見出し画像

【読了】芦沢央「夜の道標」

芦沢央「夜の道標」
お馴染み「ほんタメ」で紹介されていた本。


体格に恵まれバスケの得意な少年と、彼が転校してくるまでミニバスのスター選手だった少年、惣菜屋で働く女性、上司と折り合いが悪い警察官…。それぞれの視点でそれぞれの日常が少しずつ描かれ明かされていく。


それぞれの視点の第1話を読んだとき、2話目でまさかそうくるとは全く想像しておらず、読みながらも頭の中は「ん?え!?いやいや、これは…」と大忙し!

破綻の気配を徐々に濃くしながらも、穏やかで誰かにとっての救いでもある日常がひとつの結末に向かってゆく様は、支えをなくした古木が倒れていくような必然性があって、けれどそれでも引き伸ばしたいと願う気持ちもそれぞれの中で本物で、なんともいえないやるせなさに満ちた物語でした。

ただ、最後の一話である人が小さい頃から大切にしてきたであろう言葉が、体感を伴って受け継がれたことは確かな救いに感じました。
せめてその道に幸多かれ。

(Twitter20230512投稿文の再掲)


いいなと思ったら応援しよう!