見出し画像

【読了】飯合梓(恩田陸)「夜果つるところ」

飯合梓(恩田陸)「夜果つるところ」


主人公は山裾に張り付くように建つ墜月館で暮らしている。客と会うことは禁じられていたが、夜毎覗き見ては容姿やあだ名を覚え、時には菓子を貰うことすらあった。


曖昧な記憶を努力して汲み上げながら語るかたちで綴られる不思議な物語。
場所も時間も、名前すら定かでない世界は御伽噺のようで、ただ絢爛さだけが尾を引きました。

…と、真面目に書き出してみましたが、こちらは恩田陸「鈍色幻視行」でテーマとして上げられている架空の作品だったりします。
架空なのに同時出版とはこれいかに!?という興味から「鈍色〜」と続けて読んでみたというわけ作中作だと知った上でちゃんと面白かったです。

少々詰め込みすぎに感じるところも設定に沿った印象を受けるようコントロールされているのだろうなと思えて楽しめました。
多量のモチーフと仄めかしの組み合わせとが映像化したいなにかを震わせるのかもしれません。

こちらを読んで改めて「鈍色〜」を思い返すのも面白い。壮大で素敵な試みだな〜としみじみしました。

(20240616投稿文の再掲)


いいなと思ったら応援しよう!