましょう。

構図について

構図はシンプルに考えています。

お菓子・テーブルセットが対象の時は基本的に日の丸構図で、角度を真横、30度、45度、60度、俯瞰で撮影しています。

ざっくりとですが、高さがあってそれを強調したいものは真横や30度から、自然に食べるときに眺めるのは45度や60度、盛り付け全体を見せたいときは俯瞰といったイメージです。

なるべく毎回全部のパターンで撮影して、盛り付けと写りの良し悪しを確認しています。

設定について

モードはマニュアルで、ISOを100に設定しています。

絞りをF2.8からF4.0の間にして、画面やヒストグラムで明るさを確認しながら撮影します。被写体とイメージに合った構図、視点、距離感を探すために手持ちで撮影することも多いので、その場合は手ブレしないようにシャッタースピードを1/15より速く設定しています。

天候や時間帯で室内が暗すぎてシャッタースピードを1/15よりも遅くしたい場合は、手ブレしないように必ず三脚を使用しています。

また、ワンオペで人の手を入れたり写真に動きを入れたいときは、LUMIXの公式アプリを使用して撮影することもあります。

スマホの画面越しに手元で構図を確認できますし、設定も変えることができるので、とても便利です。

光について

基本的には自然光で撮影しています。

十分な光量が撮影時にあることで、自然とコントラストがしっかり出るのがおいしく見える撮影には理想です。

撮影場所は、午前は被写体の後ろの小窓から、午後はカメラ側の右後方から太陽光が当たる場所になっています。 なかなか平日の日中に撮影できないので、土日で自由のとれる時間帯に集中して撮影することが多いです。

光源の位置で雰囲気は大きく変わりますが、その違いをあえて楽しむようにしています。

天気が悪く光と影が出しづらい場合でも、ホワイトバランスを整えて彩りを意識すれば、おいしそうな写真が撮影できます。

撮影中に意識していること

撮影時のテーブルセットはなるべく最小限にしています。 シンプルにすることでお菓子にしっかり注目してもらえる利点があるからです。

小物を多く使った撮影にも憧れているのですが、セット作りが苦手でどうしても不自然になってしまうので、逆にシンプルを心がけています。

シンプルにお菓子だけを撮影するので、 「どうすれば美味しそうに見えるお菓子を作れるか。」 「良い出来のお菓子が作れたときに、どう撮れば美味しさが伝わるのか。」と、 被写体と撮影の両方の観点から考えて、両方がより良くなるように意識しています。

また、自分の場合はひたすら作っては撮影、SNSにアップして反応を見る、を繰り返していくなかで、それぞれの各ポイント(お菓子作り、撮影した写真、SNSでの反応)でうまくいった/いかなかったという感覚を大事にして、それはなぜか?どこかに原因があるのか?を考え、改善することを繰り返しています。

続けていく中で、なんか単調だなといった不満や、もっとこうしたいなといったアイデアが出てくるので、とにかくお菓子作りと撮影を続けることを重視しています。

■自分らしさを出す編集

現像前

Adobe Lightroomで編集しています。 最近まではLUMIX syncというアプリでスマホにデータ転送し、スマホ版のLightroomで編集していました。自分の好みの編集が決まれば、プリセットとして保存しておけるのでスマホだけでも十分でした。

今はフルサイズを購入し、レンズの選択肢も増えたおかげで撮影枚数がかなり増えたので、PC版のAdobe Lightroomで編集しています。 とにかくたくさん撮影して、SSDからUSBでPCへ。 PCのLightroomで写真の選別と編集をある程度しておいて、気に入った写真をクラウドにアップ。 最終的にスマホのLightroomで微調整してからSNSに上げています。

基本的には大きく光や色を変えることはありません。

今の編集スタイルが出来上がるまでコントラストと色味の項目をひたすら調整していました。一つ一つの項目を極端に動かしたり、バランスを変えたり、とにかく試してみることで感覚的に理解が深まると思います。

また、当たり前のことかもしれませんが、編集前・編集後に必ず水平と中心を改めて確認しています。 撮影時にも気を付けていますが、それでもほんのちょっとだけ傾いていたりズレていたりするものです。

ちょっとした歪みは違和感に繋がるので、被写体を違和感なく見てもらうためにしっかりと調整しています。

完成

■私にとって撮影とは

自分にとって撮影は「よりおいしいものを作る、考えるための工程の一部」です。

写真撮影は単純な記録だと思っていたのですが、ある方の作品を見て、「この人には世界がこんな風に見えているんだ」と感動した記憶があります。

なので今は、作品としての写真は「その人が見ている/見たい世界を具現化する、共有する手段」だと考えています。

自分が実現したいことは、「おいしいものをたくさん作れるようになることで、食べてもらった人に喜んでもらう」こと。

やっぱり自分自身、おいしいものを食べてる時は幸せだし、おいしいものを食べてがんばろうみたいな原動力にもなるので、そこに関わっていきたいんですよね。

そんな中、誰が見ても「おいしそう!」と感じる写真を撮る、そのためにどうすればいいかを考えることで目標の実現に一歩ずつでも近づいていけるんじゃないかなと思い、日々お菓子作りと写真撮影を楽しんでいます。

人の心をちょっとでも動かすことができるようなおいしいものを作りたい。

背伸びしてる感じもしますが、それが自分の目指すところです。 写真を通して、見た人・食べた人の心が動くようなものを作り出すことができれば、この上なく嬉しいです。


今回の「Creators Perspective」は以上です。

LUMIX Magazineでは「Creators Perspective」の他に、メーカーの中の人がブランド思想や本音を話す「LUMIX is」、基礎的な撮影スキルやLUMIXの機能をレクチャーする「Ability」など、様々なコンテンツを発信しています。

これからも是非、LUMIX Magazineをご覧ください!

【今回の使用機材】


LUMIX S5IIX

LUMIX S PRO 50mm F1.4

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