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【読了】 湊かなえ 「白ゆき姫殺人事件」
湊かなえ「白ゆき姫殺人事件」
映画の「告白」を観て他の作品も気になっていた時に、こちらもまた実写化でタイトルを知ってそのうち読もうと思っていた本。
化粧品メーカーに勤める女性が殺害された事件は、被害者の美貌とその会社のヒット商品にちなんでネット上で白雪姫殺人事件と呼ばれるようになっていた。
様々な相手へのインタビュー内容を並べるかたちで構成されているこの作品、まさか最後までそれが続くとは思っていなくて驚きました。
正確には、インタビューではなくSNS上の会話や週刊誌の記事も資料として掲載されているのだけれど、いわゆる個としての語り手が不在というのが新鮮でもあり不思議でもありという感じ。
誰かのことを語るとき、そこにはどうしても語り手自身の見栄や保身が含まれる。意図的ではないとしても、あくまでも語り手の「思う」その人なのだ。
そんな当たり前のことを、けれど読み手として「語り手のフィルター」を通した上で、どこまでが事実でどこからが個人的な想像なのかを紐解くことは難しい。
人は話したいことだけを話し、聞きたいことだけを聞く。
全てを疑えとは言えないけれど、少なくとも鵜呑みにしてはならないのだと思う。無責任な噂に踊らされても、誰も責任など取りはしないのだから。
(Twitter20230708投稿文の再掲)