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【読了】柞刈湯葉「まず牛を球とします。」

柞刈湯葉「まず牛を球とします。」
「ほんタメ」で紹介されて、タイトルの面白さからも借りてみた本。

短篇集。


久しぶりにSFらしいSFを読みました。
その世界についてもっと知りたいと感じるものも多く、どれもボリューミーで良かった。

短篇は私の興が乗ってきたところで話が終わり、なんともいえない物足りなさを感じることが多くてあまり読まないのだけど、どれも満足度が高くて良かったです。
表題作と無線の話、天文の話が特に好き✨

星新一さんのショートショートを最たるものとして、物語の長さによらず密度を保てるのはSFというジャンル特性でもあるのかも。
もちろん、短編だからこその良さもあって、SFの幅広さ、奥行きといったものが強く感じられました。

未読ですが「横浜駅SF」の作者さんだそうなので、そちらも読まないといけません。
発売当時すでに離れてしまってたとはいえ、元地元民としてはエターナル工事中の横浜駅がどう描かれているのか興味深い。

最後に、私が最も心打たれた一節を引用します。

『「どんな人間の一生も、つまりは己へと向かう道だ。試行錯誤の道、かろうじて見える小道。だけど自分自身になれた者なんていまだかつていたためしがない。それでも百人が百人とも、自分自身になろうと努力する。」(ヘルマン・ヘッセ「ダミアン」)』

(Twitter20230422投稿文の再掲)



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