モモから学ぶ時間の話
改めて時間を考えるきっかけになったのはこのお話。モモ ミヒャエル エンデ。彼はネバーエンディングストーリーでも有名。
——————————————————————————————————このお話の舞台は、人間が時間を節約するようになった世界。ある人々が現れるまでは、その街の住人は、それぞれが助け合いながら楽しく暮らしていた。ある日をきっかけに、そんな人々は豊かになるどころか、生活を楽しむことを忘れ、心がすさんでいった。そんな時、どこからともなくやってきた風変わりな女の子・モモは(人の話を聞くのがとても上手で、彼女と会話をした後は誰もが満ち足りた気持ちになるという素晴らしい才能をもっている)「時間どろぼう」から時間を取り戻そうと奔走する。モモの冒険を通して、エンデは時間に追われる現代の人々が忘れかけていた、人間本来の生き方とは何かを問いかける。
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「人間というものは、ひとりひとりがそれぞれのじぶんの時間を持っている。そしてこの時間は、ほんとうにじぶんのものであるあいだだけ、生きた時間でいられるのだよ。」
「もし人間が死とはなにかを知ったら、こわいとは思わなくなるだろうにね。そして死をおそれないようになれば、生きる時間を人間からぬすむようなことは、だれにもできなくなるはずだ。」
マイスター・ホラ 時間を人間に配る謎の老紳士
24時間と唯一平等に与えられている時間。その時間は自分の時間を生きて初めて生きた時間としていられる。灰色の男たちは、人々から奪った時間で生きている。それは他の誰かが、富や名声、便利さ、そして社会からの成功と引き換えにしてしまったもの。その人が本来生きるはずだった自分の時間は、奪われてしまい死んだ時間となってしまう。死と向き合うからこそ生が生きる。
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「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな。たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」
道路掃除夫 ペッポ
合理的で無駄がなく物質的に豊かな時代になったけれど、便利さや効率を求めていかにスピーディーにこなすかを要求される。そのため、いつも何かに追われていて、心にゆとりがなく皆疲弊しているため、どこか満たされず心を病む人がたくさんいる。今目の前のことだけを考えていくことの大切さ。大切なのは、時間ではなくて今ここにあるこの瞬間。瞬間を楽しむからこそ、次の瞬間も楽しいが続いていく。
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現代では、私達が時間がないと足りなくなってしまった原因は何なのか?
人間が人間らしく過ごせる時間が、私たちからどんどんと便利さと引き換えに失われつつある。良い暮らし、嘘で固められた成功や豊かさと引き換えにそのため、時間を倹約し、急足で過ごす日々。こうして、本当に生きるということと引き換えに大切なものを失い、心まで腐敗していく。
この本のストーリー同様、今も灰色の男たちと同様に、誰かの時間を奪ってしか生きれない人達がいる。
何気ない毎日でも、自分の時間を生きていると、普段自分がどれほどの恵みの中で生きてることや、なんでもない幸せに気が付いたり。
忙しいとは心が亡くなると書きます。たまには、駆け足でなくゆったりと歩きながら道に咲く花の美しさを感じ取れる心の余裕を持っていたいものです。