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【読了】朱川湊人「冥の水底」
朱川湊人「冥の水底」
本にまつわるエッセイで触れられていて気になった本?
主人公に「狼男の検死写真」を見せてきた友人が姿を消した。数日後、頼まれたからと元職場から送られてきたものは、彼女の取材手帳だった。
多分「米澤屋書店」で見たのだろうと思うけどメモがないのでもしかしたら全然違って、たまたまタイトルが気になっただけかもしれない。
「狼男の検死写真」を見た主人公はよくできた加工写真だと断定するが、身の危険を感じるという友人を助ける約束をした。
彼女のマンションの管理人が殺害されたことで容疑者と目された彼は、しかし書き置きを残して家を出た息子の身を案じて警察の職質から逃げてしまう。
警察の追跡から逃れつつ友人の行方を探す主人公の姿と、山奥に住み里の人々から差別的な扱いを受けているらしい人物の書く、出すつもりのない手紙。
順に示されるそれが交わる時を期待しながらすすんでいく物語は意外な方向へと向かっていきます。
内容も文量も結構ボリューミーだったと思うのですが、面白いし次が気になるしで止められなくて、するすると読み終えてしまってました。
手紙に見える思いの強さや書き手の純朴さ、思いが裏返っていく様子、最後まで持ち続けた願い。
ヒトの心というものについて思いを馳せてしまう作品でした。
(20240331投稿文の再掲)