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【読了】ミシェル・ビュッシ「彼女のいない飛行機」

ミシェル・ビュッシ「彼女のいない飛行機」
先日読んだ「黒い睡蓮」が面白かったので読んでみた本。タイトルも好き。


1980年12月、飛行機の墜落現場で発見された“奇跡の子”は司法判断によってある家族の一員となり、選ばれなかった方の家は探偵に新たな証拠集めを依頼した。18年後、その子が成人となった時、成果の有無に関わらず探偵の仕事は終わりを迎えるはずだった。


DNA鑑定のない時代に状況証拠によって血縁関係があるとされても、絶対的なものでない以上、どうしても揺らいでしまうのだと思う。本人も、周りの家族も。

探偵の手記を軸に語られていくのは“奇跡の子”自身というよりは、彼女を取りまくふたつの家族の物語という方が近いかもしれない。

主人公の愛情や別の家族の執着や諦念、探偵自身の欲望…様々な感情に由来するものに動かされていく人間模様は読み応えがありました。
“奇跡の子”の謎解きも面白かったけど、一番心に残ったのは最後にさらっと描かれたカードのメッセージだったかも。

もう何冊か翻訳が出ているようなので、また硬めのものを読みたくなった時にでも探してみようと思います。

(20230909投稿文の再掲)


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