【読了】澤村伊智「邪教の子」
澤村伊智「邪教の子」
前に読んだ「予言の島」が良かったので同じ作家さん繋がりで読んだ本。
かつて寝たきりだった主人公は自由に歩けるようになった今を満喫していたが、新たに越してきた一家の子どもが新興宗教にハマった親に虐待されていると知り、その子を助けようとする。
手記という形式で書かれた第一部は、主人公の義憤や切迫した思いと周囲の大人たちの無理解や融通のきかなさの対比が鮮やかで、浮かび上がる不穏さもまた良かったです。
二部はいわゆる小説のかたちで、こちらもジリジリとするような緊張感と主人公の揺らぎのようなものに引き込まれました。
最後まで本当に目が離せない感じが続き、ラストもとても楽しめました。
最終局面に至るにもちゃんと手掛かりがあって、うっすら類推することができるフェアなところもよかったと思う。
救われたという原体験は、救済し続ける、あるいは救済され続けることを強いてしまうのかもしれない。
(Twitter20230518投稿文の再掲)