引退間近のある高齢の大工の話
その大工は、もうそろそろ家を建てる仕事をやめて、妻と一緒にのんびり暮らそうと思った。
雇い主は、個人的な願いとして「もう一軒だけ建ててくれないか」と頼んだ。
大工は承知したが、真剣に仕事をする気はなかった。
粗悪な材料を使い、手を抜いた。
キャリアを積んだ優秀な職人の幕引きにしては、残念な仕事だった。
そして、家は完成した。
点検にやって来た雇い主は、玄関のカギを大工に渡していった。
「この家はあなたの家です。私からのプレゼントです」
大工は、大変なショックを受けた。
ひどく恥ずかしかった。
自分の家を建てているとわかっていたら…たぶんもっと頑張っただろう。
私たちもこの大工と同じだ。
毎日毎日、人生という家を建てている。
だが、建てていることに全力を尽くしていないことが多い。
そしてずっと後になって、自分がつくりあげた人生(建てた家)に一生住みつづけなくてはならないことを知ってショックを受ける。
もう一度、やり直すことができたなら、また違うことをするだろう。
だが、その時はもう、後戻りはできないのだ。
あなたに後悔してほしくない。
あなたも私も、大工のことを笑えない。
私たちは人生という一生住みつづける家をつくっているが、果たして最善を尽くしているか…
「ベストを尽くせ」という言葉は耳にタコができるほど聞かされた言葉かもしれない。
それから「あと、ひと頑張りだ」という言葉も。
でも、もう一度いおう。
いま、取り組んでいることに全力を尽くすと、思いがけないところから幸運がもたらされることが多い。
もうダメだとか、おしまいだとか思っても、もうひと頑張りすることが何より大切である。
それをどうか忘れないでほしい。
あと、ひと頑張りだ!
もう一歩だ!
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「読むだけで 運がよくなる77の方法」
リチャード・カールソン 著 浅見帆帆子 訳
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自分の人生をその時々で、精いっぱい生きるとき、大いなる力が働いて、導かれていく。その時に必要な事が、それぞれに起こっているのかもしれない。
頑張った事も、辛い時も、その時に結果は直ぐに出なくてもいつかそれを乗り越えたという自分の自信となって返ってくる。
自分の生きてる世界は誰でもない自分が人生の主人公。誰かに舵取りを委ねたり、他人の顔色を伺って生きてる場合ではない。
手を抜いたら、手を抜いた分、頑張ったら、頑張った分が自分のものとなって返ってくる。
例え完成度が未熟であっても、一生懸命に建てた家ならこの大工は、後悔しなかったことだろう。だけど、自分で建てたお家をプレゼントして貰えるような関係なんて、素敵だよね。
どんな事にも、誰かの為とか自分の為とかそんな区別を取り払っていつも自分に正直に、後悔のないように過ごす。
最期に笑ってあー楽しかった♥️味わい尽くした。って終われるような時を迎える為にも、日々の過ごし方に気をつけたい。