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【読了】くわがきあゆ「レモンと殺人鬼」

くわがきあゆ「レモンと殺人鬼」
「ダ・ヴィンチ」で見て気になった本


10年前に父を通り魔に殺されて以来、主人公は不幸な境遇におかれてきた。警察からの電話で妹の死を知らされた彼女は、妹の保険金詐欺疑惑をめぐってマスコミに追われるようになる。


「ダ・ヴィンチ」の特集で見たのだと思うのだけど、このミス大賞に種類ができていたのは初耳でした。
大賞と文庫グランプリはいったい何が違うんだろう?出版形式だけ?

こちらの作品は短い区切りでパッパッと場面が推移していき、合間に小さい頃の思い出話が挟まるようになっていて、テンポがとても良かったです。

物語は殺人事件の被害者となった妹にかけられた不名誉な疑惑を晴らそうとする姉の視点を辿るのですが、この姉の自己認識が生い立ちをみても仕方ないにせよ鬱屈していて少々息苦しさがありました。
そんな彼女が妹の事件に関わることで変わっていくのかそうでもないのか。決して親切心からではなさそうな協力者の真意は何なのか。
妹は本当に思っていたままの妹なのか。

様々な謎が盛りに盛られていった結末はかなり意外なものでした。
いやそれはわからないよ!?といったい何回思ったことか…。
とても読みやすくて読み応えも抜群で、最後にううんと唸らせられる。
一言でいうとお見事でした。

(20240720投稿文の再掲)
・第21回 『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ


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