【読了】高橋弘希「音楽が鳴りやんだら」
高橋弘希「音楽が鳴りやんだら」
「ほんタメ」で紹介されていた本
幼馴染と始めたバンドが100人規模のワンマンライブをすることになったが、音楽レーベルの社員が聴きにくることを知った主人公は「売り物としての音楽」に激しい抵抗を覚え、ライブ中にその企業をこきおろしてしまう。
タイトルからほのかな不穏さを感じたからか表紙の色合いからか、なぜかミステリだと思って読み始めてしまって、途中からあれこれ全然違う話だわってなりました。
普段はあまりそういう勘違いはしないのでちょっと反省…。
先入観を排して拝読しなくてはいけませぬ
というわけで、どうやらロックスターになりたいのかなるのか、既にそうであるのかといった主人公と彼を取り巻く人間模様、そして音楽の神様とも称するべきなにかについて、遅まきながら夢中で読み進めたというわけです。
音楽という共通言語と、音楽を表現するには不自由すぎる言葉たち、気紛れにもたらされるエッセンスを汲み取る側の自意識と。
時折挟み込まれる回想が「音楽のために」生きる姿を際立たせるようでした。
芸術に身を捧げるほど神というものに近づきたくなってしまうものなのかもしれません。
最後は讃歌でもあり祝福でもあるように感じました。
とても良かったです。
(20230805投稿文の再掲)