一人称研究の諏訪研究室✍️
研究室では各個人1テーマ。個人の体感に基づく多様な研究がなされる。
簡単に言い表してしまうと"なんか"ワクワクするとか、"なんか"グッとくるといった非言語の領域について探究する、感性について研究する研究会なので個人のテーマに応じて研究テーマは多岐に渡った。
たとえば、
・日本酒の味わいをオノマトペで表現する
・まち歩きを通じて身体性を語る
・居心地の良い自分の部屋について
・ランチョンマットと合うご飯
・お笑いの間合い
・映画でグッとくるシーン
などなど。
そんな中で私は音楽と情動について探究した。一人称研究の考え方がベースにあるので"私の体感"をベースに、過去にグッときた1曲について情動の動きを語り尽くすことを行った。中学のときに聴いたBilly Joelの"Honesty"が個人的には大ヒットで、"なんか"胸が揺さぶられてしまう曲 No.1だったのでこの曲を題材にすることにした。音楽を聴いて楽譜に音符を起こすところから、事実ベースで音楽を認知し、そのあと、音楽を聴いて広がった情景を絵に書き起こした。また、どんな氣持ちの変化が起こるのか、体感感覚に素直になり、丁寧に一つ一つの心の躍動を言葉に書き記した。4分ほどの楽曲で40小節近くあるこの曲で起こる感情の揺れを最初から最後まで語るというのは、とてつもなく膨大なデータと向き合うということで、こういう泥臭い作業の中から出てきた言葉を共起分析し、同じようなパターンやキーワードがあるのか、ボトムアップに概念を見つけていった。変態的に研究に没頭していた甲斐もあって、卒業論文は教授から最優秀卒業プロジェクトに選んでいただき、卒業後には教授が出版した本の一章として卒論の内容を取り上げていただいた。