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LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm / F1.7 ASPH.【My Favorites #08】

こんにちは。光学設計部の永井です。普段の業務では、電気設計を担当しています。

設計メンバーのお気に入りレンズを紹介する【My Favorites】のコーナー、
今回はLUMIXのマイクロフォーサーズ大口径望遠ズームレンズ、LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm / F1.7 ASPH.を紹介します。

マイクロフォーサーズは2008年のLUMIX G1の発表から今年で17年が経ち、直近も新機種LUMIX G99IIや放送・業務用のボックススタイル4KマルチパーパスカメラAW-UB10が発表されております。各メーカーで、フルサイズカメラのラインナップ拡充に注力されつつある現在でも、マイクロフォーサーズが皆様の創作活動を支え、創作意欲を駆り立てる機材であることを改めてお伝えしたく、私イチオシのレンズを取り上げて記事を書かせてもらうことになりました。
このレンズの特徴・魅力を私の作例を通して紹介します。

GH6, LEICA DG 25-50 F1.7 /
100mm(35mm判換算), 1/125sec, F2.8, ISO:250

晩秋に撮影した紅葉です。
一般的にセンサーサイズが小さいマイクロフォーサーズはボケにくいと言われますが、このときは開放だとあまりにもボケて枝葉の形が分からなくなったため、あえて少し絞って撮影しています。前ボケ後ボケがとろけるような程よいボケになることで被写体の紅葉を引き立たせています。
ボケの質感はカタログには現れないところなので、様々な作例をみてご確認ください。

GH6, LEICA DG 25-50 F1.7 /
50mm (35mm判換算), 1/5sec, F1.7, ISO:3200

霧がかる農村を街灯が煌々と照らしています。明るい街灯下の撮影でもゴーストが発生していないところに、このレンズの光学性能の高さを感じました。
また、この作例は手持ちで撮影しており、シャッタースピードをかせぐために絞りを開放にして撮影しています。その場合にも画面中央の建物にピントを合わせていますが、手前の道路標識も問題なく読めています。F値を明るくしても、ある程度被写界深度を深く撮影でき、ボケ過ぎないという点がマイクロフォーサーズを選ぶ利点のひとつかなと私は思います。
さらに、手袋が必須な寒い環境でしたが、マイナス10℃の耐低温設計のおかげで心置きなく撮影に集中できました。

GH6, LEICA DG 25-50 F1.7 /
74mm(35mm判換算), 1/125sec, F2, ISO:800 L. MONO
Model:東雲れな

東雲れなさんをモデルにお迎えしたポートレートです。
限られた時間で被写体と向き合うモデル撮影会では、レンズ交換する手間が惜しく、このズームレンズを選択しましたが、背景は単焦点レンズかと思うようなボケが表現できております。
機動性の高さと作品のクオリティを両立できるレンズだと実感しました。

GH6, LEICA DG 25-50 F1.7 /
78mm(35mm判換算), 1/125sec, F5, ISO:100

海岸から冬山を望みました。
【Photo Walk #09】でも紹介したパノラマ撮影用のアスペクト比65:24と同じになるようにトリミングしています。冠雪の山肌の模様が美しいです。

GH6, LEICA DG 25-50 F1.7 /
50mm(35mm判換算), 1/60sec, F1.8, ISO:640

街中のライトアップを背景にした作例です。点光源のきれいな玉ボケが気に入っています。最短撮影距離が0.28m(W端)まで寄れることで大きなボケとなりました。
また、このレンズはピント位置を変化させたときに生じる画角の変化(ブリージング)にも配慮して設計されています。実は、ブリージングは映像制作においてよく気にされる性能です。ズームを固定してフォーカスのみを動かすような撮影シーンは多いです。ブリージングが大きいレンズを使ったときに、フォーカスを動かしたら気づかぬうちに画角が変わってしまい、画面端に余計な物が映ってしまった…という経験をしたことがあります。

GH6, LEICA DG 25-50 F1.7 /
100mm(35mm判換算), 1/60sec(固定), F1.7-F11, ISO:AUTO(上限12800)
露出補正±0, 動画露出設定M

居室の癒しのアイドルになっている弊社のロボット、NICOBO(ニコボ)に登場してもらいました。
映像では開放F1.7からF11まで絞りリングを回しています。シャッタースピードは固定し、絞った際の光量低下はISO感度を上げて補っています。絞り込みに伴い、被写界深度がなめらかに深くなっていくことがわかります。
LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm / F1.7 ASPH.を含めた大口径F1.7ズームレンズシリーズは、クリックレスな絞りリングを搭載しており、絞りリングを回す際にカチカチと音を出さずに動画を記録できます。クリエイティブ動画モード時には、リングを回すことでF値をリニアに設定することができ、なめらかな露出制御が可能です。また、絞り動作はマイクロステップ駆動制御に対応しており、静かでなめらかな絞り制御を実現しています。動画では絞りリングを回す音や駆動音が聞こえないことにもご注目ください。
このレンズは映像製作に配慮された設計になっており、細やかな表現が可能です。被写体が浮き上がる様は映像表現として面白く、このレンズならではの表現だと思います。

今回は、LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm / F1.7 ASPH.
高い光学性能と、それを支える操作機能を作例を通して紹介しました。
マイクロフォーサーズの機動性の高さと光学性能の高さを両立したこのレンズが作品の表現の幅を広げてくれることが伝われば嬉しいです。

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