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【読了】今村夏子「むらさきのスカートの女」
今村夏子「むらさきのスカートの女」
「ほんタメ」で紹介されていてタイトルが気になった本。
時折自分の姉や幼い頃の同級生に似ているように思える「むらさきのスカートの女」は公園の奥のベンチで今日もクリームパンを食べている。そこが彼女の定位置なのだ。
書き出しからなにやら不思議な雰囲気で、語り手の背景がみえないまま「むらさきのスカートの女」の日常を知っていくという、あまりない読書体験でした。
最初、語り手はお化けなのかなと思ったぐらい、ふたりの登場人物には関わりがなくて、戸惑いながらも職場での暗黙の了解や人間関係が心配になるという自分の心の動きも興味深かった。
あっけなく態度を変える人間の独善さに嫌気がさすけど、一皮剥けばそんなもん、なのかもしれないと思ったり。
読み終えて素直にすごい良かった!とか面白かった!とはならないけれど、妙に後をひく作品でした。
なるほどな〜。
(20231021投稿文の再掲)
・第161回 芥川賞