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【読了】渡辺優「私雨邸の殺人に関する各人の視点」

渡辺優「私雨邸の殺人に関する各人の視点」
「ほんタメ」で紹介された本


その日、山奥にある私雨邸に集まったのは11人。招かれた者もそうでない者も皆、土砂崩れによって滞在を余儀なくされたがその時はまだ気楽な週末のままだった。


冒頭で時系列順に館に集まる面々の描写があるのが古式ゆかしい感じで面白かった。
館に到着してからは数名の視点が切り替わる感じで、それぞれが見聞きしたことや心境などがリレーのように語られるのも面白い。
章の最後にXなる人物からのメッセージがあり、いわゆる読者への挑戦状になっているので知恵試しがお好きな方も楽しめそう。

クローズドサークルのなかで全く接点がないと思われていた人物が意外なところで繋がっていたり、繋がっていないことで安心したり。
視点としてピックアップされた時だけその人の内面がわかるというのもいいですね。
結末もまた視点がキーになっていて、タイトルへのこだわりを感じます。

むかし何かで見たか聞いたかした、他人の視点でしか自分を認識することはできないという話を思い出しました。

(20240922投稿文の再掲)


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