
【読了】 川瀬七緒 「フォークロアの鍵」
川瀬七緒「フォークロアの鍵」
タイトルが気になった本
主人公は民俗学の研究のために老人ホームに通い始めるが、認知症を患う住人たちも職員も非協力的な態度を隠さない。
主人公は自分の祖母が認知症となり色々なことを忘れていくなかでなぜか急に昔話を話し出した経験から、老人のなかに凝縮された文化があるのではという仮定をたてている。
その実地研究のために老人ホームで彼らとの対話を試みるというストーリーにかなり驚かされました。
物語は癖の強い老人たちを相手に奮闘する主人公の様子と、もうひとり、全く別の場所で暮らす人物の毎日が語られます。
このふたりの視点がいつ、どのようにして交わるのかと気になりながら読みました。
認知症患者の介護の過酷さを思いながら、そもそも出てくるものがあるのかもわからない状態で、それでも愚直に老人たちと向き合おうとする主人公はほんとにハートが強い!
だいぶ風変わりではあるけれど、面白く興味深かったです。
後半からの思いがけない展開では謎を追うわくわく感や得体の知れない不気味さがあったのも良かった。
(20240808投稿文の再掲)